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【PR】奈良県王寺町観光PR歴史講座「聖徳太子の実像と片岡の飢人伝承」

文化と歴史の魅力にあふれ、聖徳太子ゆかりの町である奈良県・王寺町。今年は聖徳太子1400年御遠忌の年であり、2020年12月18日に東京・千代田区で聖徳太子の実像と伝承についての歴史講座が開催された。( 主催:王寺町観光協会、共催:奈良県、後援:読売新聞社、協力:聖徳太子プロジェクト推進協議会 )日本古代史が専門の歴史学者 吉村武彦氏の基調講演ほか、小説家 澤田瞳子氏らを招いてのパネルディスカッションが行われた。

基調講演 「聖徳太子の実像と片岡の飢人伝承」
明治大学名誉教授 吉村 武彦氏

推古朝という時代

聖徳太子の呼び名は、厩戸皇子から上宮(じょうぐう)太子、聖徳皇、豊聡耳法大王( とよとみみののりのおおきみ )などあるが、聖徳太子という名は没後の諡(おくりな)であり、とりわけ没後に神格化された。したがって、生存時は厩戸皇子、没後は聖徳太子と呼び分けて、その実像をみていくと良い。厩戸皇子が生きた推古朝は、前方後円墳が盛んに作られた古墳時代が終了し、新たに官司制が形成されたヤマト王権の転換期にあたる。外交面では「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す」とある通り、従来の冊封(さくほう)体制※から離れ、対等な外交を行うようになった。

生い立ちと「政事」

隋書には、隋の使者が接見した倭国側人物は男性とあり、これが厩戸皇子だろう。厩戸皇子の生い立ちや事績は、伝記「上宮聖徳法王帝説」からひもとける。蘇我系の生まれである厩戸皇子は、蘇我馬子との共同統治によって、冠位十二階を制定し、仏教の礎を築いた。また、独自に憲法十七条を作成した。高句麗の僧、慧慈(えじ)を師とし、飛鳥寺の伽藍(がらん)配置に高句麗の影響もみられる。

片岡の飢人伝承

日本書紀や日本霊異記には、聖徳太子信仰の一つとして片岡(王寺町)の飢人伝承が残されている。飢人に衣服と飲食を与えたが亡くなり、葬った墓を掘り返したところ屍(しかばね)なく衣服のみ残されていたという話で、これは太子信仰のみならず、古代における死生観を考えるうえでも興味深い。

※中国皇帝を頂点とし、周辺諸国を臣下とみなす国際秩序のこと。

講談 「聖徳太子と愛犬ゆきまる」
王寺町観光・広報大使 川本 三栄子氏(上方講談師・旭堂南歌)

王寺町の観光・広報大使を務める歌手の川本三栄子氏は、講談師 旭堂南歌として講談「聖徳太子と愛犬ゆきまる」を披露。達磨寺に伝わる聖徳太子と雪丸の心温かな物語がわかりやすく語られ、多くの来場者が聴き入った。

パネルディスカッション「聖徳太子の実像と伝承」

パネリスト 

◆明治大学名誉教授 吉村 武彦氏 

◆小説家 澤田 瞳子氏 

◆斑鳩町教育委員会参事  平田 政彦氏 

◆王寺町文化財学芸員 岡島 永昌氏

コーディネーター

◆読売新聞大阪本社 橿原支局長 関口 和哉氏

関口 ここでは聖徳太子の実像と伝承について議論を深めていきたい。

澤田 歴史小説家として聖徳太子は魅力的だが、これほどさまざまなエピソードが人口に膾炙(かいしゃ)した人物もおらず、書くのは非常に難しい。しかし、史実を確実に把握できる最古の時代が推古朝あたり。いつかは書いてみたい。

平田 斑鳩町には聖徳太子の愛馬、黒駒にまつわる伝承がある。黒駒が埋葬されたという駒塚古墳や調子丸古墳は4~5世紀のものであるが、江戸時代の「大和名所図会」には、聖徳太子の臨終の地である上宮(かみや)遺跡とともに紹介され、聖徳太子の名所として定着していたことが分かる。

岡島 王寺町には達磨寺を舞台とした飢人伝承がある。本堂の下に、今も聖徳太子が助けた飢人の墓(3号墳)があり、飢人は達磨大師の化身とされている。この伝説は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家、橋本関雪のびょうぶ絵にも描かれた。王寺町には、聖徳太子の愛犬、雪丸の伝説もあり、達磨寺の境内には雪丸の塚や石像もある。

吉村 聖徳太子信仰は中世、近世といろいろとあり、明治には飛鳥奈良時代が再評価された。そうしたさまざまな伝承を文学においてどうリアルに描くのか、ぜひ読んでみたい。

澤田 書きづらいのは、古代史研究者の卵であった自分と小説家としての自分との間で葛藤が生じるからでもあるが、さまざまな時代において聖徳太子をどう見ていたのかという視点は面白い。雪丸や黒駒といった動物伝承も、現代人が古代人の精神性を理解する一助となる。

岡島 発掘調査を進めていると、実像があるからこそ伝承があるという思いを強くする。王寺町は交通の便も良く、町内には明石海峡大橋や比叡山を望む眺望に優れた明神山もある。コロナ禍が終息した折には、ぜひお越しいただきたい。

王寺町観光協会URLはこちら