デジタルでときめく学び
東京書籍 社長 渡辺能理夫のりおさん

読売新聞大阪本社版朝刊

渡辺能理夫氏

 教科書最大手の東京書籍は、来年4月に開幕する大阪・関西万博で、2050年に実現したいと考える「学びの場」を提案する。最先端のデジタル技術を駆使し、子供たち一人ひとりが自分らしく、学びを深めていける未来社会の姿を示す予定だ。渡辺能理夫社長は「展示を通じて、学ぶことは楽しく、ときめくものだということを感じてもらいたい」と力を込める。

 東京書籍は1909年に創業した。現在、小中高校のほぼ全教科の教科書を発行するほか、映像・音声教材やデジタル教科書も手がけている。

 万博では「大阪ヘルスケアパビリオン」内に出展する。パビリオンは生まれ変わりを意味する「リボーン」をテーマとしており、渡辺氏は「教科書の会社から、人々の学びに一生寄り添える企業に変わっていきたい。我々のそんな思いと一致した」と明かす。
 展示内容は大きく分けて二つ。一つは、視界いっぱいに広がるディスプレーとセンサー類を活用した没入型の学習体験だ。ディスプレー上には、教科書に掲載されている写真や絵画、資料などを映し出す。例えば、歴史上の人物の写真の場合、目線を送ったり、話しかけたりすると、様々な反応が返ってきて、画面の中に没入していくような感覚が得られるという。
 もう一つは、子供たち一人ひとりに寄り添う「AI(人工知能)アシスタント」。バーチャル(仮想)空間にいるアシスタントが、日々の宿題から体調を含めた日常生活の悩みまで、様々な相談に乗ってくれる。渡辺氏は「人間の教師の役割は極めて大きいが、目の届かないところをアシスタントが支えてくれるのは、教師、子供ともに大きな安心感があるはず」と話す。

 開幕への機運を盛り上げようと、プレイベントも開催している。今年9月に大阪市内で開いたイベントでは、現在と過去の教科書を見比べたり、パラスポーツが体験できたりする計22のプログラムを実施し、2日間で親子ら延べ約6800人が参加した。

 東京書籍が万博に関わるのは今回が初めてとなる。渡辺氏は「出展は大きなチャレンジ。自分たちもときめきを感じながら、開幕に向かいたい」と意気込む。

(北野浩暉)




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