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電力を「H(へらす)T(つくる)T(ためる)」で脱炭素社会へ

今や日本は、猛暑日が続く「酷暑」が当たり前で、豪雨による深刻な被害も毎年のように起こっている。こうした異常気象をもたらす地球温暖化を抑制するには、二酸化炭素の排出を減らす「脱炭素」が大切だ。元AKB48で気象予報士の資格を持つ武藤十夢さんと、気候変動の専門家である東京大学教授の江守正多さんが、脱炭素社会にむけて私たちにできることなどについて話し合った。

2050年までに CO2排出量実質0に

武藤 7月は異常に暑かったですね。例えば小学校のプールの授業が暑さで中止になるとか、私が子供の頃では考えられないことです。

江守 今年だけではなく、長期的な傾向を見ても大変暑くなっています。今は、産業革命がはじまった150年ほど前に比べ、世界の平均気温が1.3度高い。一見、たいしたことないと思われるかもしれません。しかし、約2万年前の氷河期と現在の世界の平均気温の差は6度くらいですから、それと比べると、100年くらいで1度も上がるのは地球の歴史の中でもとんでもないことです。このわずかな気温上昇が気候を大きく変化させます。

武藤 そもそも地球温暖化というのは、どういうことなのでしょうか?

江守 二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に増え、地球全体の平均気温が上がるということです。それによって異常気象が増えます。雨が降ると記録的豪雨になり、干ばつになるとこれまでより深刻化する。さらに極地の氷が溶けるとともに、海水温が上がると海水も膨張します。それで海面が上昇してきます。

化石燃料の使用が招く地球温暖化

武藤 二酸化炭素の増加要因は二酸化炭素を吸収する森林が人間の開発によって減っているため、ということなのでしょうか?

江守 一番大きいのは、人間が石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を使うことです。人間は、化石燃料を燃やして電気などのエネルギーを作り、ガソリンを燃やして自動車を走らせています。そして家庭でもガスを使って料理をしたり湯を沸かしたりしていますね。世界中でそうやって二酸化炭素をどんどん排出しているのです。

武藤 日本だけではなく、地球レベルの問題ですよね。世界では何か対策をしているのでしょうか?

江守 1992年に国連の「気候変動枠組条約」が作られ、ブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット」で各国が署名しました。今は2015年に採択された「パリ協定」で具体的な目標が決められ、先進国も途上国もともに地球温暖化対策に取り組むことで一致しています。日本では、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現することを目標にしています。

武藤 ゼロにするには相当な努力が必要ですね。私も冷房をつけるのを限られた部屋だけにしたり、たくさんの電気を使う10年前のエアコンや冷蔵庫は、最新の省エネタイプに買い替えた方がいいよね、と家族で話し合ったりしています。身近なところで脱炭素化への努力をしていきたいですね。

再生エネの活用で 社会の仕組みを変える

江守 個人個人の努力はもちろん大切ですが、実はそれだけではカーボンニュートラルの実現は困難です。日本の二酸化炭素排出量の多くは、国内の発電方法のうち約7割を占める火力発電によるものです。電気を作るときに二酸化炭素を排出しない「再生可能エネルギー」の活用を増やし、社会の仕組みを変えることが重要です。例えば東京都では、来年4月から新築住宅等に太陽光パネルを設置し、断熱性が高い省エネ型の建物にすることを、住宅メーカーなどに義務付ける制度を始めます。また一般家庭用の蓄電池も普及してきました。化石燃料を使わない発電が一般家庭に広がるきっかけになりそうです。

自宅で太陽光発電、防災対策にも

武藤 省エネによって使う電気を「へらす(H)」。太陽光パネルによって電気を「つくる(T)」。そして昼間発電した電気を蓄電池に「ためる(T)」、東京都の掲げる「HTT」ですね。

自宅で太陽光発電ができたら、脱炭素に役立つだけでなく、電気代が安上がりになってお得ですよね。それに万が一大きな災害で停電になっても安心で、防災対策にもなります。

江守 太陽光パネルや蓄電池は初期の設置費用が結構かかりますが、光熱費が安くなることから、東京都の試算では、13年程度で初期費用を回収できる見通しです。普及すればコストが安くなり、さらにお得になります。こうした取り組みが全国に広がり社会の仕組みが変わっていけば、カーボンニュートラルが現実化してくるのではないでしょうか。

武藤 マンションなど集合住宅に住んでいる人もできることはあるのでしょうか。

江守 そうですね。例えば、再生可能エネルギーで発電された電力プランを選ぶという方法もあります。一人ひとりが「脱炭素に貢献したい」という気持ちが大切です。

武藤 「へらす」だけでなく「つくる」「ためる」で社会の仕組みを変える。都民みんなでできることから「HTT」に取り組んでいきたいですね。

気象予報士・ファイナンシャルプランナー
武藤 十夢さん
2011年~23年、AKB48のメンバーとして活動。気象予報士の資格を所持。グループ卒業後は資格を生かしたコメンテーター、番組出演など多数。今回は「都民代表HTTリポーター」として「脱炭素」の重要性と「HTTアクション」について学ぶ。

東京大学 未来ビジョン研究センター 副センター長 教授
江守 正多さん
東京大学未来ビジョン研究センター副センター長 教授。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程修了。気候変動に関する政府間パネル第5次、第6次評価報告書主執筆者。研究分野は気候変動リスク管理、地球温暖化、気候モデル。

HTTとは
気候危機への対応策としての脱炭素社会の実現や、中長期的なエネルギー安定確保に向けた東京都の取り組み。エネルギー効率の最大化や再生可能エネルギーの導入・促進の観点から、電力を「Hへらす」「Tつくる」「Tためる」=「HTT」を掲げ、節電をはじめとした、都民一人ひとりや事業者ができる取り組みを促進している。
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補助金・助成金制度も
東京都では、HTTの取り組みを進めるために、節電や太陽光発電、蓄電池の設置等を呼びかけるとともに、都民、事業者、自治体などを対象とした幅広い補助金・助成金制度を設けている。
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