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食べても太りにくい体質づくりを 知っておきたい「タンサ脂肪酸」の健康効果とは?

 新生活がスタートする春、食生活にも新しい健康習慣を取り入れてみませんか。今回紹介するのは「タンサ(短鎖)脂肪酸」。腸内で生み出される代謝物質の一つで、近年、基礎代謝の向上など様々な健康効果があることが分かり、注目を集めています。この気になるタンサ脂肪酸について、腸内環境研究に詳しい慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授・メタジェン代表取締役社長CEOの福田真嗣先生にお話を伺いました。
目次
◆聞いてみよう! ―「タンサ脂肪酸」の健康効果に注目
◆タンサ脂肪酸ってどう働くの? ―健康をサポートする4つの働き
◆もっと知りたい ー基礎代謝の向上にタンサ脂肪酸
◆タンサ脂肪酸はどうやって作られるの? ―タンサ脂肪酸を増やすために
◆情報ディスク ービフィズス菌と乳酸菌の違いは?

「タンサ脂肪酸」の健康効果に注目

慶應義塾大学 先端生命科学研究所 特任教授 株式会社メタジェン代表取締役社長CEO
福田真嗣(ふくだ・しんじ)氏
 2006年、明治大学大学院農学研究科博士課程修了。理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、12年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、19年、同特任教授。15年、慶應義塾大学と東京工業大学とのジョイントベンチャー企業、株式会社メタジェンを設立。専門は腸内デザイン学。

腸から全身に作用 基礎代謝も向上

 腸内細菌が私たちの健康に深く関わっていることは、最近よく知られてきたかと思います。私自身、大学生の頃からかれこれ25年、腸内環境研究に取り組んできました。未知の領域も多かったのですが、近年の腸内細菌の遺伝子解析や代謝物質解析技術の革新によって、様々なことが分かってきました。

 「タンサ脂肪酸」は、私が学生の頃から学術領域においては、ヒトの体に良い作用を及ぼす重要な物質かもしれないと注目されていましたが、その機能の詳細が明らかになったのはここ十数年ほどのこと。ようやくメディア等を通じてみなさんの耳にも届くようになりました。

 タンサ脂肪酸は、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの総称です。ビフィズス菌などの腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を食べることによって生まれる代謝物質の一つです。腸内細菌にとっては、いわば排泄(はいせつ)物のようなものですが、ヒトの体にとっては非常に良い働きをしてくれます。

 タンサ脂肪酸は、腸から吸収されて血流を介して全身に作用するため、腸内環境を整えるだけでなく、腸管のバリア機能を高めることに寄与したり、腸管の免疫細胞や内分泌細胞などに作用したりと幅広く活躍します。その結果、基礎代謝を高めて肥満を抑制するほか、アレルギーや炎症の抑制、持久力の向上など、実に様々な健康効果が報告されています。

食物繊維・オリゴ糖の摂取で増加

 では、腸内でタンサ脂肪酸を増やすためにはどうすればいいのでしょうか。たとえば酢酸はお酢の主成分ですから、「たくさんお酢を飲めばいいのでは」となりそうですが、口から摂取しても、そのほとんどは小腸で吸収されてしまうため、大腸には届きません。また、プロピオン酸や酪酸は味やニオイが独特すぎて、飲むこと自体が現実的ではありません。

 このように考えると、腸内で持続的に十分な量のタンサ脂肪酸を作り出すためには、腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を積極的に摂取することが、やはり大事になってくるのです。

 現代の日本人の腸内は、外国人と比べてビフィズス菌が多い一方、食物繊維が不足しがちであることが分かっています。まずは食物繊維の摂取量を増やすことが大切です。

 食物繊維には、ゴボウやキノコ類、豆類などに多く含まれる「不溶性食物繊維」と、海藻類や大麦、オクラ、アボカドなどに多く含まれる「水溶性食物繊維」とがあります。水溶性食物繊維の一種である「イヌリン」はタンサ脂肪酸を多く生み出します。

ヨーグルトで手軽に続けて

 私自身は幼い頃から野菜や海藻類が大好物で、普段から大量のサラダを食べるので人に驚かれるのですが、おかげで腸内環境は大変良好です。ヨーグルトもよく食べています。ヨーグルトはデザートとしても手軽に食べられますし、何よりおいしいので、みなさんも続けやすいのではないでしょうか。

タンサ脂肪酸ってどう働くの?―健康をサポートする4つの働き

 さまざまな働きの中でも、特に私たちの健康をサポートする4つの働きについて紹介します。

基礎代謝の向上にタンサ脂肪酸―太りにくい体質づくりを

生命を保つエネルギー


 呼吸や体温維持、心臓をはじめとする臓器活動など、生命を保つために最低限必要なエネルギーを基礎代謝といいます。基礎代謝が上がると、新陳代謝の活性化、血行の改善、自律神経の正常化、脂肪の燃焼など、心身に様々な良い影響があります。基礎代謝は、加齢に伴い低下するとよくいわれますが、それはエネルギーを最も多く必要とする筋肉量が減少するためです。

 基礎代謝を高めるには、筋トレやストレッチ、有酸素運動などの運動習慣を取り入れたり、意識的にたんぱく質を摂取したりして、筋肉量を減らさないようにすることが大切です。

 運動を日常的に続けるのが難しい場合は、日々の食事を見直すことでも改善できます。近年、タンサ脂肪酸に、基礎代謝を高める作用があることが分かってきました。

 「基礎代謝が上がるというのは、同じ量の食事をとっていても、エネルギーの消費量が上がるということ。食べても太りにくい状態を作ります。食べて、エネルギーを作って、排泄するという一連のサイクルをバランスよく健全に保つためにも、基礎代謝を上げることは非常に重要です」と慶應大の福田先生は話します。

食欲を抑える作用も


 そもそもタンサ脂肪酸には、基礎代謝の向上以外にも、GLP-1というホルモンの分泌を促すことで食欲を抑制したり、脂肪細胞に働きかけて体脂肪の蓄積を抑制したりといった効果もあります。

 福田先生によれば、「タンサ脂肪酸がヒトの体の様々なところに作用することで、トータルで太りにくい状態が作られます。人類の歴史を振り返ると、飢餓の時代のほうがずっと長かったため、飢えに対応する身体機能はある程度備わっていますが、過食に対する機能は十分ではありません。肥満が生活習慣病など様々な疾患のリスク要因となるのは、そのためではないかと考えています」とのことです。

 健康を考える上で、太りにくい体質を作ることは大切です。その体質づくりに複数のアプローチで作用するタンサ脂肪酸。ぜひ、注目してみてください。

タンサ脂肪酸はどうやって作られるの?

 腸内に生息するビフィズス菌などの腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を食べることで、タンサ脂肪酸を生み出します。タンサ脂肪酸を効率的に作るには、ビフィズス菌などの良い働きをする腸内細菌を増やすとともに、様々な種類の食物繊維やオリゴ糖を摂取することが重要です。

【タンサ脂肪酸を増やすために】
 タンサ脂肪酸は、お酢を飲むなどして口から摂取しても、ほとんどが小腸で吸収されるため大腸まで届きません。タンサ脂肪酸は、腸内で生み出す必要があります。

■タンサ脂肪酸を増やすための組み合わせ(例)


①ビフィズス菌
 腸内細菌で有名なのはビフィズス菌や乳酸菌ですが、ビフィズス菌はタンサ脂肪酸の一つである酢酸を生み出す働きがあります。ヨーグルトを選ぶ時は、ビフィズス菌入りかどうかを意識しましょう。

②食物繊維(水溶性食物繊維)
 ビフィズス菌だけではタンサ脂肪酸を生み出せません。エサとなる食物繊維やオリゴ糖が必要です。なかでも、水溶性食物繊維の一種である「イヌリン」はタンサ脂肪酸を多く生み出すことが知られています。

(江崎グリコの資料を基に作成)

タンサ脂肪酸を生むビフィズス菌 乳酸菌との違いとは?

 どちらも腸にとって良い菌ですが、酸素に強い乳酸菌は小腸に多くすみ、酸素に弱いビフィズス菌は大腸にすんでいます。乳酸菌は主に乳酸を作りますが、ビフィズス菌はタンサ脂肪酸の一つである酢酸を作ります。

 いずれも腸内に長くとどまることができないため、摂取し続けることが大切です。