広告 企画・制作 読売新聞社ビジネス局

フレイルの日記念イベント2024 IN 八幡市 ~気付けばフレイル対策に参加しているまちに~ 開催レポート

 加齢によって心身の働きや社会的なつながりが弱くなってしまう「フレイル」。そんなフレイルを予防することは、その先にある要介護状態の予防につながります。スマートウエルネスコミュニティ協議会と京都府八幡市は、2月1日の「フレイルの日」にフレイル対策について学べるイベントを開催。約250名の参加者が、市民団体や有識者、民間事業者による講演を通じて理解を深めました。

開催市あいさつ:京都府八幡市長 川田翔子

 八幡市では、市民のみなさまが健康にいきいきと生活を送っていけるよう、これまでさまざまなフレイル対策に力を入れてきました。なかでも、歩いた歩数をポイントに替えられることで、気軽に運動習慣を身につけられる「やわた未来いきいき健幸プロジェクト」には、約4,800名もの市民の方にご参加いただいており、大きな成果を実感しています。
 プロジェクトに参加している方と、同年代の参加していない方を比較すると、介護が必要になるリスクが約7割も低下するというデータも実証されています。参加者の方の1日の平均歩数は2,000歩以上増加しています。毎日少しずつでも歩くことがフレイル対策になっているのです。これからもさまざまな施策を通じて、「気付けばフレイル対策に参加しているまち」であり続けられるよう、努めてまいります。

講演1:スマートウエルネスコミュニティ協議会 副理事長 筑波大学大学院教授 久野譜也

 フレイル予防のなかで、まず意識していただきたいのは運動です。WHO(世界保健機関)が2009年に発表したデータでは、死亡リスクの第4位が運動不足となっています。また認知症の一種であるアルツハイマー病も、運動不足が要因になるといわれています。反対に、運動不足を解消すれば、高血圧、肥満などの生活習慣病やアルツハイマー病を防ぎ、死亡リスクを抑えることにつながるというわけです。
 社会と関わる機会を持ち続けることも重要で、社会的な孤立も死亡リスクを高めるということがわかっています。しかし、高齢になると1人暮らしになる確率は高まり、孤立せざるをえない状況になることも少なくありません。こうした状況で、地域と関わり続けていくためには、みなさま自身が積極的に外へ出て、地域のコミュニティに参加する、社会と継続的に関わる意思を持つことが大切です。八幡市は他地域と比較して、いち早くフレイル対策に取り組んでおられます。ぜひ本日のような講習会などに積極的に参加して、健康長寿を達成いただきたいと思います。

講演2:八幡市役所健康推進課 寺田皓介

 少子高齢化の進展により、八幡市の高齢化率は、2040年には36%になるとされています。このため医療や介護が必要になる方が増え、まちづくりなどの政策に十分な予算を投じられなくなることが懸念されます。八幡市の将来のためにも、フレイル予防は必要不可欠な取り組みなのです。
 そこで私たちは、住むだけで健幸を維持できる「スマートウェルネスシティ」の実現を目指し、住民の健幸をまちづくりの中核に据えて、さまざまなステークホルダーと連携を取りながら進めています。その一環として、2019年よりスタートした「やわた未来いきいき健幸プロジェクト」は、現在八幡市の成人のおよそ10人に1人にご参加いただいており、自治体の事業としては高い参加率を誇っています。
また八幡市には住民が主体となって展開する介護予防教室が複数あり、本日は教室を運営する団体様も登壇されます。まずは活動内容を知っていただき、ご家族やご友人にお話しいただくことで、フレイル予防活動の輪が広がることを祈っております。

フレイル予防にかかる活動の実技含めた紹介・報告

 八幡市内でフレイル予防に関する取り組みを行う、NPO法人元気アップAGEプロジェクト、公益社団法人八幡市シルバー人材センター、八幡市国保医療課の3団体が登壇し、活動内容の紹介と実演を行いました。

■①NPO法人元気アップAGEプロジェクト

元気アップAGEプロジェクトによる活動報告
実演では「きよしのズンドコ節」に合わせたパワフルな体操を披露

 介護を受けずに健康で末永く過ごせるシニア世代の創出を目指し、2014年3月から始動したNPO法人で、体操教室の運営を通じて地域の健康を支えています。現在は、京都府内で35教室を開催(八幡市内は7教室)。すべての教室の1年間の参加者のべ数の合計は、13,000人以上に及びます。地域住民の中から介護予防サポータ—を育てる養成講座にも、力を入れています。

■②公益社団法人八幡市シルバー人材センター

八幡市シルバー人材センターによる活動報告
ボールを使用した「3楽体操」。会場の参加者も一緒に体験した

 「気楽に、楽な体操で、楽しく健康と仲間づくりを」のテーマのもと、オリジナルプログラム「シニア3楽体操教室」を実施しています。閉じこもりを予防する、地域の高齢者が集まる場所づくりとして2009年にスタート。主な取り組みは、ボールを使ったストレッチや筋力運動、脳トレやリズム体操など。筋力や瞬発力をつけて転んでもけがをしない体にすることや、現状の体力を少しでも維持し自立した日常生活を送ること、健康寿命をのばすことを目標に取り組んでいます。市内の公会堂や集会所など15か所以上で毎月計160名の方が活動中です。

■③八幡市国保医療課

 地域で活動する福祉委員会や老人クラブなどを対象にフレイル予防教室を開催しています。「認知症を予防する運動と食事」や「お口のフレイル」など、毎回異なったテーマで行っており、参加者にも好評です。スタッフは全員医療専門職であるため、気軽に相談しやすいのも教室の特徴。教室への参加が、地域の方や近隣の方とつながるきっかけにもなっています。

■パネルディスカッション
ファシリテーター:久野譜也、寺田皓介
参加団体:NPO法人元気アップAGEプロジェクト、公益社団法人八幡市シルバー人材センター、八幡市国保医療課

【活発なお喋りもフレイル予防に】

久野 活動内容を発表した感想をそれぞれお聞かせください。
NPO法人元気アップAGEプロジェクト 会場のみなさんが一緒に楽しんでくださっているのがわかり、うれしかったです。他の団体の話を聞いていて感じたのは、フレイル予防と一口にいってもさまざまな観点があるんだということ。興味のあるどれか1つに参加していただくだけでも、意識が変わるのではないでしょうか。
八幡市シルバー人材センター みなさま3楽体操を会場で一緒に行っていただき、ありがとうございました。特に今日披露したボールを使った体操は、フレイル予防においてとても効果的なので、ぜひ続けていただきたいです。
八幡市国保医療課 みなさんのフレイル対策への意識の高さを実感できました。
寺田 市としては、今日ご登壇いただいた団体をはじめ、今後より多くの団体と連携していきたいです。
八幡市国保医療課 フレイル予防の啓発は行政だけでは限界があるので、地域の方の協力が必要不可欠です。連携を深めるのはもちろん、サポーターや指導者の方も増えていくようにどうにか協力していきたいです。
久野 今日みなさんの熱心な活動内容を見て感じたのは、フレイル予防のために活動することは、日々を楽しむことの近道になるということです。フレイル予防は知識があるだけでは予防できず、実践して続けていくことが大切。そのためには仲間の存在が非常に重要になりそうですね。
NPO法人元気アップAGEプロジェクト 参加者の方は、教室の始まりと終わりに、必ずお喋りを楽しんでおられます。一人ではできないことも、みんなで話をしながらであれば、苦しくなく続けられるでしょう。そこも地域活動ならではの良さといえます。
八幡市国保医療課 国保医療課では、定期的に滑舌に関するお口のテストを行っています。地域活動に参加されているみなさんは、やはりお喋りをたくさんしていらっしゃるからか、とても点数が高いです。
久野 お喋りだけでも、フレイル予防につながっているということですね。先ほどの実演を見て、会場のみなさんのなかにも地域活動に興味がわいたという方も多いでしょう。これを機に気軽に参加して、お喋りすることからはじめてみてはいかがでしょう。

フレイル予防体験会

 フレイル予防についての事業を展開する3名が登壇し、それぞれの専門である筋力、脳トレ、口腔機能の視点から考える、フレイル予防トレーニングの体験会を実施しました。

①「90歳でも旅行ができる筋トレ」講座 つくばウエルネスリサーチ副社長 保健師 塚尾晶子

 90歳になっても元気に旅行をするためには、ウォーキングなどの有酸素運動と、筋肉を若返らせる筋トレをセットで行うことが重要だとして、自宅でも簡単にできるスクワットのやり方を実演。塚尾氏の手本を参考に、参加者はスクワットを10セット分体験しました。また食事の注意点として「運動後に筋肉が増えるのは夜間なので、夕食には鶏肉や卵、大豆製品などたんぱく質が豊富な食品を摂取するように」と呼びかけ。メモをとるなど熱心に耳を傾ける参加者の姿がみられました。

②「認知度チェックと簡単脳トレ」講座 NPO法人元気アップAGEプロジェクト理事長 横山慶一

 認知力をアップさせるためには、2つのことを同時に行う脳トレーニング(脳トレ)が最適だとして、スライドの文字と色を識別する脳トレや、手と足で異なる動きを行う脳トレなどを行いました。そのほか、普段の生活に取り入れやすい脳トレとして、歩きながら頭の中で1週間の曜日を逆から唱えるトレーニングを紹介しました。慣れてきたら1つ飛ばしや2つ飛ばしなど条件を加えて行うことで、脳の動きがより活発になるということです。

③「いつまでもおいしく食べるための口腔運動」講座 八幡市国保医療課 歯科衛生士 渡辺美南

 食事の際にむせたり、滑舌が悪くなったりといった、口腔機能の低下「オーラルフレイル」について解説しました。オーラルフレイルになると、なっていない方に比べて、身体的フレイルになるリスクが2.4倍増ともいわれているとのこと。歯磨きや定期的な歯科健診の重要性を解説し、舌を使ったお口のトレーニング、唾液の分泌を促すマッサージ方法などを実演しました。

講演3: 「認知機能とお金の『介護』─金融と福祉の連携の視点から─」 慶応義塾大学経済学部教授 駒村康平

 認知機能が低下すると、心身に影響が出てくるのはもちろん、お金を管理する力もだんだんと弱まっていきます。お金の支払い準備ができなくなる、ATMの番号がわからなくなるなどから始まり、次第にできることが少なくなります。そうした状況では、特殊詐欺の手法で高額な商品を売りつけられるなどお金のトラブルも増えていきます。認知機能が大幅に低下していると、自分自身が正常かどうかを判断する能力も鈍っているため、誰かに助けを求めることができなくなるのです。
 現在、久野先生や慶応大学、そして京都府立医科大学が共同し、自治体と金融機関が連携してトラブルを未然に防ぐ仕組みを研究しています。今後は八幡市とも協力しながら、地域で高齢者を見守っていく仕組みを強化していければと考えています。

講演4:「デジタル同居サービスの展望─孤独のない包摂性のある社会へ─」 パナソニックホールディングス株式会社 総括担当 山岡勝

 パナソニックでは、テクノロジーの力でいかに健康寿命を延ばしていけるかを軸に、現在、内閣府のプロジェクトに参画し、「デジタル同居サービス」というものを開発しています。背景には、2040年の超高齢化社会に向けて、在宅高齢者が増えていくことが挙げられます。
 この「デジタル同居サービス」は、高齢者と遠隔家族をつなぐサービスで、離れた場所に住む家族とも同居しているかのような感覚を再現できるサービスです。センサーで取得した高齢者のリアルタイムの様子を専門的な知見に基づいて分析することで、正常に生活ができているか、サポートが必要な状態なのかを子世代に伝えることができます。パナソニックでは、これらのプログラムでいつまでも若々しく健康寿命が延伸できる社会の確立を目指してまいります。

閉会挨拶:スマートウエルネスコミュニティ協議会理事長 虎の門病院顧問 大内尉義

 本日は八幡市や各団体の取り組みを知り、フレイル予防に先進的に取り組んでおられる自治体であることがわかり、大変感銘を受けました。
 フレイルは、身体や口、心など、多くの要素が複雑に絡み合って生じます。そのため、さまざまな面からアプローチをすることが必要です。その第一歩が、本日のようなイベントに参加し、フレイル予防に関心を持っていただくこと。そして、そこで得た知識を少しずつでも実践していただくことです。
 八幡市では、今後もフレイル予防に関するイベントを企画されているとのことですので、イベントが開催される際には、友人や近所の方などをお誘いのうえぜひご参加いただき、フレイル予防に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

フレイル測定会

 イベントの前後には、筋力測定や滑舌機能チェックなどを通じて、自身の体の状態を知ることができる体験ブース「フレイルを測ろう」が開かれました。

参加団体:明治安田生命保険相互会社、(株)カーブスジャパン、京都府山城北保健所、(株)白寿生科学研究所、(株)タニタヘルスリンク、大塚製薬(株)、八幡市国保医療課