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みんなで知ろう、防ごう、シニアの転倒

現在、平均寿命と健康寿命との間には、男性で8.7年、女性で12.1年と、およそ10年間の差が存在します。この10年間は、『不健康な期間』ということになります。そして、この不健康な期間を作り出してしまう要因の一つに『転倒』があります。適切な対策により、転倒予防とともに健康寿命の延伸をめざすにはどうすればよいか。専門家の山田実先生がアドバイスします。

筑波大学人間系 教授
山田 実先生
専門分野は老年学。日本転倒予防学会理事など。

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転倒予防に努め、健康長寿めざそう

令和2年版厚生労働白書より著者作成
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/dl/all.pdf

大けがにつながる可能性も

転倒と聞くと、「私も転んだことがある」という方も大勢いると思います。それもそのはず、65歳以上の高齢者では3人に1人が1年間に1回以上転倒すると言われています※1。我が国の高齢者人口を3640万人と仮定すると、実に年間で1092万人もの方が転倒を経験することになります。この情報を基に単純計算すると、なんと我が国の高齢者だけでも『3秒間に1人』の頻度で転倒が発生していることになります。
※1 Phelan EA, Ritchey K. Fall Prevention in Community-Dwelling Older Adults. Ann Intern Med. 2018 Dec 4;169(11):ITC81-ITC96. doi: 10.7326/AITC201812040. PMID: 30508457.

転倒はそれだけで済まないのが厄介な点。転倒した3人に2人は何らかのけがを負っていたことが分かっています。すり傷程度から、打撲、骨折まで様々ですが、転倒すると無傷では済まないと言えそうです。なお、骨折などの大きなけがにつながるのは全転倒の5%程と言われています※2
※2 Kelsey JL, Procter-Gray E, Hannan MT, Li W. Heterogeneity of falls among older adults: implications for public health prevention. Am J Public Health. 2012 Nov;102(11):2149-56. doi: 10.2105/AJPH.2012.300677. Epub 2012 Sep 20. PMID: 22994167; PMCID: PMC3469772.

では、どのようにして転倒が発生しているのでしょうか。転倒は、つまずき、滑り、踏み外しといった足元のトラブルで発生しているケースがほとんど。特に、敷居やカーペットの縁、電気コードなどの軽微な障害物につまずくケースが多いことが分かっています。また、床面に置きっぱなしになっている衣類や紙類を踏みつけて滑って転倒というケースも少なくありません。まずは『整理整頓』から転倒予防を始めましょう。

身のまわりにも転倒リスク

転倒は、バランス能力や筋力の低下などによって引き起こされるイメージがあると思いますが、それだけではありません。認知機能や目や耳の機能、さらにはお薬の影響や環境面等、様々な要因が関連しています。こうした転倒要因は、ご自身の問題と周辺環境の問題に分けられます。ご自身の問題がなくても、周辺環境に問題がある場合には転倒する危険性は高まります。その逆もしかり。ご自身の体だけでなく、周辺環境にも留意いただくことが大切です。

周辺環境で特に留意いただきたいのがリビング(居間)。こちらの図のように、床面に様々な物が置かれた状態になっていませんか。床面にあるものは、すべて転倒につながる危険物。特に、リビングは過ごす時間が長く、整理整頓しづらい環境にあります。日頃から整理整頓を心掛け、床面には物を置かないようにしましょう。

床面にあるものは全て障害物。
転倒の危険性を高めることになります。

筋力と食事のバランスが大切

転倒予防に向けては、一手先で、早めに対策しておくことが大切です。例えば『つえ』。「つえに頼るとかえって足腰が弱る」と思われる方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。つえや手すりは、「どうしても支えが必要」な状態になってからではなく、「支えがあった方が安心」くらいの状態から使用することをおすすめします。

転倒予防には『筋力』と『バランス』の維持・強化が大切になります。筋力で特に重要になるのが、太腿ふとももの前の筋肉。椅子からの立ち上がりや階段昇降で不可欠な筋肉です。椅子からの立ちすわりを繰り返すことで、この筋肉の強化につながります。立ったまま靴下や靴の着脱がしにくくなると、バランス能力の低下のサイン。片脚で立つ運動を反復して、バランス能力を強化しましょう。いずれの運動も、膝や腰に痛みがある場合には無理せず、かかりつけ医に相談して下さい。

運動効果を高めるためには、日ごろの食事も大切になります。高齢期になると、不足しがちなのが『たんぱく質』。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品に豊富に含まれます。ただし、それだけでなく、緑黄色野菜、海藻、果物など、様々な食品をバランスよく摂取することも大切です。なお、糖尿病や腎臓病などの基礎疾患がある場合には、かかりつけ医に相談して下さい。

転倒予防は『備えあれば憂いなし』とはいきません。万全の準備をしていても防げない転倒もあります。ただ、備えを万全にしておくことで未然に防ぐことができる転倒も多くあることも事実。また、不安があるなら、かかりつけ医やお近くの地域包括支援センター等に相談してみて下さい。元気なうちにシニア住宅について検討するのも選択肢の一つです。

日ごろから、ご自身や周辺環境の状態をチェックしながら、適切な予防策を講じていきましょう。

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