「老後資金2000万円問題」。老後の夫婦2人の生活費は、支給される公的年金だけでは2000万円不足であるというその内容は、介護の視点が抜けています。老後に発生する費用には何があるか、具体的に知り計画を立てましょう。
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これだけかかる老後の費用
「家計調査報告書(2022年):総務省」によると、65歳以上無職世帯は夫婦2人で月額2万2270円、単身者で同2万580円の赤字となっており、年金だけでは到底まかなえない現状が浮き彫りとなっています。日々の生活費以外にかかる費用は以下の通りです。しっかり計画を立てましょう。
●住居費
一戸建てに30年住んだ場合の修繕費用は約800万円。保険や税金を含めると維持費は年平均40万円ほどかかると言われています。戸建てはマンションと違い、自身での修繕計画が必須です。またリフォームローンを組める年齢は概ね満70歳まで、完済時は80歳です。先を見越しての貯金や積立、返済計画が必要となるでしょう。
マンションは、住宅ローンが終わっても管理費や修繕積立金等は毎月支払います。大規模修繕をする場合は増額や一時金を要求されるケースも。部屋のリフォーム費用、電化製品等の買い替え、給湯器やガスレンジの交換なども含めて、概算を出しておきましょう。
●医療費
「2021年度生命保険に関する全国実態調査:生命保険文化センター」によると、自身のケガや病気について88.5%が不安を感じているという結果が出ています。しかし医療保障に対して準備をしている人は82.7%とあり、手術や入院などの、もしものために保険に入っている人は多いです。ガンなど3大疾病に対する保険の種類も豊富で、医療費については情報も多く、比較的備えはできているという印象です。加えて高額療養費制度や医療費控除などの減免制度の知識も得ておくと良いでしょう。
●介護費
前出の調査(2021年度生命保険に関する全国実態調査:生命保険文化センター)では、自身の介護に不安を感じているのは88.6%とケガや病気に対する不安より高くなっていますが、それに対して備えをしていると回答したのは53.5%にとどまっています。介護保障については医療保障に比べると歴史が浅く、公的な介護保険制度も十分ではなく、どうするべきか測りかねている方が多い印象です。
同調査によると介護費用の平均は月8万3000円、一時費用が約74万円、介護期間が平均61.1か月であり、総額は約580万円になります。もう少し詳しく見ていくと、介護度が重くなるほど費用は高くなり、要介護5の方の総額は約755万円に上ります。また、介護を行った場所別では、在宅では月平均4.8万円に対し、施設では12.2万円と、費用はさらに跳ね上がります。
施設は、国の補助金が多い特別養護老人ホームなどの介護保険施設は、比較的費用がかからないですが、入居待ちの期間が長く、かといって、現在の介護保険財政では、施設数の増加はなかなか期待できない状況です。民間の有料老人ホームの費用の平均値は、首都圏にある施設の場合、入居一時金が約700万円、月額費用は20〜25万円と言われています。5年間入居すると1人で総額2000万円以上が必要となる場合があります。。
保険商品や投資で備える
このような状況もあり民間の介護保険商品が増えています。一定の介護度認定や認知症と診断されたときに一時金や年金の形で保険金が入るという内容で、毎月の介護費用や老人ホームに入居する際の費用に充てることができます。
契約年齢が高いと保険料も高くなりますが、所定の年齢まで保険金を受け取らなかった場合は払い戻しがあるものや、親御さんを保険対象として入れるものもあります。ニーズに応じて早めに検討しておくと良いでしょう。
その他に老後資金に備える方法として「貯金」「投資」があります。低金利時代の今は、少しでも有利に増やせるものを検討しましょう。iDeCо(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどは初心者でも始めやすいものになっています。なお、投資は必ずリスクを伴いますので、余裕資金で行うのが鉄則です。しっかり調べて自己責任のもとで行うことを認識しましょう。
また、医療・介護保険制度には低所得者向けの減免制度や一定額以上は払い戻される制度があります。知らないと損しますので、確認しておきましょう。
元気なうちから介護予防
何よりも効率的な節約は健康寿命を延ばすことです。早い時期から食事や運動などの生活習慣に気を配り、ストレスを溜めない、孤独にならない生活を意識しましょう。それが介護予防・認知症予防となり、家族への影響も含めると数千万円の節約効果になります。
その環境が整っているのが、実は高齢者住宅です。規則正しい生活習慣のもと日々を過ごすことができ、コミュニティーも充実しています。元気なうちに適切な高齢者住宅に入居すれば住居のメンテナンス費用も要らず、安心安全な環境を手に入れることができます。リターンの多い先行投資とも言えるでしょう。
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