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対談企画「せんいの未来を語ろう。」(第2回)
せんいが守る暮らしの安全・安心とは?

 衣服の原料として注目されることが多い繊維ですが、災害の被害軽減や乗り物の安全性向上に一役買うなど、暮らしや産業を支える高機能素材としても重要な役割を担っています。産業資材の分野でも幅広い用途で独自素材の開発を進める「帝人フロンティア」の平田恭成社長と、アスリートの視点から社会課題の解決に取り組む元ラグビー日本代表キャプテンで起業家の廣瀬俊朗さんが語り合いました。

防災・減災に繊維の軽さが貢献

元ラグビー日本代表キャプテン・株式会社HiRAKU代表取締役CEO
廣瀬 俊朗 氏

廣瀬 高校卒業まで大阪で育ちましたが、1995年の阪神・淡路大震災は人生で最初に体験した大災害でした。テレビをつけると高速道路が倒れていて、中学生ながらに「大変なことになっている」と衝撃を受けました。

平田 私は入社10年目でしたので鮮明に覚えていますが、高速道路が倒壊した映像を見た時は、あり得ない光景にがく然としました。その後の東日本大震災や各地であいつぐ水害など、災害による被害を少しでも軽減できないかと、防災や減災に貢献できる繊維技術の開発を日々進めています。例えば、全国の高速道路で橋梁(きょうりょう)の耐震補強工事が進んでいますが、実はこうした重要インフラの安全性向上にも繊維は役立っています。コンクリートを打設する際、私たちが開発した特殊繊維をメッシュ状にした「SAMMシート」を内部に入れると、コンクリートがはがれ落ちるのを防いで、ひび割れを抑制できます。

廣瀬 それはすごいですね。高速道路と繊維の関わりは想像もつきませんでした。衣服や日用品だけでなく、様々な構造物の補強材としても繊維は使われているんですね。防災に役立っている事例は他にもありますか。

平田 天井によく使われる石膏(せっこう)ボードは燃えにくい反面、非常に重量があります。そこで「かるてん」という天井材を開発しました。ポリエステル不織布をガラスクロスでサンドしたもので、重さはおよそ10分の1。地震で外れてもひらひらと落下し、人命を守ります。また、「かるかべ」はグラスファイバー製の不燃シートを使った防煙壁で、火災時に煙の流れを遮断し、避難する時間を稼いでくれます。ガラス製と比べてこれも10分の1の軽さで、しかも破損しにくいため、飛散した破片による二次被害などを軽減します。

廣瀬 どちらの製品も関西らしいネーミングで、聞いたらすぐに特徴が分かりますね。

平田 災害時の仮設テントや避難用シェルターとして導入されている製品もあります。高密度のポリエステル繊維を使用し、超軽量でありながら太陽光や風雨にも強い「エアロシェルター」は、ファンで空気を送ることにより最短30分程度で設営可能な大型テントです。新潟県中越地震などの災害だけでなく、アフガニスタン避難民支援でも使われました。

廣瀬 災害などの避難では一刻を争うことが多く、短時間で場所を確保できるのは重要なポイントです。生地が薄いので、コンパクトに保管できそうですね。設置完成図を見ていると、子ども用のスポーツイベントでも使えそうな気がしてきました。いろんなサイズがあって、日よけや雨対策に便利そうです。

車の安全走行も繊維が手助け

帝人フロンティア株式会社 代表取締役社長執行役員
平田 恭成

平田 これまで、災害など非常時の活用例を紹介しましたが、日常の暮らしの安心を支えるためにも繊維は活躍しています。例えば、自動車は「繊維のかたまり」といえるほどで、私たちの提供するエアバッグやカーシートの生地に加え、タイヤやホース、ベルトなどのゴム製品にも補強材として繊維が使われており、見えないところで車の安全走行を手助けしています。有害物質を含まない加工剤や再生ポリエステルを材料にするなど環境へ配慮した技術も開発しています。さらに、電気自動車や自動運転の普及に向けて、より快適な車内空間を楽しめるよう、ロードノイズを軽減する吸音材の開発も進めています。

廣瀬 ラグビーではフィールド上だけでなく、戦略立案や選手のサポートなど、試合の裏側で重要な役割を担うコーチやスタッフ、管理栄養士さんたちがいますが、まさに繊維は裏方として見えない部分で生活を支えてくれているんですね。

フロンティア精神を持って挑戦を

平田 廣瀬さんのお話を聞いていて、挑戦を楽しむ姿勢が私たちの目指す方向性と似ていると感じます。トライアンドエラーを繰り返し、10回に1回でも成功すれば成果につながるという意識を持ち続けられれば、変化にも柔軟に対応していけると思います。

廣瀬 アスリートの多くは体験することの大切さを肌身で感じています。僕自身は知らないことを知ったり、アイデアを試したりして、視点が違う多様な方々と一緒にプロジェクトを進めるのが大好きです。例えば、視覚障がい者の方にとって着やすい服を考えることが、誰もが快適に着用できる服作りにつながるといったように、その立場の人にしかわからない発想を生かしていろいろな可能性を拓(ひら)き、新しい世界につながっていけるとうれしいですね。

平田 全く同感です。出会いを大切にして、何か面白いことを一緒にやりませんかと積極的に声をかけていくことは大切です。社員には常にフロンティア精神を持って新しいことに挑戦するようにお願いしており、判断に迷った時には、自分自身の心に何が正しいのか問いかけてほしいと言っています。一瞬は利益を生んだとしても、正しくないことは長い期間で見れば通用しなくなっていきます。世の中にとって正しいことを追求し、社会に信頼される会社を目指していきたいと考えています。

元ラグビー日本代表キャプテン・株式会社HiRAKU代表取締役CEO
廣瀬 俊朗(ひろせ・としあき)
大阪府出身。慶應義塾大学理工学部卒業。5歳からラグビーに打ち込み、東芝ブレイブルーパスでは主将として2年連続日本一に。日本代表の主将も務め、2015年のワールドカップを最後に引退。現在は株式会社HiRAKUを起業し、スポーツの普及や教育、食、健康に重点をおいたプロジェクトに取り組む。

帝人フロンティア株式会社 代表取締役社長執行役員
平田 恭成(ひらた・やすなり)
広島県出身。神戸大学農学部卒業後、日商岩井に入社。合併や統合を経て、2012年に発足した帝人フロンティアで繊維資材本部長などを務めた後、20年に取締役常務執行役員産業資材部門長、21年4月から現職。座右の銘は後漢書が由来の「疾風に勁草(けいそう)を知る」。

[本対談は2023年10月に実施しました。]

【商品紹介】
防災関連製品をまるごと提案 モビリティ関連部材も充実


 防災性の高い建材のなかでも、特に採用実績の多い「かるてん」は長年培ってきた技術がフル活用されています。繊維がタテに並んでいるポリエステル製タテ型不織布を採用することで、1㎡あたり700gと繊維素材ならではの軽量性を実現。わずか4.5mmの薄さにもかかわらず、吸音性と断熱性にも優れ、大型ショッピングセンターや空港、ホールなど大勢の人が集まる場所を中心に導入が進んでいます。

 また、東日本大震災や熊本地震などの大規模災害では、防煙壁のガラスが飛び散ってけがをする二次被害が多発したことから、軽量で破損しにくい「かるかべ」に注目が集まりました。

 さらに、帝人フロンティアおよび協力会社の防災関連製品をパッケージにして提案する「まるごと防災」というプラットフォームを立ち上げ、災害による室内被害を最小限に抑え、早期の復旧に役立つラインアップの充実を図っています。

 自動車の安全走行を支える分野では、もしもの事故の時に搭乗者を守るエアバッグの基布を提供するとともに、ポリエステルやアラミドなどの高機能素材を使用したゴム補強材を開発し、タイヤやゴムホース、ベルトなど駆動系部品の材料として広く採用されています。そのほか、タイヤが路面に接地する際に発生するロードノイズを軽減する吸音材や高品位のカーシート生地なども手掛け、車内の快適な空間づくりにも力を注いでいます。

防煙垂れ壁「かるかべ」の説明を受ける廣瀬さん
(上)超軽量天井材「かるてん」の施工例
(下)「かるかべ」の施工例

このたびの令和6年能登半島地震により被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。