玉川大学
「全人教育」の実践
緑あふれる文教の地で自ら道を拓く力を育む
トップインタビュー
学びを通して人格の完成を目指す「全人教育」で総合力を養う
玉川大学 小原 一仁 学長
小田急線の玉川学園前駅から3分ほど歩くと、目の前に自然の景観を生かした美しいキャンパスが現れる。文教地区にも指定されているこの閑静な地で、玉川大学は100年近くにわたって着実に発展を続けてきた。
近年はICTの活用や最先端の学修環境づくりに積極的に取り組み、キャンパスは大きな進化を遂げた。しかし、創立者が掲げた「全人教育」という理念は、今も変わらず教育の礎としてしっかりと守り継がれている。この全人教育について、小原一仁学長は「教育を通して人格の完成を目指すもの」と語る。
「創立者は、学問・道徳・芸術・宗教・健康・生活の六つの分野を、一人ひとりの中で調和的に伸ばしていく教育を目指しました。学生には、これらの分野を満遍なく学び、経験しながら人格を完成させていくと同時に、社会に出てからも役立つ力を身につけてもらいたいと思っています」
社会で役立つ力として、小原学長は「強い意志」と「創造力」の二つを挙げる。前者は困難な状況にあっても最大限の力を発揮する原動力となり、後者は困難を打破する手立てを考え出す源泉となる。
卒業後にどんな道に進んでも、そこでベストを尽くし自ら道を切り拓ける人格と心身を育む――。この点こそ、玉川大学が展開する教育の最大の特徴と言えるだろう。
一方で、大学は学問にとことん向き合い、知識を体系化していける貴重な場でもある。玉川大学も、「学生生活の核となるのは学問」という小原学長の言葉通り、全人教育を基盤としながら各学部学科で多彩な科目を展開している。
カリキュラムは、学生が自分の興味や目標に応じて、段階的に深く高度な専門知識を身につけていけるよう工夫されている。また、教員のきめ細やかな指導にも定評がある。
「すべての教員が、教えることに対して強い情熱を持っています。教員の熱量に感化されるのか、最初はおとなしい学生もゼミなどを通して自然と発言が増えていくことが多いです。それが教員の意欲をさらに高め、いい循環が生まれています」
加えて、「労作(=実践)」を奨励している点も特徴的だ。これは、どんな知識や経験も活用してこそ生きるという創立者の考え方に基づいたもの。学んだことを現実社会で実践しようとする姿勢を持ち、実際に挑戦すれば、その行動自体が成長や自信につながっていくことだろう。社会に出てからも大事にしてほしい考え方のひとつとして、小原学長は「労作の意義を繰り返し学生に伝えていきたい」と力を込める。
こうした学びの舞台となるのが、約61万平方メートルもの広さを持つ緑豊かなキャンパスだ。美しい自然景観や静かで落ち着きのある空間は、創立時から大切に守り継がれてきたもの。この恵まれた環境の中で、学生は四季折々の自然を身近に感じながら学びに集中することができる。
8学部17学科がすべてワンキャンパス内にあるという点も大きな魅力だ。この利便性を生かして、学部学科の垣根を超えた交流やコラボレーションも盛んに行われている。例えば複合領域研究という学際科目では、工学・農学・芸術を融合させた価値創出プロジェクトや、観光・工学を融合させた未来創生プロジェクトなどが進行中。いずれも学部の違う学生たちが力を合わせて研究に取り組んでいる。
さらに、同じキャンパス内には玉川学園の幼稚部や小・中・高等部もあり、学生は幅広い年齢層の子どもたちと接することができる。登下校時や学園の児童・生徒・学生が一堂に会する体育祭など、幅広い年齢、多様な人々と出会える機会は多い。こうした環境で過ごせば、多様性への理解も自然と深まっていきそうだ。
総合学園の強みを生かした連携プログラムも豊富だ。幼・小・中・高の生徒が参加するサマースクールや探究学習研究会などに大学教員やゼミの学生たちが協力するケースも多く、学部学科だけでなく学年や年齢の垣根も超えた柔軟な交流が展開されている。
2029年には100周年を迎える。学園のさらなる発展や、学生が自信をつけ笑顔で巣立っていける大学づくりを目指して、「教職員と一丸となって、できることはすべてやっていきたい」と小原学長。
「本学は若者が健やかに、穏やかに過ごせるエリアにあり、キャンパスにも学生が学びに専念できる落ち着いた環境が整っています。自分のペースで学びを深めていきたい人は、ぜひ来ていただきたいですね。学生一人ひとりがより大きな夢やより多くの夢を実現できるよう、全力で応援していきたいと思います」
TOPICS ダンスドリルチーム「JULIAS」 世界大会で金メダルを獲得
玉川大学はクラブ活動が盛んなことでも知られ、現在、体育会と文化会をあわせて50以上ものクラブがある。中でも近年目覚ましい活躍ぶりを見せているのが、体育会ダンスドリルチーム「JULIAS(ジュリアス)」だ。
ジュリアスは、チアリーディングから派生した芸術性の高いスポーツ「チアダンス」の強豪チーム。以前から国内外で好成績を収めてきたが、今年に入ってからさらに飛躍し、2月には全米チアダンス選手権大会のHipHop部門で1位、Pom部門で2位を獲得。さらに4月には、世界最大規模のチアダンス大会と言われる「ICU世界チアリーディング選手権大会」に日本代表として出場し、二つの部門で金メダルと銀メダルに輝いた。
現在の部員数は60人。全員がさらなる高みを目指して学業と両立しながら日々練習に励んでおり、「スポーツの玉川」を象徴する存在として、より一層の活躍が期待されている。