京都産業大学
人や物事がつながり、新たな価値を生み出す
ワクワクに満ちた幸福感あふれる大学に
京都産業大学 在間 敬子 学長
ジャーナリスト 辛坊 治郎 氏
3つの視点からより良い大学づくりを推進
辛坊 学長ご就任、おめでとうございます。先生は就任にあたって、3つのポイントを掲げられました。
在間 ありがとうございます。第1のポイントは、AIやDXを推進する技術の教育への活用です。オンライン授業に代表されるように、技術は適切に取り入れることで学びの可能性を大きく広げてくれます。議論になりがちな生成AIも含め、「適切に使う方法」をしっかりと教育していきます。
第2のポイントは大学のオープン化を進め、人材交流やイノベーションを生み出すことです。具体的には企業や地域との連携を深めます。これにより、現在以上に学生に豊かな学びの場を提供していきます。
第3のポイントはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)やカーボンニュートラルに関する取り組みです。本学では2023年度に、従来のダイバーシティ推進活動を発展させてDE&I推進の行動計画を策定しました。今年9月にはカーボンニュートラル宣言を行いました。いずれも、先進的な大学にふさわしい活動として、積極的に取り組んでいきます。
物事の“つながり”を理解し相対的・全体的に判断を
辛坊 振り返れば戦後の日本は、会社が敷いた道の上を全力で走ることができる人を求めてきました。でもそれではもう立ち行かない。「どちらに進むか」までを含めて、自分で考えて走ることができる人が求められているのです。政府は理系人材の育成について掲げていますが、社会に出て求められる力・人材とはどのようなものだとお考えでしょうか。
在間 ITを例に挙げるなら、「使えること」だけでは十分ではありません。ITを使って問題を発見したり解決策を考えることこそが重要です。論理的思考が求められているのです。そういった資質を備えた人材を、私たちが育成します。
辛坊 今や経済学部であっても数学、すなわち論理的思考が求められる文理融合が必要な時代です。
辛坊 先ほどのカーボンニュートラルの話で言えば、日本は非常にもったいないことをしたと思うんです。例えば太陽光パネルは、20年前の日本は世界最先端の技術を開発していました。ところが増産のフェーズになると、すっかり海外に持って行かれてしまいました。
私は常々「日本は資源のない国というのは本当だろうか」と疑問に思っています。幕末の日本は、3000万人の生活をほぼ国内の資源だけでまかなっていました。どうしてこんなことが可能だったかというと、豊かな緑と水があるからです。太陽光発電で言えば、日本の緯度は発電に非常に適しています。日本は資源が豊かだと考えるぐらい発想を転換することで、再び世界をリードするチャンスがあるように思います。先生はサステナビリティについてどのような問題意識をお持ちでしょうか。
在間 つながりを理解する必要性を感じています。例えば太陽光発電の推進を考えるばかりに、森林を大規模に伐採するということも起こっています。物事はつながっていて、ある行為は別の好まざる出来事を引き起こす可能性を持っているのです。それを理解し、相対的・全体的に考えることが大切です。ここに教育の力が発揮されるべきだと考えています。
一生懸命な人が集まり“引力”が生まれる
在間 本学の強みの1つは、16万人を超える卒業生の存在です。これだけの人数がつながり、手を取り合えば大きな力を生み出すことができます。まさに本学が掲げる「むすんで、うみだす。」です。
辛坊 歴史、そして卒業生は何物にも代えがたい財産です。先生が描いている今後の大学像はどのようなものでしょうか。
在間 よりオープンな大学にすることで、学生に成長の場や機会を提供したいです。学びがあったり、ほっとできたり。あるいはワクワクできたり、成長できたり。そういった場所は、「幸福感あふれる場」だと思います。私は、本学を幸福感ある大学にしたいです。
辛坊 ワクワクできる大学っていいですね。私は京都産業大学に、引力や磁場のようなものを感じます。それはきっと、何かに一生懸命になっている人が集まることで生まれる力です。しかも緑が豊富で夜空もきれい。すばらしい環境です。
在間 「京都産業大学で学ぶこと、過ごすことはワクワクする」という気持ちを、多くの学生や教職員が共有しています。今後もより多くの方に、本学ならではの幸福感を体験してもらいたいです。
辛坊 最後に私から一言。京都産業大学に通われる際は、ぜひ大学の少し手前のバス停から歩いてみてください。美しい空気と美しい緑の中、磁場に吸い寄せられるような心地いい時間を過ごすことができるはずです。本日はありがとうございました。
在間 ありがとうございました。