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読売大学セレクション-京都産業大学

大学セレクション

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京都産業大学

ONE CAMPUSから未来に挑戦する人を

イノベーションの創造都市 京都を舞台に学ぶ

京都産業大学 文化学部 学部長  村上 忠喜
京都産業大学 イノベーションセンター長  具 承桓

 千年を超える歴史の中で磨かれた伝統文化を背景として、創造と革新を繰り返してきた街・京都。その京都の文化を丹念に掘り下げる学びを提供する文化学部の村上忠喜学部長と、京都をフィールドに新しい発想でリアルな課題に取り組むイノベーションセンター・具承桓センター長が、地域・企業・学生がつながる多様な学びの場「町家学びテラス・西陣」で、2025年の京都産業大学創立60周年に向け、新しい学びと展望について語り合った。

写真左=村上 忠喜 同右=具 承桓

豊かな歴史と多様性 恵まれたフィールド

 ──大学時代に京都で学ぶ意義はどんなところにあるでしょうか?

村上 こぢんまりした京都には、この「町家学びテラス・西陣」のように、他大学の学生や地域の方々との交流など直につながるアカデミックな風土があります。

 また祇園祭の装飾品ひとつとっても、歴史都市京都の一画に、社会のありさまがうかがえます。学者が由緒を調べ、芸術家が下絵を描き、隣に金銭的に支えるパトロンがいて、近所の西陣の織師が幕に仕立て、見物客を呼ぶ興行を担う人がいて……。狭い盆地で千年以上にわたって、創造しては壊しながら練られてきた文化は、イノベーションを繰り返してきたのです。学生にとっては、この街はあらゆる学びがそこかしこにあふれています。

 私も京都は、学問を大切にする土地柄と聞いてきました。そして京都で学ぶというのは、自分と違ったバックグラウンドを持つ人と出会えるチャンス。多様な人々が集まる、日本でも貴重な街だからです。京都の大学生数は14万人以上と全国で東京に次いで第2位。入学卒業で毎年入れ替わり、常に新しい考えや経験を持った人が出入りする構造です。

村上 本学でも関西以外の出身学生は3〜4割を占めています。

 はい。さらに留学生だけでなく、インバウンドの外国人と触れ合える機会も、他の都市とは比べものになりません。
 また、技術的イノベーションにおいて、産業や世界が直面している問題を解決するための力を持った企業が京都にはいくつもあり、海外から見ても、その革新的な技術は高く評価されています。学生にとって、刺激の多い環境と言えるでしょう。

要のフィールドワーク 特色あるカリキュラム

京都産業大学 文化学部 学部長 村上 忠喜

──京都文化学科設置から10年、学科の学びはますます充実していますね

村上 京都文化学科には特徴ある三つのコースを設置しています。共通するのは、フィールドに出て多彩な実習・演習を通じ、日本の、とりわけ京都文化の本質を探ること。また2年次からの少人数グループによるゼミが特徴です。

 能動的に学ぶ姿勢を養う1年次の必修科目「京都文化フィールド演習」は、テーマが教員によって異なりバラエティーに富んでいます。例えば、祇園祭に向けた函谷鉾町(かんこぼこちょう)での運営支援や、企業との交渉・運営などをトータルで体験。その他、寺院の文化財調査、北野天満宮の北野祭復興プロジェクトに関わるなど、伝統文化や現実の課題に触れられる実践的な機会です。

 学生の自由選択なので、おのおのの興味に合った学びが得られるでしょう。テーマに強い関心を持った学生の中には、一つではなく二つ、三つとテーマ選択をする熱心な学生もいます。

 そして26年に学部の組織改編を計画されていますね。

村上 はい、新しく3学科に改編(文化構想学科、文化観光学科を開設予定)し、カリキュラムを再編します。これまで同様、京都に特化した学修とフィールドワークの学びに加えて、これまで以上に英語運用能力の強化と、AIやデータサイエンスの活用にも注力していきます。

充実した学びと支援 起業家精神育成プログラム

京都産業大学 イノベーションセンター長 具 承桓

──イノベーションセンターはどんな教育活動を行っていますか?

 我々は昨年23年からスタートしました。提供するアントレプレナー育成プログラムは、全学部が一拠点に集まる「ONECAMPUS(ワンキャンパス)」ならではの取り組みで、10学部すべての学部の教員が関わり、四つの講義と二つの実践的演習で構成。全学部・全年次の学生が誰でも受講できます。失敗しても前に進む、そんな挑戦する姿勢についても体系的に学び、できるだけ文系理系、学部を超えたチーム編成によって人的化学反応を促します。

村上 スタートアップ、ベンチャーの「数」ではなく、アントレプレナーシップを「身に付けることそのもの」が目的ですね。

 社会に出て問題にぶつかった時の解決の糸口や、ネットワーキング、経済的な問題を含め、会社法、税法といった法律関係を学び、人との悩み、技術的に行き詰まった際のアドバイスなど、教育と起業支援体制の両方そろっているのが特徴です。起業した卒業生と結びつけたり、関連企業との連携を取り持つなどのバックアップを行います。「同じ志を持った友人と学びながらアイデアをブラッシュアップできる」「悩みながらも共に成長できる」といった手応えの声を、すでに学生からも耳にしています。

多様な挑戦を後押しする アクティブラーニング

──大学での学びは、将来にどう生かされるでしょうか?

 演習では現在、豊田通商(株)と共同し台湾メーカーのキムコという企業の電動バイクの実証実験を行なっています。他には、西陣織の帯で創った新しい洋服ブランドを立ち上げ、教員と戦略を立てて、シンガポールに売り込み中の卒業生もいます。本学の学生は新しい発想と可能性を持って社会に出て行こうとしています。我々は学生にベンチャーを作りなさい、とは言っていません。学びのプロセスで得られるものが、卒業後に人生の役に立ちます。社会に出た時につながる、少し違った経験をしたい人を大事にしていきたいです。

 周りと一緒だと居心地はいいけれども、型やぶりでエッジの立ったアイデアこそイノベーションを起こします。日本企業の多くは安定を求めがちで、それが原因で世界に遅れをとりつつある。企業はもっと革新にシフトすることが必要かなと思いますね。

村上 まさに得心します。私たちの研究する伝統文化・産業は、既存の枠にとらわれて保守的だと思われがちですが、イノベーションの可能性を秘めています。

 例えば北山杉は世界に誇るクローン林業で、大変な手間をかけて節のない木を育てます。その様子を見学したフランス人が、北山丸太を薄く剥いで、その裏面を利用することに着目しました。裏側が美しくどこにもない木目で、家具の装飾に使いたいと言うのです。伝統産業の中に新しい発想で価値を見いだし、ビジネスチャンスが生まれた一例です。

 京都の文化とイノベーションのアクティブな学びが、学生にこれからの時代や社会の脈絡を捉えるヒントを与えてくれるでしょう。

町家とは
京都の町並みや生活文化の象徴であり、深い奥行きや通り庭など古都の趣を残す木造家屋

■Profile■
文化学部 学部長・教授 村上 忠喜(むらかみ・ただよし)
1984年、同志社大学文学部文化学科文化史学専攻卒。91年佛教大学・文学研究科・博士課程単位取得満期退学・文学修士。91年よりたばこと塩の博物館・研究員。96年より京都市文化財保護課・文化財保護技師。


イノベーションセンター長・経営学部教授 具 承桓(ぐ・すんふぁん)
1996年、釜山大学校大学院・経済学研究科・修士課程修了。2000年、東京大学・経済学研究科・修士課程修了。07年、東京大学・経済学研究科・博士課程修了・博士(経済学)。17年より21年まで京都産業大学経営学部長、大学院マネジメント研究科長を歴任。23年4月より現職・京都産業大学・イノベーションセンター長。

学部・学科
  • 経済学部
  •  経済学科

  • 経営学部
  •  マネジメント学科

  • 法学部
  •  法律学科、法政策学科

  • 現代社会学部
  •  現代社会学科、健康スポーツ社会学科

  • 国際関係学部
  •  国際関係学科

  • 外国語学部
  •  英語学科、ヨーロッパ言語学科、アジア言語学科

  • 文化学部
  •  京都文化学科、国際文化学科

  • 理学部
  •  数理科学科、物理科学科、宇宙物理・気象学科

  • 情報理工学部
  •  情報理工学科

  • 生命科学部
  •  先端生命科学科、産業生命科学科

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