甲南大学
「ミディアムサイズ総合大学」の強みを生かした「彩り教育」を展開
トップインタビュー
伝統の「人物教育」に時代に応じた「彩り」を
甲南大学 中井 伊都子 学長
学生の個性を力にする
「彩り教育」を展開
新たなグローバル教育
「STAGE」の始動
その一環として24年度からスタートしたのが、グローバル教養学環「STAGE」です。ミディアムサイズ総合大学の特色とグローバル教育の伝統を生かし、「学びの環(わ)」として豊かなグローバル教養の学びを提供します。国際社会と地域社会における課題解決に貢献する「グローカル人材」として、世界基準で考え、第一線で活躍する人物の育成が目的です。複数言語圏への「ダブル留学」やプロジェクト型学習などに取り組むため、志が高い学生が多く、本学の学びに新たな「彩り」を与えてくれています。理系3学部で
「進化型理系構想」を推進
理工学部は、既存の3学科から、26年に新設予定の「環境・エネルギー工学科」を加えた4学科体制に改組します。知能情報学部では、AIとデータサイエンスを中心とした6つのコースを横断的に学ぶのが特色です。24年開設の「甲南デジタルツイン研究所」では、AIやVR、ロボットなどの末来創造型研究と、デジタル技術を物流分野で活用するための社会実装型研究を推進するなど、情報ジェネラリストの養成力を強化しています。フロンティアサイエンス学部では、26年度に4つのサブコース(医療、創薬、先端材料、化粧品・食品)を設置する予定です。神戸医療産業都市という地の利を生かした「研究開発リーダー養成プログラム」を新設するほか、「先端生命工学研究所」との連携強化も図ります。
今後も、建学の精神である「人物教育」に軸足を置きながら、グローバルや高度理系など、時代に応じて「彩り」を加え、個性を力に変えて、社会で活躍できる人材を送り出すことに注力していきます。
中井伊都子(なかい・いつこ)/京都大学法学部卒業、同大学法学研究科修士課程修了、博士課程中途退学。2002年甲南大学法学部教授、同学部学部長、同大学副学長などを経て、20年同大学初の女性学長に就任、現在に至る。
世界基準の視点と行動力を備えた「グローカル人材」を育成するグローバル教養学環「STAGE」
「グローカル人材」を育成するために、異なる言語圏への「ダブル留学」を必須にするなど、STAGE では言語運用能力や国際理解、異文化間コミュニケーションに注力したカリキュラムを編成しています。外国語や国際理解に加え、社会科学やデータサイエンス・AI など、文理融合の学問領域を幅広く学べることが特長です。各分野の基礎を学んだうえで、自身の興味や目標にマッチする分野を掘り下げていきます。
1学年定員25名のSTAGEの学生は、専任教員11人の指導の下で学んでいます。それぞれの専門分野の第一線で活躍する教員陣がチーム体制で手厚く指導するのが特色です。1つの授業に対して常に複数の教員が参加しており、これ以上ないほど贅沢な少人数制を敷いています。また、教員は「アカデミックアドバイザー」も兼ねていて、学生との距離が近いのも魅力です。
さらに、地域社会や企業との連携も強化しています。ゼミ演習やプロジェクト型学習を通して、地域社会や国際社会が抱える課題の解決を図るなど、実践的に学ぶことが可能です。卒業後は、金融、保険、IT関連、商社・貿易のほか、各種製造・販売業の国際部門、報道機関などのグローバルに活躍する民間企業、行政機関・地方自治体・NGOなどの各種団体、国際公務員を目指した大学院進学といった進路を想定しています。
学生はそれぞれの強みを持ち寄り、学び合っています。彼らのポテンシャルをさらに伸ばす教育に取り組みたいと考えています。
2026年、理工学部に3つの新学科(設置構想中)が誕生
成長分野で活躍する理系人材を育てる4学科体制へ進化
甲南大学の理工学部のルーツは、1951年開設の文理学部にまで遡ります。その後、改組を重ねながら、現在は理工学部として物理学科、機能分子化学科、生物学科の3学科を擁しています。26 年度には「環境・エネルギー工学科」を新設すると同時に、物理学科を「宇宙理学・量子物理工学科」、機能分子化学科を「物質化学科」にそれぞれ再編し、それらに「生物学科」を加えた4学科に改組する予定です(設置構想中)。グリーントランスフォーメーション(GX) や、デジタルトランスフォーメーション(DX) など、成長分野の人材育成を強化するのが狙いです。
環境・エネルギー工学科では、「マテリアル」をキーワードとして、脱炭素社会に貢献する力を養います。太陽光発電、バッテリー、水素発生、資源・カーボンニュートラルなど、社会的要請が高い分野で活躍できる人材を育成することが目標です。私は従来のリチウムイオン電池よりも安全で高機能な全固体電池の開発研究をしています。他の研究室では、有機太陽電池の開発や、光触媒によって水から水素を発生させる研究、環境中の化学物質の量を正確に測る技術に関する研究など、実社会に貢献できる研究を進めていきます。
宇宙理学・量子物理工学科では、宇宙や原子核物理の分野で積み重ねてきた実績とノウハウを継承しつつ、「宇宙」と「量子技術」という社会から大きな期待が寄せられる領域をコース制で学ぶ環境を整えます。
物質化学科では、これまで機能分子化学科で取り組んできた基礎カ重視の化学教育をベースに、理学と工学の両面から次代の化学を切り拓く研究を展開します。
それぞれの専門領域で、理学(基礎)+工学(応用)の教育研究を一層強化し、コミュニケーションカと、物事を俯瞰的に見るカといった「甲南らしさ」を備えた高度理系人材を育てたいと考えています。「エネルギー分野で脱炭素社会の実現に貢献したい」「宇宙やAI技術に興味がある」など、ポジティブな考えの人に入学してほしいです。たとえ物理や化学が得意でなくても、1年次に基礎から学べる仕組みも準備中なので安心してください。
※設置計画は予定であり、内容が変更となる可能性があります。
※理工学部は、2026年に「環境・エネルギー工学科」の新設および既存学科の改組を予定しています。