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読売大学セレクション-インタビュー

大学セレクション

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大学の「学びの中身」を知り
ワクワクできる場所を目指そう

 今、社会は激しく変化しています。スマートフォンやAIの普及、グローバル化の進行など、その変化はとどまるところを知りません。そうした社会にも対応できるよう、高校では知識を活用する力や探究力を養う教育が重視されるようになってきています。これを受けて大学の教育や研究はどう変化しているのか、そして大学選びで意識すべきポイントとは──。大学教育や大学入試に詳しい、ベネッセグループ進研アド取締役の山田高幹さんに聞きました。


■Profile■
山田高幹(やまだ・たかもと)
1974年愛知県生まれ。進研アド取締役。1996年からBenesse Corporationにて勤務する。進研模試や多くの高校向けサービスに携わり、営業本部長を経て、2016年より関西学院大学へ入職。同大学では、入試広報や入試制度改革などを推進した。2024年より、進研アドにて大学・短大の学生募集領域などの事業に携わる。

Q.社会の変化を受けて、大学の教育はどのように進化していますか?

 大学の各学部における教育や研究は、世の中の変化に合わせて進化しています。今、高等教育では探究的な学びが広がっていますから、大学もそれを受けて、探究を生かした入試やカリキュラムを実施するなど、生徒の力を伸ばそうと工夫を重ねています。

 また、時代に合わせて進化しているのは、データサイエンスや情報デザインといった目新しい名の学部・学科だけではありません。既存の社会学部や経営学部といった学部・学科でも、現在ではAIやスマートフォンといった最新テクノロジーを取り入れた研究が進められています。どの学部・学科を選んでも、最新の研究に触れられると言えるでしょう。


Q.大学にはたくさんの学部・学科がありますが、どう選んだらいいのでしょうか。

 一番大事なのは、自分が何に興味があるかを知ることです。そして、時代の先端を行くようなことを学びたいという人も、新しい学部だけではなく、現在ある学部も含めて検討してほしいですね。例えばAIやプログラミングに興味があって、専門的に学びたければ情報系の学部・学科が連想されますが、最近はそれらの授業をどの学部の学生も受講できる選択科目のような形で用意する大学も増えています。例として、文学部に入学しながら、AIやプログラミングを学ぶカリキュラムも選べる、などです。

Q.学部選びや大学選びの際に意識すべきポイントを教えてください。

 まずは大学選びより先に、どんなことをどんなレベルで学びたいかを元に学部・学科を選んでもらえたらと思います。その選び方について、もう少し詳しくお話ししましょう。

 例えば宇宙に興味があったとしたら、どんな学部・学科を選べばいいのか。宇宙学部や宇宙学科を探せばいいと思うかもしれませんが、実はそうした名前の学部・学科はほとんどなく、多くの大学では理学部物理学科の中に置かれていることが多いです。これは物理学の発達とともにあったことに起因しています。

 また、新しい化粧品を作ることが希望だったら、どんな学部・学科を選べばいいでしょうか。答えはどのような研究をしたいかによって変わってきます。美容に効果的な成分なら化学科、皮膚の仕組みなら生物学科、人の目に美しく見えるための情報分析なら情報工学科など、たくさんの選択肢があるのです。

 こうした学部・学科のすみ分けについては、高校生の段階ではイメージしにくいかもしれません。それでもできる限り自分から情報を取りに行って、それぞれの学問や研究の中身をつかむよう心がけてほしいと思います。

 その上で大学選びについてですが、受験が近づくほど、受験する模試が多くなり、判定結果を眺める機会も増えます。それによって、最初は「学びたい大学・学部選び」だったはずが、いつしか「偏差値と入試科目による大学・学部選び」だけに変わってしまうこともしばしば起こります。これはとてももったいないことです。

 大学は学びと研究の場です。学びたい分野にその世界の第一人者がいるなら、その先生がいる大学を目指してもらいたいですし、研究に実験が伴うなら、実験設備環境も大事になってきます。大学を選ぶ際は、常に「何を学びたいか」「そのためにはどんな環境がベストか」に立ち返って考えるよう意識してほしいと思います。


Q.目指す進学先の学問や研究の中身を知るにはどうすればいいのでしょうか。

  大学案内などの発行物とオープンキャンパスを最大限に活用しましょう。大学案内では、ぜひ学部・学科一覧のページを探して「この大学にはどんな面白い学問があるのかな」という視点で見てみてください。そうすれば、学部・学科のすみ分けや自分の興味対象に合うかどうかも見えてきます。同時に、目指す学部・学科の研究室のサイトを見るのもおすすめです。詳しい研究内容が載っていますから、研究の中身がよくわかると思います。

 さらに、オープンキャンパスにも足を運びましょう。目指す学部・学科の先生や学生と直接話して、この大学の魅力やどんな研究をしているのか、何が面白いのか、どうしてこの分野に飛び込んだのかなどを聞いてみてください。

 世の最先端は大学の研究からも生まれています。その研究者は一人ひとりが「知の宝庫」でありその分野のプロです。皆が夢とロマンを持って研究に取り組んでいるので、ぜひその思いに触れてほしいですね。そこを知った上で受験し、合格すればワクワクした気持ちで大学に行けますし、入学後、専門課程に進むのも待ち遠しくなるでしょう。


Q.これから受験を控える皆様に向けて、応援メッセージをお願いします。

 ここまでお話ししたことはすべて、よりよい大学生活を過ごすための下準備です。大学で学ぶには費用もかかりますから、しっかり資料を見て、大学に直接行って研究して選びましょう。その際は「偏差値や入試科目」だけではなく「学びたいと思った学問」を大切にしてほしいですね。

 受験を控える子を持つ皆様も、本人が選んだ「自分が輝ける場所」へと背中を押してあげてください。受験生の皆さんが、来年の4月には自分にとって最高の場所に、知的にワクワクできる場所にいることを願っています。


ありがとうございました。
(取材協力=進研アド エリアプランニング部 和田 香菜子)