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六本木ヒルズが実現するあらゆる人々に開かれた「文化都心」

20年の時を経てなお東京の磁力を高め続ける街

 今年4月、開業20周年を迎え、ますます活気づく六本木ヒルズ。来街者数は年平均4000万人を数え、歳月を経ても街の磁力は高まり続けている。

 六本木ヒルズの都市再開発事業が具体化したのは、当時日本が急激な経済成長のなかにあった1986年のこと。都市づくりにおいても経済的な視点に偏り、文化や人々の交流は置き去りになっていた。「経済だけで文化がない都市では世界の人々を引きつけることはできない」との危機感から、文化がもたらす豊かな都市生活と経済の両立と融合を目指して誕生したのが、「文化都心」六本木ヒルズだ。

 六本木ヒルズを手掛ける森ビルが創造する「文化都心」とは、「暮らしや仕事、買い物の合間に気軽に世界のアートに触れ、一流の人々から学び、旬な人々と交流できる場と機会と時間がある街」を意味する。事実、六本木ヒルズは文化との距離が近い。美術館やギャラリー、ホールなど文化施設が配置され、点在する約20点のパブリックアートとストリートファニチャーは、街に彩りを添えながら楽しい散策を提供している。一年を通じて文化イベントも数多く企画され、多くの人がその場を通じて交流を楽しんでいる。なかでも、六本木ヒルズほか六本木エリア全体で展開される一夜限りのアートの饗宴きょうえん六本木アートナイト」は必見(2023年は5月27・28日に開催)。過去には約80万人を動員した本イベントで、六本木の街が持つエネルギーを感じてほしい。

文化都心・六本木ヒルズをけん引する森美術館

展示風景:「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」森美術館(東京)2023年
撮影:田山達之
画像提供:森美術館

 六本木ヒルズの文化を語る上では欠かせないのが、森タワーの最上層に位置する森美術館。現代アートを扱う美術館として、「文化都心・六本木ヒルズ」をけん引してきた。累計来館者数は1880万人を数え、名実ともにアジアを代表する美術館へと成長した。20年間で60本を超える企画展を開催し、70以上の小企画展なども実施している。

 その根幹にあるのは、あらゆる年齢、地域、国々の人々に開かれた美術館でありたいという想い。森美術館は、多様な人が訪れ、現代アートの「わからない」世界に出会い、学ぶことのできる場となっている。

 そのようないわば「世界の教室」ともいえる森美術館で、現在開館20周年記念展として「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」が9月24日まで開催されている。現代アートを、国語・社会・哲学・算数・理科・音楽・体育・総合の8つの教科に分け、多様な観点から現代アートを考えることができる。また森美術館の企画展としては初めて、出展作品約150点の半数以上を森美術館のコレクションが占めていることも見どころの一つ。もちろん本展のための新作も披露される。20周年を迎えた森美術館が今私たちに見せる「アート」を、その目で確かめてほしい。

アートがもたらす対話で新たな自分に出会う

インタビューに答える白木氏
撮影:御厨慎一郎

 森美術館では、現代アートをより広く、深く、ともに学ぶための多彩なプログラムも実施している。美術館のスタッフと会話しながら作品について考えたり、手話と言葉を使って展覧会を鑑賞したり…。さらに作品について出展アーティスト本人と直接対話ができるのも、現代アートを扱う美術館ならではだ。このようにいろいろな形でアートと触れ合える「ラーニング」と呼ばれる取り組みについて、森美術館のアソシエイト・ラーニング・キュレーターの白木栄世氏に聞いた。

 開館当時は、パブリック・プログラムという名称で「さまざまなバックグラウンドの人に楽しんでもらえるプログラムを」の方針のもと展開。その後2017年に「ラーニング」に改称した。

「社会がより複雑かつ多様化していくなか、美術館の在り方も変化してきました。従来型の教育普及活動のような、美術館スタッフやアーティストが来館者に一方向的に情報を与えるものではなく、さまざまな異なるコミュニティーに属する人々がそれぞれの関心や知識、経験を共有し合い、双方向に学び合う『ラーニング』という考え方が国際的な動向となりました。森美術館もこの『ともに学ぶ』姿勢を持つことを表明するべく、改称しました」

 初めて出会う人との対話を通じてアートへの学びを深めていくことで、自分のこともより知ることができた、と感想を述べる人が多いのだという。

「趣味や嗜好は、十人十色。だからこそ一つのアート作品に対しても、異なる見方、受け取り方があるんです。そのオリジナリティーは、他者と対話することで初めて気づくことができます。対話を通して初めて自分の嗜好しこうを言語化できたという人も多いです。ラーニング・プログラムに長年参加し続けてくれている参加者に、今年行ったインタビューでも、参加者がアートを通じて自分を知り、他者を知る喜びを感じているということを改めて認識しました」

【ラーニング・プログラム参加者インタビュー動画】

カテゴライズしないからこそ集いやすい

「六本木クロッシング2019展:つないでみる」
ワークショップ「猫になって猫オリンピックの開会式に行こう」実施風景
撮影:鰐部春雄
写真提供:森美術館

 森美術館のプログラムには、ユース向け、キッズ&ファミリー向けなどのカテゴリーがあるが、障がいのある人とない人がともに学ぶプログラム、「自らをシニアだと思う方」向けプログラムなど、実は明確にカテゴライズされていないものも多い。

「プログラムの対象を『シニア』から『自らをシニアだと思う方』に変更してからは、『いずれシニアになったときの美術館との付き合い方を考えたい』と、30代の方も多く参加してくださるようになりました。また、一口に耳に障がいがあるといっても、聞こえにくさや聞こえなくなった時期など人それぞれ異なります。『ラーニング』というプログラムを介して、年齢や世代、障がいの有無などの一般的なカテゴライズを超えて出会った多様な参加者が、対話し、一緒に楽しみ、学び合える企画を意識しています」

 2019年には美術家の竹川宣彰氏の《猫オリンピック:開会式》(2019年)を題材に、「猫になって猫オリンピックの開会式に行こう」というプログラムを開催。

「あえて参加者の共通項をあげるとしたら猫が好きな人が多かったというぐらい。保育園に通う子どもやティーンエージャー、大人までバックグラウンドの異なるさまざまな人が集まりました。プログラムの中でプラカードを制作したのですが、下描きをする大人、いきなり原色で色を塗りだす子ども、友達の制作の様子をうかがいながら進める子どもなど、カテゴライズしないからこその多様な表現が見られましたね」

2023年ますます期待高まる「文化都心」の発展

 このカテゴライズしないプログラムは、六本木ヒルズにある美術館だからこそ実現できているという側面もある。

「六本木ヒルズには、世代や性別はもちろん、そこに住む人や観光・買い物をしに来た人、オフィスで仕事をする人など、目的も国籍も異なる人々が会します。そのような街にある森美術館だからこそ、さまざまな人々が集い、対話・交流できる美術館でありたいですね。今後は、六本木ヒルズとして20年間かけて培ってきた六本木というエリア全体との結びつきを土台に、美術館の中だけに留まらない、より広がりがあるプログラムを展開していきます」

 森ビルは、今年新たに麻布台ヒルズと虎ノ門ヒルズ ステーションタワーを開業予定だ。これらのヒルズにも文化機能を備えており、ますます東京の磁力を高めるエリアになることが予想される。新たなコミュニティーの誕生がもたらす「文化都心」のさらなる発展に期待が高まる。