明海大学は、建学の精神に「社会性・創造性・合理性を身につけ、広く国際未来社会で活躍し得る有為な人材の育成をめざす」ことを掲げ、学生の夢の実現を様々な形で後押ししている。実学教育を重んじ、資格取得率と就職率において高い実績を誇るその学びには、どういう特色があるのか。明海大学の中嶌裕学長が、姉妹校として同じ志のもとに大学教育に取り組む朝日大学の大友克之学長とともに語った。
※過去6年間における新卒者の歯科医師国家試験合格率平均
歯科大学として スタートし総合大学に
—— 明海大学は姉妹校の朝日大学と多くの共通点があります。その一つが歯学部の単科大学としてスタートしたことですね。
中嶌 おっしゃる通り、明海大学は1970年、埼玉県坂戸市で歯学部の単科大学、城西歯科大学として開学しましたが、その後88年、千葉県浦安市に外国語学部と経済学部を新設して、校名を明海大学に改め、総合大学として歩み始めます。以降も不動産について専門的に学ぶ日本で唯一の不動産学部、観光業界で必要とされる知識を身につけるホスピタリティ・ツーリズム(以下、HT)学部、歯科衛生士を養成する保健医療学部など、特色ある多様な学部を次々新設しています。
大友 朝日大学も1971年に歯学部の単科大学、岐阜歯科大学として開学し、その後、経営学部を新設した際に校名を朝日大学とし、総合大学になりました。現在は法学部や保健医療学部といった様々な学びの領域を用意しています。
中嶌 両大学は姉妹校というより双子の大学という感覚があります。学生同士の交流も盛んで、「交換研修プログラム」は象徴的な行事です。両大学の歯学部生が一緒に米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)や中国の北京大学といった海外の協定校で最新の歯科医療技術や、各国の医療事情などを学んできます。互いに切磋琢磨しながら、国内では体験できない刺激を受けてきます。アメリカの学生はレベルが高く、「もっと勉強しなくては」とさらなるモチベーションにつながっているようです。
—— 両大学ともに財務力が高いとお聞きしました。
中嶌 学費も低額に抑えられています。全国私立大学歯学部における6年間の学費総額平均が約2700万円であるのに対して両大学は約1900万円です。自己資本比率が高く、全国の大学の中で明海大学、朝日大学ともにトップクラスを誇ります。経営基盤が安定しているからこそ可能なことです。
一般的に歯学部の学費は高額ですが、そのせいで若者が歯科医になる夢を諦めてほしくないという思いがあります。歯科医の裾野を広げるという点で歯科医療全体にとっても意味があります。
大友 両大学ともに、過去6年間の新卒者の歯科医師国家試験合格率平均が80%超と高い実績を誇ります。全国に歯科医師をめざせる大学は29大学あり、明海大学と朝日大学は29分の2ですが、両大学はその割合を上回る数の歯科医師を輩出しています。
中嶌 両大学は在学中だけでなく、歯学部卒業生をサポートする様々な関連機関やプログラムが用意されています。その一つとして「明海大学・朝日大学歯学部生涯研修プログラム」があります。姉妹校のUCLAとのジョイントプログラムで、我が国唯一の生涯研修活動として名実ともに発展してまいりました。
2021年度までの修了者は1万6899人に達しました。さらに海外からの受講者を迎えるなど、国際社会においても広く活動しております。歯科医師は常に新しい情報を吸収して、国民の健康に寄与する姿勢と歯科医療技術・資質などを含めた医療全体の質の向上を図ることが必要とされています。学部・大学院卒業後から歯科医師の生涯を通して、最新の歯科医学・臨床を将来にわたりサポートする充実したプログラムです。
Student’s Voice
歯科医師国家試験対策先生や先輩が親身にフォロー
坂戸キャンパスは全学生が歯学部生で、互いに刺激し合いながら勉強できる環境です。基礎教育、歯科医療や臨床に必要な知識と技術を4年次までに習得し、5年次からは付属病院などで臨床実習に臨みます。国家試験対策の勉強も始めていますが、先生や先輩が親身にフォローしてくれるので心強いです。
山岸咲来さん(歯学部歯学科5年)
学びの成果を可視化して
—— ともに宮田慶三郎氏によって創設された大学ですね。
中嶌 宮田慶三郎氏は歯科医、教育者であり、私自身、実はその教えを受けた一人なのですが、豊かな発想で日本にとって何が必要なのかを考え続けた人物で、不動産やビジネスの分野でも功績を残しています。そのスケールの大きい精神性は宮田侑氏(明海大学、朝日大学 前理事長、現相談役)によって具現化され、宮田淳理事長のもとに継承されています。
両大学に受け継がれる慶三郎氏の有意なDNAの一つが、夢を持つことの大切さです。夢とは社会に出て実現したい目標や目的。われわれはその後押しとして、きめ細かい実学教育を実践し、資格取得を奨励しています。しかし、「夢=資格取得」ではありません。大学を卒業するだけではなく、大学で何を学んできたかが問われる時代、その客観的な評価軸の一つが資格であると考えています。
大友 学びの成果の可視化という意味合いもあります。資格取得という成功体験がもたらす教育的効果は大きいと考えています。
—— 具体的にはどのような資格を取得されているのでしょうか。
中嶌 先ほど歯科医師国家試験の話が出ましたが、不動産学部では宅地建物取引士の資格取得をめざします。また、文系三大国家資格の一つである不動産鑑定士試験は、この3年で3人の在学生が合格しました。今年第1期生が卒業した保健医療学部では、全員が歯科衛生士国家試験に合格しました。外国語学部や経済学部などでも各種検定の取得を奨励しています。
—— 国際社会で活躍する人材の育成にも力を入れています。
中嶌 先ほど、お話しした通り国際色豊かな歯科医師の育成は、両大学の唯一無二の教育の特長となっており、そのほかの学部においても、人間性を高める国際交流を大切にしています。「多くの学生に海外体験をしてもらいたい」という思いから、費用全額を大学負担、あるいは学生の自己負担を軽減する海外研修制度を設け、これまでに多くの学生を海外に派遣してきました。また学内では、生きた外国語や異文化に、いつでも触れることができる「明海多言語コミュニケーションコモンズ(MLACC)」を用意しています。
—— 就職率も高い実績をあげています。
中嶌 キャリア教育を1年次から行うなど、就職支援に力を入れていることも要因でしょう。今年3月の卒業生では、HT学部はコロナ禍にあっても9年連続就職率100%を始め、外国語学部日本語学科・中国語学科、保健医療学部も全員が就職しています。※
また、今年からは公務員試験対策講座や起業のためのノウハウを身につけるプログラムを立ち上げ、さらに多様な夢の実現に向けた教育を始めています。
大友 国会議員や県歯科医師会会長など、明海大学のOBは社会で活躍している方も多いですね。姉妹校として誇りに思います。
※就職希望者に対する就職率。中国語学科は3年連続。
両大学の交流を深め 世界で活躍する人材を
—— 最後に高校生やそのご家族にメッセージをお願いします。
大友 少子化が進むなか、これからの学生が活躍する場は日本にとどまりません。中嶌学長は米国の大学でも教鞭をとられてきましたが、世界で活躍する人材を育成するため、両大学はさらに交流を深め、大学の国際化を推進してまいります。
中嶌 少人数制のクラスで教員が学生一人ひとりを丁寧にサポートしているので、保護者にとっても安心してお子さまを送り出せる大学だと自負しております。高校生に伝えたいのは、明海大学ではこれまでお話ししたように様々な形で好奇心を刺激する教育を実践していることです。そのなかで自分の夢を見つけて、将来のための学びに励んでもらいたいですね。