現金・預金の価値が目減りするインフレに対して どのような備えをしたら良いのでしょうか?
2022年に入ってからの世界経済は大きく変化した。
コロナショックからの回復でインフレ率が上昇する一方、ロシアがウクライナに侵攻したことでコモディティ価格が急伸し、インフレ率がさらに押し上げられた。これを受けて、米国を中心に各国中央銀行が利上げを開始するなど、状況は一変している。
また、米国金融当局による急速な利上げが株式市場を圧迫し、株価が急落するなど、投資マネーの動きにも変化が見られた。一方、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まりで、リスク回避の動きがさらに加速し、安全資産である金が買われる動きも見られた。ただし、米利上げを背景にドル高が加速する一方、円安も進んでいる。米インフレ率は40年ぶりの水準に達し、米金融当局は今後も利上げを継続するとの姿勢を鮮明にしている。今後も高水準のインフレ率が続く見通しであり、投資家はインフレに強いとされる資産である金への関心を高める可能性がある。金価格はドル高基調の中でも高値圏を維持している。今後、米金利の上昇が緩和し、ドルが下落すると、今度は一転してドル安が金相場を押し上げる可能性もある。
このように、金を取り巻く市場環境は徐々に金にとって優位になっている。今後は高水準のインフレの継続で通貨価値が不安定になる可能性がある。また、国際情勢の不透明感も残る。これらの点において、今後も金は実物資産・安全資産として買われやすいだろう。将来のインフレに備えるためにも、また現金の価値の低下リスクに備えるためにも、実物資産である金を保有しておくことが求められる。
ただし、金は相場商品である。日々値動きがあるため、購入するタイミングを計るのは簡単ではない。そのため、一定期間でタイミングを分散しながら積み立てで購入するなど、購入方法も工夫しながら保有量を徐々に増やしていくのがよいだろう。