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こどもみらいフォーラム おおさか

 子どもたちの今を支え、明日を一緒に考え、生きる力と未来を育むことを目的に様々な活動を行っている大阪府内の団体が一堂に会した「第1回こどもみらいフォーラムおおさか」(住友生命福祉文化財団ほか主催)が11月26日に大阪市内で開かれました。初めての開催となった今回、参加者はお互いの活動を理解し合い、子どもたちのために何ができるかを話し合い、連携を深めました。

《記念講演》野生から考える人間の文化的な力とこどもたちの未来

講師 山極 壽一(人類学者/総合地球環境学研究所 所長)

 これまで40年余りアフリカに通ってゴリラの調査をしてきました。ゴリラの目になって人間世界を眺めてみると、不思議なことに気づきます。その一つが、人間以外の動物にほとんど見られない「教育」という行為です。

 人間は他の動物に比べて離乳期が長くて成長が遅く、思春期に体が急成長します。離乳期と心身のバランスが崩れる思春期は子どもにとって危険な時期で、親だけでは支えきれないため、複数の家族を含む共同体ができました。見返りを求めず奉仕し合う家族と、互酬性を原則とした共同体とを両立させられたのは、相手の立場に自分も立つかもしれないという「共感力」を人間が高めたからです。他者と交流する中で、人間の子どもは、憧れを持ち、目標に向かって努力するという能力を発達させました。大人はそんな子どもの気持ちが分かるから、手を引き、背中を押して教育する。つまり教育とは、究極のおせっかいなのです。

 今の子どもたちは、人に聞かなくてもスマホをのぞくだけで知識を得ることができます。しかし人間は、移動し、集まり、対話することで未来をつくってきました。一緒に考え、共に実践することによって体で覚える「知恵」を蓄積していくために、共感力を使った学びの場を展開することが必要です。

 学校やフリースクール、子ども食堂などが、そのためのコミュニティーとなるでしょう。地域の多様な人々が集まることで、その社会は世界に開かれます。子どもばかりではなく大人たちの縁も消失しつつある今、子どもと一緒に世界を実感し、学ぶことが求められていると思います。


山極 壽一
(やまぎわ・じゅいち)1952年、東京都生まれ。京都大理学部卒、理学博士。ゴリラを主な研究対象として人類の起源を探っている。国際霊長類学会長、京都大学総長、国立大学協会長、日本学術会議会長などを歴任。2021年4月から総合地球環境学研究所長。主な著書に「スマホを捨てたい子どもたち─野生に学ぶ『未知の時代』の生き方」「共感革命」など。

《パネルディスカッション》こどもに寄りそうケアのある社会

パネリスト
持田 恭子(一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会 代表理事)
町 亞聖(フリーアナウンサー)

コーディネーター
濱島 淑恵(NPO法人ふうせんの会 代表理事)

―ヤングケアラーは「かわいそうな子」じゃない

濱島 ヤングケアラーという言葉がよく聞かれるようになりましたが、理解は進んでいるのでしょうか。

 ヤングケアラー全員に支援が必要なわけではなく、見守りだけで大丈夫な子もいます。「かわいそうな子」ではないということを知ってください。当事者の中にも進学するとか夢を見るのはぜいたくだと思い込んでいる子がいますが、家族のケアをしていても、自分の人生を自分の手でつかみ取っていいのだと思ってもらいたいです。

持田 いま、ケアの困難さだけが報じられ、それを見聞きした人に哀れみや他人事の感覚が生じていることを危惧しています。ヤングケアラーは同級生と同じ学生であることを忘れないでください。ケアをした経験がなければ他者が共感できないことは分かっていますが「自分が家族をケアするとしたらどう感じるのか」と自分事として捉える「共感的な理解をしてほしい」と子どもたちは思っています。

―当事者の声を聞き、自分事として考える

濱島 正しい理解を広めるためには。

 一番は当事者の声を聞くこと。子どもは困り事をうまく言語化できませんので、語りやすい環境を作ってください。この人なら話せると思ってもらえるかが大事です。

持田 同じ立場のケアラー同士で集まる会に積極的に参加してほしいです。支援者には子どもたちが自分を客観視できるプログラムを提供してもらいたい。そして、子どもが「頑張っていること」を価値として認めてほしいですね。

 直接話ができる機会があるのは学校の先生です。日頃の何気ない会話からSOSをキャッチすること、そして学校だけで解決しようとせずに、ためらわずに外へつないでください。対話をすることで困りごとを察知してほしいです。

持田 公的支援と併せて、民間支援団体が行っている居場所支援にもつなげてほしいです。仲間と出会い、対話をすることで子どもたちは「自分は一人じゃない」と安心することができます。

―ケア体験をプラスに転じられる環境整備を

濱島 国や自治体への期待も込めて最後にご意見を。

持田 逆境の中に身を置いても、自分が頑張っていることを自分で認められ、それを乗り越えてプラスの行動に転換していける。そんな成長を促していけるよう、教育や居場所支援などの環境を整えていくことが大事だと思います。

 学生のうちに全部解決できなくても、人を頼っていいのだと思えれば、ケアをしながら自分の人生を歩いていく道はできます。家庭の問題だからと歯を食いしばって一人で抱え込まないでいいと伝えたいです。また必要なタイミングで必要な支援が受けられるように情報を伝えていきます。

濱島 会場の皆さんお一人お一人が10人に今日の話をしていただくと、理解はさらに広がります。ぜひ一緒に社会を変えていきましょう。


持田 恭子
(もちだ・きょうこ)小学生のころから現在まで家族のケアを続けるケアラー。2013年より現在の取り組みを始める。令和5年度 第1回未来をつくる こどもまんなかアワード内閣総理大臣表彰「応援団」部門を受賞。


町 亞聖
(まち・あせい)1995年に日本テレビに入社、2000年に報道局に。11年にフリーに転身後、医療と介護を生涯のテーマに取材・啓発活動を続ける。高校3年時から約10年間、母を介護した経験のある元ヤングケアラー。


濱島 淑恵
(はましま・よしえ)大阪公立大学准教授。2016年、高校生を対象にヤングケアラーに関する日本初の実態調査を行う。19年に「ふうせんの会」を設立。著書に「子ども介護者 ヤングケアラーの現実と社会の壁」など。

大阪府内で活動する団体と参加者が対話

パネルディスカッション終了後には、大阪府内で子ども支援や居場所づくりに取り組んでいる団体による分科会が4会場で開催されました。参加者はそれぞれ関心の高い会に参加し、語りを聞いたり対話したりすることで理解を深めました。

■分科会①
福祉の領域を超えたつながり-WIN-WIN-WINから始まる…


 子ども食堂や職場体験、フリースクール等を展開する「こもれび」と、活動を支援している大阪西南ロータリークラブとが対談。福祉の領域を超えたつながりが生まれている現状から、様々な大人が子どもに関わる意義について考えました。
担当団体:こもれび


■分科会②
ヤングケアラーの視点からひろげる学校と地域の選択肢


 「ふうせんの会」スタッフによる分科会では、子どもたちは何を必要とし、周囲の大人たちはどのように関わることができるかを、当事者の経験や思いを共有しながら、ヤングケアラーと学校現場、双方の視点から考えました。
担当団体:ふうせんの会


■分科会③
ワークショップ:こどもの声をきく場・話せる場とは?


 2023年4月に施行された「こども基本法」を、“子どもを真ん中に”した施策として推進していくには――。二つのNPOによる分科会はグループワーク形式で進められ、参加者が意見を述べ合い、互いの理解を深めていました。
担当団体:FAIRROAD、やんちゃまファミリーwith


■分科会④
親と子を理解しようとする実践と未来


 子どもと若者に加えて保護者のサポートにもアプローチしている「み・らいず2」と、入居施設として地域支援もしている「ルフレ八尾」の実践を紹介。親と子双方を支えていくために必要なことを学び、自ら何ができるかを考えました。
担当団体:み・らいず2、八尾隣保館 ルフレ八尾

●当日の模様(一部)を視聴できます!●

当日のパネルディスカッションの模様をオンラインで視聴できます。ご希望の方は、下記ボタンよりお申し込みください。
※記念講演や分科会はご視聴いただけません。ご了承ください
※2024年1月31日(水)まで

主催:住友生命福祉文化財団、たんぽぽの家、読売新聞大阪本社
後援:大阪府、大阪府社会福祉協議会、大阪市、大阪市社会福祉協議会、大阪ボランティア協会
実行委員会:こもれび、ふうせんの会、FAIRROAD、み・らいず2、八尾隣保館 ルフレ八尾、やんちゃまファミリーwith