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「高カリウム血症」とは?
慢性腎臓病との関係性、知っておきたい食事療法のいま

 主に腎機能の低下によって高カリウム血症は起こりやすく、重度の患者さんでは不整脈を誘発する場合もあるため、カリウム摂取量の管理が重要です。基本は食事であり、現在は極端な食事制限を行うのではなく「適切に栄養を取りながら管理する」という考え方に基づいた食事療法も広がりつつあります。高カリウム血症と食事について、専門家に話を伺いました。

重症化すると不整脈が起こることも。一度はカリウム値の測定を

 高カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が高い状態をいいます。基本的には、腎機能の低下によってカリウムが排出されにくくなり、体内に溜まってしまうために起こります。

 野菜や果物等に多く含まれるカリウムは、筋細胞や神経細胞の働きを調整する電解質の一つで、身体機能を維持するために必要なミネラルです。通常は、摂取し過ぎても腎臓から排出されるので問題になることはありません。ですが、慢性腎臓病などが原因で、カリウムの摂取量と排出量のバランスが崩れると、身体に良くない作用を及ぼします。特に血液中のカリウム濃度が高くなる高カリウム血症は、初期の自覚症状はほとんどありませんが、急激に悪化すると重度の不整脈を起こす場合もあるので、注意が必要です。

 慢性腎臓病の患者さんは、定期的に血清カリウム値を測定していますが、まれに腎機能の状態を示すeGFR(推算糸球体濾過量)値は基準値内なのに、血清カリウム値は高いという方がいます。ですので、これまで血清カリウム値を測ったことがないという高齢の方は、腎機能に問題がなくても、一度測定することをおすすめします。

 カリウムの摂取量と排出量のバランスを適正に保つことが重要ですから、高カリウム血症の治療も、カリウムの摂取を適切にする食事療法が基本となります。昨今は、筋肉量が減少し、身体機能が低下する高齢者のフレイルやサルコペニアも課題となっており、しっかり食べることも推奨されています。食事療法も、かつての「食べてはいけない」一辺倒の栄養指導から、患者さん一人ひとりの健康状態や生活環境に応じた「適切に食べる」療法へと大きく変化しつつあります。自己判断することなく、専門医のアドバイスのもと、ぜひ正しく無理のない食事療法を行うようにしてください。


【PROFILE】
(かんの・よしひこ)1991年慶應義塾大学医学部卒業後、同大学院医学研究科、米国留学を経て埼玉医科大学腎臓内科、慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センター、2013年より現職。日本腎臓学会幹事、日本透析医学会理事、日本高血圧学会評議員、日本臨床栄養学会理事長、日本病態栄養学会理事なども務める。

量を控え、調理を工夫する。適切な食事療法とは

 食事療法が必要な患者さんが初診で来られると、必ずといっていいほど「食べてはいけないものは何ですか」と聞かれます。私の答えは、「基本的に食べてはいけないものはありません」です。食事は、「バランスよく適量を摂る」ことが大原則。重要なのはカリウムの摂取量ですので、調理法を工夫したり、量を控えることを推奨しています。

 高カリウム血症の患者さんは、カリウム摂取量を極力減らすようにします。カリウムは水に溶けやすい性質を持っていますから、野菜などは一度ゆでこぼすと、かなりカリウムの量を減らせます。ただし、ゆで汁には食材のカリウムが溶け出しているので、捨ててください。また、食感を楽しみたい生野菜などは、流水で5分以上さらすと良いでしょう。カリウム含量の高いイモ類や果物などを食べる時は、少し量を控えるようにしてください。

 患者さんへの栄養指導では、日々の食事内容を記録してもらい、来院時にその記録をもとに、前回の分析結果などを踏まえアドバイスを行います。一人ひとり体格や病態、嗜好、生活環境が違いますから、患者さんの状態に応じたサポートを行うことが重要です。ご自身で調理されない患者さんの場合は、数回に1回は日常の調理を担っている方との来院をお願いしています。

 患者さんには、1日のカリウム摂取量なども具体的にお伝えしますが、ちょっと食べ過ぎたという時は、翌日は少し控えるなどバランスを取りながら、食事管理をしていただきます。大切なのは長く続けられることです。患者さん一人ひとりに合った方法を見つけていくのが私たちの役割だと考えています。食事療法は自己流で済まさず、定期的に医療機関に相談していただき、無理なく元気に過ごせる食生活を送っていただきたいと思います。


【PROFILE】
(みやざわ・やすし)1987年北里大学保健衛生専門学院栄養科卒業。米国留学を経てアメリカ静脈経腸栄養学会認定栄養サポート栄養士(NSD)を取得し、日本各地の病院においてNST(栄養サポートチーム)の立ち上げと運営に関わる。2019年より現職。日本栄養経営実践協会代表理事、アジア静脈経腸栄養学会国際評議員なども務める。

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