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日本発高等教育プラットフォームJV-Campus イベント開催
企業が取り組む事業コンテンツを大学教育の世界に

「JV-Campus 〜クロスオーバーイノベーション〜」の第1回イベントが2024年3月28日、東京・大手町で開催され、起業家をはじめ産業界、自治体、教育機関などから55人が参加した。企業を中心に、行政や大学研究者など、関連する多様なステイクホルダーの取り組みの現状をメディアコンテンツ化し、企業が取り組む事業への理解と周知を深めていくねらいだ。 (主催:JV-Campusイベント事務局)

JV-Campusで大学、高等教育、学生とつながる活動を

オープニングの挨拶をする大庭良介氏

オールジャパンで結成するJapan Virtual Campus(JV-Campus)は、日本発のオンライングローバル教育プラットフォームで、日本の高等教育のポータルと位置付けられている。大学の国際化促進フォーラムJV-Campus運営委員会委員長で筑波大学JV-Campusプロジェクトリーダーの大庭良介氏がJV-Campusの展望を語る中で、教育機関・自治体・民間企業など、多様なステークホルダーとの連携を深め、プラットフォームとしての価値創出を拡大していくことを強調した。

メーンのプログラムとして、JV-Campusに参画した企業のプロジェクトをベースに制作された、JV-Campusの教育コンテンツの内容紹介などが行われ、参画企業から代表者4人が登壇した。

宇宙をテーマにした日本酒をつくりたい
ユーグレナ共同創業者 鈴木健吾氏

ミドリムシの学名はユーグレナで、藻類の仲間でありながら、鞭毛を使って動くことができ、動物と植物の両方の性質を備えている。鈴木さんは「ユーグレナで世の中の困りごとを解決できないかと考えてから20年間、研究開発を行ってきた。これからは、このユーグレナを使って様々なジャンルに取り組んでいきたい。その中の一つの目標として宇宙での発酵にもチャレンジしたい」と意気込む。

鈴木さんは、2023年12月に津南醸造の代表取締役にも就任し、酒造りとサイエンスの融合による新たな価値づくりを進めている。このほど、藻類を用いて行う「グリーン発酵」により発酵の進行パターンを変化させるねらいで、ユーグレナ粉末を添加して日本酒製造を実施した。AIを活用した検査では、ユーグレナ粉末を添加すると、香りや甘みとされる「華やかさ」が抑えられ、米のうまみや風味である「ふくよかさ」が増し、「スッキリとした」日本酒になることを示す結果が得られたという。

JV-Campusのコンテンツは日英両表記で作成されることから、このメディアを通じて世界でユーグレナに関わる新たな取り組みの認知度を向上させることを目指している。「ユーグレナの本質をみなさんに理解してもらっているかというと、まだ足りていない部分がある。JV-Campusのメディア制作を通じて自分も学びながら、その学びをみなさんに提供できるところも魅力に感じる」と鈴木さん。参加者との意見交換では、参加者から「新たな視点によるお酒づくりが町おこしになる」「世界に情報発信することで、地域の活性化につながる」といった声が寄せられた。

「世界でユーグレナに関わる新たな取り組みの認知度を上げたい」と語る鈴木健吾氏

食の分野で日本のプレゼンスを世界に発信
兼松ソイテック代表取締役 青山雅寿氏

兼松ソイテックは、大手商社兼松グループの専門商社で、日本の伝統食品の原料である大豆を中心に、豆類や穀物にかかわる製品を取り扱っている。社名のソイテックは、大豆と技術を合わせた造語に由来し、大豆に関する専門的、技術的なノウハウの蓄積を生かした事業を展開している。

JV-Campusのコンテンツ制作に取り組んだ理由について、青山さんは「私たちの企業活動を若い人たちに伝えるとともに、食という分野で日本のプレゼンスを世界に発信したいと考えた」と語った。

メディアコンテンツの制作過程では、生産者である有機農家をはじめ味噌や納豆メーカーのトップらステークホルダーをインタビューする機会があったという。「ステークホルダーのみなさんの『こんなことに挑戦したい』という思いを知り、私たちも学ばせていただいた。ステークホルダーのみなさんと一緒に面白いことができたらいいなと感じた」と青山さん。今後は、「今回のメディア制作過程で出来上がったステークホルダー同士の連携を活かして、みなさんと一緒に世界を目指したい」とメディア制作をきっかけに生まれるプロジェクトの展開に期待を寄せる。

「食の分野で日本のプレゼンスを世界に発信したい」と言葉に力を込める青山雅寿氏

素材メーカーが考える素材の循環システム
AGC技術本部企画部協創推進グループ マネージャー 中川浩司氏

AGCは、板ガラスの製造を行う世界的素材メーカーだ。現在、長野県諏訪市において、ガラスの素材循環、リサイクルの社会実装を目標にした企業・行政・教育機関・市民を巻き込んだ実証実験を進めている。中川さんは、「ガラスの素材は砂。この砂も限りのある素材。サステナビリティの視点から、素材メーカーの役割を考え、地球と素材をつなぐ橋渡しを行うことを考えた」と説明する。

中川さんは素材循環について、「エンドユーザーさんや回収業者さんとつながらないと、素材を循環させるサーキュラーエコノミーを回すことはできない。さまざまなステークホルダーに対して、素材メーカーが中に入って知見を提供して、素材循環の輪をハート型にしていきたい」と話す。

コンテンツの中では、諏訪市以外の日本の各地の砂でつくられたガラスも紹介している。「ガラスの素材の砂は土地によって成分が違う。その土地ならではの色のガラスをつくることができ、愛着を持ってもらえるのではないか」と中川さん。

また、ナラティブというメディアコンテンツ制作手法は、ホームページやCMではなかなか表現できない素材メーカーの役割を国内外に発信できる点も魅力という。「メディアコンテンツを作りながら、ステークホルダーのみなさまとさらなるコラボレーションが生まれ、新たな価値の創造につながっている」と中川さん。意見交換では、参加者からプロジェクトのメリットについて聞かれ、「ガラスをめぐる資源循環のモデル構築につながり、資源確保の面からも有効」と語った。

「素材メーカーの役割として素材と地球をつなぐ橋渡しをしていく」と語る中川浩司氏

フードロスのない防災備蓄へ
BELLグループmilab代表取締役社長 狩野貴史氏

BELLグループのmilabは、官民が連携し、自治体の防災備蓄の最適化することを目指している。milabが牽引する「広域連携・みなし備蓄」プロジェクトでは、流通小売のような民間企業に通常より多めの商品在庫を確保してもらい、災害時に、商品在庫を防災用の備蓄として自治体に供給してもらう。自治体と企業で備蓄量を取り決め、企業が備蓄を行う費用は、これまでの自治体の備蓄購入の予算をあてる仕組みだ。milabは、単一の自治体だけではなく複数の自治体とも連携し、備蓄品の購入計画から在庫管理まで一貫してサポートする体制を整える。

JV-Campusのメディアコンテンツでは、北海道余市町を中心とした北後志地域における防災備蓄を最適化する「広域連携・みなし備蓄」の取り組みを紹介している。「今回のコンテンツを通じて多くの人に防災備蓄の課題を考えてもらいたい。また、メディア制作を通じてさらに関係性を深めたステイクホルダーのみなさんと日本の地域防災にイノベーションを起こし、フードロスのない新しい備蓄体制をつくっていきたい」と狩野さん。地域防災にかかわる事業に注力し、避難所の生活環境を改善することも目標に掲げる。「より豊かな避難生活ができる環境をつくっていければ」としている。

参加者からは、防災備蓄の最適化の仕組みの利点について質問があり、狩野さんは「民間企業の流通網を活用する。小売業が備蓄業務を代替することに意義がある」などと説明した。

「民間企業の流通網を自治体の防災備蓄に活用することに意義がある」と説く狩野貴史氏

テーマ別に課題解決型ワークショップ実施

最後に、課題解決型ワークショップが行われ、参加者は希望するテーマ別にグループに分かれて意見交換を行った。テーマは①Social Impact Connect(地域の持続化のために少子高齢化・人口減少に挑む)②Edu Power Hub(特許や研究結果に縛られない実践的で新しい産学連携の推進)③Global Gateway(日本発世界の課題と挑戦)の3つ。参加者は各グループで自己紹介を行った後、専門や業界の壁を越えて課題解決に向けた考え方など意見を出し合った。メディアコンテンツ化を通じて企業の活動への理解と周知を深め、多様なステイクホルダーとの連携を進めていく。

主 催

https://www.jv-campus.org/

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