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女性の競輪選手たちが熱き戦いを繰り広げる「ガールズケイリン」。一度は幕を閉じた女子競輪が2012年に新たな形で復活したもので、当初は33人だった選手数も今では約200人にまで増え、多くの観客を集めるようになった。長く男性社会だった競輪界で選手たちはどう道を切り開いてきたのか、そして競技にかける思いとは ——。ガールズケイリン第1期生の中村由香里選手に聞いた。
中村 由香里
1981年生まれ、大阪府出身。約7年小学校教員を務めたのち競輪学校(現:日本競輪選手養成所)に入学し、2012年にガールズケイリン第1期生としてプロデビュー。翌年、ガールズケイリンの頂点を決める「ガールズグランプリ2013」で優勝。現在も第一線で活躍を続ける。座右の銘は「日々成長」。
小学校教員からプロスポーツ選手の道へ
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ガールズケイリンは、日本ではまだ少ない女子プロスポーツの一つです。男子競輪は基本的に3人の選手がチームを組んで一列になって走りますが、ガールズケイリンは国際ルールに準拠しており、完全な個人競技。一人ひとりが自分の力だけでライバルたちと勝負する、そんな「女の熱き戦い」が見どころです。
私は子どものころからスポーツが大好きでした。でも、スポーツ選手になりたいなんて思いもしなかったんです。当時は女性が活躍できるプロスポーツがほとんどなかったので、女性はスポーツを仕事にできないものだと思い込んでいたんですね。
心の底では「男の子に生まれていたらプロ野球選手やJリーガーを目指せたのにな」「女性が輝けるプロスポーツがあったらいいのにな」と思いながらも、やがて学校の先生という夢を見つけ、大学卒業後は小学校教員になりました。
ところが30歳のとき、女子競輪が復活する、競輪学校でガールズケイリンの1期生を募集するというニュースを目にしたんです。その瞬間、心の奥にずっとしまいこんでいたプロスポーツ選手への憧れが爆発しちゃって(笑)。もう本当に1秒で「行こう」と決めました。
両親には反対されましたが、誰に何を言われようと一度きりの人生を悔いなく生きたくて。突然まったく違う世界に飛び込んだわけですが、「ようやく夢が叶うんだ」というワクワク感でいっぱいで、不安はまったく感じませんでした。
1期生が声をあげ女子選手の境遇を改善
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とはいえ、当初は1期生ならではの大変さもありました。女子競輪は一度幕を閉じた歴史があるので、ガールズケイリンも私たちの走りや売上げ次第では短命に終わるかもしれない。そのプレッシャーは全員が感じていたと思います。
1期生は前職や他のスポーツでのキャリアを捨てて、人生を賭けて競輪界に入った人ばかり。ガールズケイリンへの思いは尋常じゃないぐらい熱くて(笑)、一緒に色々なことを乗り越えてきました。だから今も、1期生同士の絆はものすごく強いです。
競輪は長い間男子だけの競技だったので、女性として驚くこともたくさんありました。施設に女性専用のトイレや浴室がなかったり、出産休暇の制度がなかったり……。そのたびに「あぁ男の世界に来ちゃったな」と思いつつ、要望は一つ一つ伝えていきました。今では女子選手の境遇はかなり改善されています。出産後も戻ってきて活躍している選手もいますね。
おばあちゃんレーサー目指して「日々成長」
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日常生活ではもう10年以上、レースがあってもなくても毎日4時半に起きて6時から練習、21時に就寝という規則正しい生活を続けています。心の安定を保って常にいいレースを見せるためですが、この生活を大変だと思ったことはありません。夢を叶えられない人も多い中、私は教員、プロスポーツ選手と二つも夢を叶えている。本当に感謝しかないです。
今後の目標は、おばあちゃんになるまでガールズケイリン選手を続けること。以前の目標は還暦レーサーでしたが、今は還暦は通過点だと思うようになりました。挑戦と成長を続ければ人は何歳になっても輝ける。それを体現して、後輩や働く女性の方々に少しでも勇気を与えるような存在になれたらうれしいですね。
ガールズケイリンは、幅広い年代の女性が輝けるプロスポーツです。脚力は若い選手の方が高いですが、勝ち抜くには心・技・体が揃っていなければなりません。その点、私たち1期生は色々なことを乗り越えてきたので、メンタルがものすごく強いんですよ(笑)。今も1期生の半分は現役で、総合力で若い選手と勝負できています。
私はガールズケイリンが大好きです。選手たちは日々、熱い戦いで皆さんを感動させたいという思いで頑張っています。皆さんにも、ぜひ応援していただけたらと思います。
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