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COP28視察プログラム ~UAEでの感動が未来の自分をつくる~

世界198か国・地域・機関の首脳らが地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催された。これに合わせて日本アラブ首長国連邦(日本UAE)協会は「COP28視察プログラム」を実施し、東海大学の学生6人が参加した。2023年12月に現地6日間の日程で、COP28におけるUAEのシャンマ・アルマズルーイ大臣(コミュニティー開発相)との面会をはじめ在UAE日本国大使館への訪問、さらには太陽光発電所や海上油田の視察など UAEならではの体験をした。同行した日本UAE協会の西克司会長の司会進行のもと、参加した6人に現地の様子や感想を語ってもらった。(座談会ダイジェスト動画は、こちら

座談会参加者 写真左から
西 克司(日本アラブ首長国連邦協会会長、コスモエネルギー開発(株)代表取締役社長、アブダビ石油(株)代表取締役社長 )
東海大学 大学院 工学研究科 電気電子工学専攻 上原 圭吾さん
東海大学 大学院 政治学研究科 政治学専攻 坂口 聡さん
東海大学 大学院 政治学研究科 政治学専攻 平野 凜香さん
東海大学 大学院 工学研究科 機械工学専攻  菅原 唯さん
東海大学 理学部 物理学科 吉田 央乃さん
東海大学 教養学部 国際学科 佐藤 光さん

COP28会場を視察 UAE国務大臣にプレゼンテーション

西 UAEでの現地プログラムの初日は、アブダビ石油でUAEのエネルギー事情の説明を受けました。アブダビ石油は、日系企業で50年以上前から現地で石油開発を行っています。その後スタートアップ企業を誘致・支援している「Hub71」(ハブ71)も見学してもらいました。「ハブ71」では良いアイデアにはお金がついてその会社が大きく育つというお話がありました。いろんな国の起業家が集まり事業拠点としていて日本の起業家もいます。

上原 起業では、新しいものを生み出す技術はもちろん、自分がいかに面白いと感じ、やりたいことをしっかり説明できる力が重要だと思いました。

西 「ハブ71」を運営サポートするNPO代表のマス―ド・ラハマ・アルマスード氏は日本UAE協会の現地代表者です。これからの進路の選択肢として起業に向かって挑戦する気持ちもあったら面白いと思います。UAEでの現地プログラムの2日目には、COP28会場を視察し、COP28の議長を支えるリーダーであるシャンマ大臣と面会しました。シャンマ大臣は、2016年に当時22歳で世界最年少の国務大臣に就任されています。

シャンマ大臣との面会の様子

菅原 シャンマ大臣は、青少年の育成や教育に注力されています。私がプレゼンテーションを担当し、「環境問題に対する社会全体の意識の向上」をテーマに話しました。シャンマ大臣が内容に興味を持っていただけたようで、とても良いリアクションがありました。シャンマ大臣から若い世代への教育を通して社会を引っ張っていくという熱意を感じました。

COP28会場での様子

西 COP28の会場全体の様子はどうでしたか?

菅原 中学生や高校生ら若い世代の参加が多かったです。

佐藤 COP28の会場には、いろいろな人が気軽に参加できるゾーンがありました。子どもたちの教育の場としても成立していて感心しました。日本でいうと、校外学習のようなイメージで参加しているようでした。会場で日本のスタートアップ企業による展示を見学しました。同じ水を使って1000回くらい手を洗うことができる水の循環技術など、日本の自然災害を意識した技術の展示が印象的でした。

西 UAEは、砂漠だった場所を街にしていて、人口の増加とともに淡水の使用量が増えています。日本企業とUAEが水にかかわる分野で何かコラボレーションできたら面白いですね。

坂口 COP28の会場にUAEの歴史を学べる展示がありました。最初は砂漠の国で、その中で自分たちがどう生きるかを真剣に考えて今の姿になったのだと思いました。成長意欲が高く、まだまだ成長しようとしていて、日本との意識の違いを感じました。

西 UAEのような新しく若い国は、国民がどのように国を盛り上げていくかを考えていますね。毎年12月2日は、UAEの建国記念日で、街全体が派手に装飾されます。記念日を祝う街の様子もそうした意識が表れています。現地プログラム3日目には、ドバイにある世界最大級の太陽光発電所(ソーラーパーク)を見学しました。

一面に広がる「太陽光パネルの海」に圧倒される

ドバイにある世界最大級の太陽光発電所(ソーラーパーク)

菅原 工学研究科に在籍しているため、ソーラーパークの見学をとても楽しみにしていました。砂漠地帯をバスに乗って走っていくと、一面に太陽光パネルが設置されている施設がありました。太陽光パネルが海のように見えました。太陽光を1点に集めて蓄電しいつでも電気を使えるようにするシステムや、太陽光パネルを自動ロボットで清掃するシステムなどを使って、砂漠における太陽光発電の様々な課題解決に取り組んでいることがわかりました。

上原 僕もソーラーパークの規模の大きさと迫力に圧倒されました。工学研究科で太陽光発電についても勉強していますが、一面に太陽光パネルが広がっている景色を見ると、こんなことができるのかと感心しました。日本は、島国という特質を生かして風力発電や洋上風力発電などの可能性を探るなど、UAEの現場を見たことで日本ならではの再生可能エネルギーのつくり方があると確信しました。また、日本は、火力発電でCO2をなるべく出さないようにする技術などを持っています。こうした日本の技術の素晴らしさを開発途上国にアピールしていくことも重要だと思いました。

西 COP28は、「化石燃料からの脱却」という文言を成果文書に盛り込んで閉幕しました。化石燃料の削減を促す方針を明記したのは初めてです。UAEは、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行に相当な危機感を持って対応しています。エネルギーを保有している国がこれほどまでに再生可能エネルギーに力を入れている状況について、エネルギーを持たない日本はどう受け止めるのか。化石燃料を否定するだけではなく、必要な量を使いながら次の時代につないでいく形を考えていかなければならないですね。

座談会では各自の学びや想いを発信

平野 国際会議の場で先進国と開発途上国の利害対立が絶えないということをよく聞きます。今回のCOP28でもそのような事態になると考えていましたが、最終的に合意できたことは、とても大きな意味があります。世界全体の環境問題の解決に向けた大きな一歩になったとうれしく思いました。

坂口 COP28の合意は、「化石燃料の段階的な廃止」ではなく、「化石燃料の段階的な脱却」に落ち着きました。先進国も開発途上国も、それぞれの利益があり、1つの意見をみんなでつくるのが難しくなっています。今回、「自分たちの利益は何か」ということと同時に「相手の利益は何か」を理解することが大切だと実感しました。妥協する意思があれば、一つの意見をつくることができると思いました。

ヘリコプター遭難時の脱出トレーニングを体験 現地の大学生と交流会も

西 4日目は、ヘリコプターが墜落し海で遭難した時のための訓練を受けました。ヘリコプターで海上油田に行くために必要です。

佐藤 水難訓練は緊張しましたが、インストラクターのサポートで集中して行うことができました。ただ、人工雨に降られた時は想像していた以上に大変でした。視界も悪く、目をあけることもできません。ベルトを締めたまま沈められて脱出する訓練は、映画のシーンのようでワクワクしましたが、2回ほどおぼれかけました。

西 水難訓練の後、現地の大学生との交流会が開かれました。同世代では、どんな話題で盛り上がりましたか。

坂口 参加された大学生は、サークルで日本の文化を学んでいます。お菓子を持ち寄って日本のお菓子とUAEのお菓子を交換し、お互いの文化の好きなところを話しました。みんなで、折り紙で鶴を折ったことも楽しい思い出になりました。

現地の大学生に向けたプレゼンテーション

吉田 UAEの学生は、動画配信サービスなどで日本のアニメをよく見ていました。日本の声優さんのこともとてもよく知っていて驚きました。

上原 みなさんアニメに詳しかったです。アニメは国際交流の場面で大切な役割を果たしてくれると実感しました。

平野 日本に帰国してからも、インスタグラムに日常の写真をアップすると、UAEから「ここはどこ」、「東京に行ったら連れて行って」といったメッセージをもらっています。

西 5日目は、磯俣秋男在アラブ首長国連邦特命全権大使と面会する機会を持つことができました。

磯俣大使との集合写真

坂口 大学の先生の影響もあり、将来、外交官になりたいという夢を持っています。磯俣大使からは、組織に入ること自体を目的にするのではなく、入ってからそこで何をするかを考えるべきというお話をいただきました。どの仕事にも通じることだと思いました。

最高級の料理『羊の丸焼き』の頭部

西 この日は、観光名所であるシェイク・ザーイド・グランド・モスクも訪れ、ランチメニューに羊の丸焼きが登場しました。羊の丸焼きは来賓をもてなす際の最高の料理です。

平野 羊の丸焼きでは、日本では、なかなか食べることができない脳みそも味わいました。すごく濃厚なバターのようで栄養がたくさんあると感じました。

佐藤 グランド・モスクに入るために民族衣装を買いました。着てみると、ヒラヒラしていてとても優雅な気持ちになりました。

世界最大級のモスク『シェイク・ザーイド・グランド・モスク』

ムバラス島でマングローブを植樹 石油採掘現場での環境保全活動を学ぶ

西 現地プログラム最終日の6日目は、ヘリコプターでムバラス島を訪れてアブダビ石油の海上油田を見学し、マングローブの記念植樹を行いました。

ムバラス島の上空写真

上原 ムバラス島ではマングローブの植樹、育成が長年、行われており緑が多いことがわかりました。ミサゴ(オスプレイ)の巣の作付けも含めて環境への配慮が感じられました。油田開発を行っている企業が、環境保全に対してどのような覚悟を持ち、その責務を果たしているかを考えることができました。

坂口 海が青くきれいで石油採掘現場とは思えませんでした。僕たちもマングローブを植えました。「TOKAI university students」と記された看板を立ててもらいました。

吉田 ムバラス島でウミガメやイルカの親子を見ることができました。想像していたよりも自然が豊かで驚きました。自分たちが植えたマングローブがどうなっているか。どんな島になっているのか。将来、またムバラス島を訪ねたいです。

ムバラス島での植樹

西 今回のプログラムでの経験を将来、どのように生かしていきたいですか。

上原 日本だけでなく世界を広く知り、未来の社会インフラを引っ張るエンジニアになりたいです。
インタビュー動画は、こちら
坂口 戦争に頼らなくてすむような世界をつくる外交官になりたいです。今回のプログラムを通じ、思いを強くしました。
インタビュー動画は、こちら
平野 みんなそれぞれが助け合う平和な世界、世界の課題を話し合いで解決できるような世界をつくりたいです。
インタビュー動画は、こちら
菅原 今回の視察でお会いできた方々のように、自分も豊かな未来につなげられるような影響力を持った人間になりたいです。
インタビュー動画は、こちら
吉田 サステナブルな事業でイニシアティブをとれる人間になり、より良い世界をつくりたいと思いました。
インタビュー動画は、こちら
佐藤 UAEの方々の寛容性がさまざまな国との合意形成につながっていると感じました。寛容な心で世界を豊かにできる人間になりたいです。
インタビュー動画は、こちら

西  今回の視察プログラムは、日本UAE協会として初めての試みでした。みなさんが日本と世界の未来を担える人材に育っていくことを期待しています。今回のプログラムは、東海大学様、コスモエネルギーホールディングス様、コスモエネルギー開発様、アブダビ石油様のご協力で成功させることができました。全員で一緒にお礼を言いましょう。

全員 ありがとうございました。

日本アラブ首長国連邦協会
学校法人 東海大学