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「乾癬」という皮膚の疾患をご存じですか?
10月29日は世界乾癬デーです。

 「乾癬」(かんせん)をご存じですか? 皮膚に特有の症状が現れる疾患で、その患者さんは世界に約1億2500万人※1、日本だけでも約56万人※2いると言われています。

 10月29日は世界乾癬デー(World Psoriasis Day)。乾癬という病気を多くの方に知ってもらい、患者さんが暮らしやすい社会になることを目的に、世界中で毎年様々な取り組みが行われています。

※1 International Federation of Psoriasis Associations ウェブサイト(https://ifpa-pso.com/
※2 照井正, 中川秀己, 江藤隆史, 他:臨床医薬, 30:279-285, 2014.

好発部位は刺激を受けやすい頭皮や膝、肘など、痛みやかゆみも

 乾癬になる原因は、まだはっきりとはわかっていません。ただ皮膚の炎症や、表皮細胞の過剰な増殖から発症するものと考えられています。関節症性乾癬、乾癬性紅皮症(こうひしょう)、滴状乾癬、汎発性膿疱性(はんぱつせいのうほうせい)乾癬といった種類がありますが、全体の約90%が尋常性乾癬です※3

 尋常性乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、その表面が銀白色に覆われてボロボロ剥がれ落ちるという症状が現れます※4。頭皮や膝、肘など、刺激を受けやすい部位が多いですが、全身に広がるケースもあります。個人差はありますが、痛みやかゆみ、出血を伴うこともあります。

※3 Kawada A, et al, J Derma Sci., 31, 59-64, 2003
※4 看護のための最新医学講座 [第2版] 19 皮膚科疾患(中山書店, 2007)

誤解、社会的な孤立…患者さんが抱える様々な苦痛

 患者さんは、身体的な苦痛だけでなく、精神的、社会的な苦痛にも見舞われています。欧米に比べて日本では、病気の存在があまり知られていないこともあり、自分だけが苦しんでいるのでないかという悩みを抱いたり、人にもなかなか相談できずに孤立してしまうケースもあるのです。

 乾癬は、その語感や見た目によって、感染するのではないかという周囲の「誤解」に苦しめられることもあります。しかし、乾癬は細菌やウイルスによる病気ではないので、接触したり、一緒に温泉やプールに入っても感染することはありません。

患者さんの暮らしやすい社会へ、WHOも活動支援

 こうした状況を改善するために、国際乾癬患者会連盟(IFPA)は毎年10月29日を世界乾癬デーと定めました。2014年の第67回WHO総会では、乾癬決議が採択され、WHO加盟国に対して、この世界乾癬デーを通じて行われる活動を支援することが奨励されています。

 世界乾癬デーの目的には次の四つがあります。※5
①意識向上を図る:乾癬患者さんにひとりではないことを知ってもらい、この過酷な病気とその辛さに対する意識向上を図ります。乾癬は伝染病という誤解など、症状に関する誤った世間の誤解をとき、正しい理解を広めます。
②治療アクセスを改善する:医療制度、政府、医師、介護者、および全ての乾癬治療担当者を通じて、患者さんが最適な治療へのアクセスを得られるようにします。長い間、乾癬や関節症性乾癬はあまり優先されてきませんでした。乾癬や関節症性乾癬は過酷な病気であり、医療課題の中で、もっと優先されるべきです。
③理解を深める:乾癬患者さんだけでなく、一般の人々にも情報を提供することにより、もっとオープン、そして乾癬の理解を高め、患者さんが自信をもって乾癬について話しやすい環境を整えます。
④乾癬コミュニティで団結する:世界中の患者さんが団結して、主要な政府政策立案者に意見を伝えるための機会を提供します。

※5 日本乾癬患者連合会ウェブサイト(http://jpa1029.com/uts/html/day.html)より

 世界乾癬デーには毎年テーマがありますが、2018年のテーマは、乾癬は深刻な病気であるという意味の「PsoSerious(ソーシリアス)」です。

 乾癬について正しく理解し、患者さんが暮らしやすい世の中を目指しましょう。

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