知ろう! 女性のココロとカラダ
40・50代 表れやすい心身の不調
家庭や職場で大きな役割を担って活躍する40・50代の女性たち。そうした人々の多くが「更年期※」特有の心身の不調に悩まされている。健康はもちろん、美容にも影響を及ぼす諸症状やその原因、対策などについて、女性医療のパイオニアである太田博明医師に聞いた。
※閉経前後5年ずつの10年間
女性ホルモンの減少が最も大きな要因に
全身に作用するエストロゲン
女性ホルモン「エストロゲン」の分泌は、閉経を迎える50歳頃、特に閉経後の3年間で大きく減少します。エストロゲンは生殖に関連する器官ばかりでなく、脳や心臓、肝臓、膵臓、骨、血管などにも作用するため、減少すると体中に様々な不調が起こるのです。
代表的な症状は「のぼせ」「ほてり」「発汗」「抑うつ」「不眠」からなる5大症状。中でも「抑うつ」「不眠」はQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の大幅な低下につながります。また、女性の「健康長寿」のカギを握る骨へのダメージも大きい。骨の“新陳代謝”のバランスが崩れるため、骨密度の低下が進みます。その結果、「骨粗しょう症」を発症してしまうことも少なくありません。
骨の健康維持で美しさもキープ
女性にとっては美容との関係も見逃せないポイントでしょう。エストロゲンの減少は肌の「弾力」や「しわ」など、皮膚の状態にも悪影響を与えるといわれています。肌にばかり目がいきがちですが、骨の健康も見た目の美しさとも深く関わる要素です。
エール大学の研究では「骨密度の高い人ほど、肌のハリがある」ことが分かっており、米国の医学雑誌『形成外科ジャーナル』に掲載された別の研究レポートでも「骨粗しょう症と顔の容貌の劣化との関係」が指摘されました。後者は、顔の骨がやせることで、それを覆う皮膚にたるみが生じるのが原因だと考えられます。
規則正しい生活と「エクオール」の摂取を
肌や骨にも効果アリ?
大豆由来の成分「エクオール」
更年期以降も健やかさと美しさを保ち続けるためには「加齢」だけでなく、エストロゲンを意識したケアを実践しなければなりません。そこで注目されているのが、エストロゲンと似た働きをする健康成分「エクオール」です。エクオールは、大豆に含まれる「大豆イソフラボン」が腸内細菌によって代謝されることで生み出されます。
エクオールを日常的に摂取することによる効果は、ほてりの回数の減少や、コレステロール、体脂肪率の低下など。肌のシワの面積が改善することや、骨密度の低下が抑制されることも報告されています。
エクオールを摂取するためには、大豆製品を食べればよいのですが、中にはエクオールを産生する菌を持っていない人も。その場合はエクオールを含むサプリメントを活用するのも手です(下コラム参照)。
いまや更年期は折り返し地点
良くない生活習慣の積み重ねも、様々な症状を引き起こす理由の一つですから、適度な運動とバランスの良い食事も不可欠。食事面では、たんぱく質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維に続く第7の栄養素として脚光を浴びる「ファイトケミカル※」を食生活に取り入れることをおすすめします。実は大豆イソフラボンもファイトケミカルの一種なのです。
日本人女性の平均寿命が90歳に達しようとしているいま、更年期は“人生の折り返し地点”だといえます。いつまでもイキイキと過ごせるように、規則正しい生活とエクオールの摂取を心がけましょう。
※野菜、果物、豆類、芋類をはじめとする植物 性食品の色素や香りなどの成分から発見さ れた化学物質。抗酸化力や免疫力を向上さ せる働きなどが期待される。
- あなたはつくれる?つくれない?
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「エクオール」を産生できるのは日本人の約1/2
腸の中にエクオールを産生できる菌を持つ人は、日本人で約50%、欧米人で約30%。さらに「日本では食習慣の欧米化が進んで大豆の摂取量が減ったため、若い世代ほど菌の保有率が低くなっている」(太田氏)という。エクオールをつくれるかどうかは、市販の検査キットで調べることも可能だ。
有効な対策として挙げられるのは「納豆などの大豆製品を積極的に摂り、腸内細菌を活性化させること」、そして「エクオールを含むサプリメントの活用」。長期的に体質改善を図るとともに、直接エクオールを摂ることで、更年期に備えたい。
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