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▼スタディ・アブロード―早稲田から世界へ―

From WASEDA to South Africa & France
WASEDAから南アフリカとフランスへ

谷村 夏美/2011年公共経営研究科修士課程修了

OECDパリオフィスにて

 私は2006年2月から12月の10カ月間、交換留学制度を通じて、南アフリカ共和国のケープタウン大学に留学した。その後、OECDのインターンシッププログラムを通じて、2010年9月から2011年2月までの約6カ月間、パリOECD開発センターでインターン生として働いた。早稲田在学中の2度の留学経験は、非常に新鮮で貴重なものであり、私の人生に多くの影響と思い出を与えてくれた。

 私と開発学の出会いは、遠く入学前にさかのぼる。そのきっかけは高校時代に携わっていたボランティア活動の一環で、ネパールを訪れたことだった。このとき、開発学の必要性と重要性を拙いながらも感じ取った。私はその後、国際教養学部に入学し、学部の交換留学プログラムを受けることになった。留学先に選んだのは南アフリカ共和国のケープタウン大学で、その理由は、開発学を学べると同時に、実際にフィールドワークができると考えたからである。

 ケープタウン大学にはSHAWCOという大学運営のNGOが設立されていて、私もこのNGOの一員として週に一度、HIV/AIDSに関する正しい知識を広めるという活動に携わった。この活動を通して、今まで本やメディアだけでは分からなかった現地の現状を知ることができたと同時に、多少でも現地の人々の役に立てたのではないかと思っている。

 そのような背景と、学部で学んだ開発学を国際機関の仕事で活かせないかと興味を持っていた私は修士在籍中、OECDでのインターンシッププログラムの話を聞き、ぜひ参加してみたいと思った。

 南アフリカへの留学経験をきっかけに、その後も現地社会の研究を続けていた事もあり、OECD開発センターのインターンでは、EMEA(Europe, Middle East, and Africa)というアフリカを専門としている部署からオファーを頂いた。この部署では、「アフリカ諸国が発展するためにはどうすればよいか」という問いかけに対し調査・研究を行い、“African Economic Outlook”を毎年出版している。その中でも私は、南アフリカの経済・政治状況に関する最新データが記載される、‘South African Country Note’というセクションのドラフト作成を担当させて頂いた。このCountry Noteを作成する際に、今まで読んでいた論文の著者をはじめ、南アフリカの財務省や中央銀行の方々と直接連絡を取ることもできた。彼らと共にデータ収集や編集を行ったことは、貴重な経験となっている。南アフリカ滞在中は、現地の様子を目の当たりにしながら彼らの発展に携わることができた一方で、OECDでの職務では、国家レベルでの違った切り口から貢献することができたのではないだろうか。

 フランスではなかなか言語が覚えられず、日常生活はかなり苦労した面もあったが、業務を通じてOECDという組織の総合的な機能や開発センターの役割、そしてOECDで働くことの本当の意味を理解することができた。また、さまざまなバックグランドを持つ同僚と知り合い、育んだ友情は、このインターンシップの中で一番の財産である。

NGOでの活動風景

NGOでの活動風景

(提供:早稲田ウィークリー