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目指すはピクサー…だけじゃない!
夢を全て実現させることが目標

齋藤 隼介/先進理工学研究科修士課程2年

 「二兎(と)を追う者は一兎をも得ず」。このことわざは本当なのか?それが齋藤さんのテーマだ。好きなことは全て挑戦し、どのジャンルでも最前線を走りたい。齋藤さんは本気でそう考えている。

「FUCTORY」でのトークイベント「Vox vol.4」にて。ゲストはアパレルブランドPHABLIC×KAZUIの瀧澤日以さん

 しかし数年前までは、やりたいことも特になく、無気力に日々を過ごすだけの学生だった。意識が変わったのは3年次のとき、ある企業のインターンシップに参加したことがきっかけ。積極的に就職活動に励む周囲の学生に比べ、自分は圧倒的に経験が足りないことに気付く。そこで齋藤さんは起業塾に参加。社会での成功例と失敗例を目の当たりにして知識を蓄えていく。同時に、もともと興味のあったファッションビジネスの研究会を立ち上げる。「代表」と肩書の入った名刺があれば、企業の人とも会いやすくなるのではという考えだったが、入会希望の後輩が集まるという予想外の出来事が。そこで、学生団体「FUCTORY」として本格的に活動を開始する。

 「学生だからこそアプローチできる方法はたくさんある」。そう考えた齋藤さんは、ファッションの第一線で活躍するクリエーターのトークイベントや、ファッション業界のみのインターンシップ合同説明会などを実施。現在は、団体の法人化を視野に入れながら、地域で開催される「街コン」をヒントに、飲食店の代わりにアパレルショップを舞台にした「服コン」の実現に向けたプロジェクトを進めている。

 大学院ではコンピューターグラフィックスを研究。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学した際は、大ヒット映画『アナと雪の女王』で雪のCGを担当した名門ラボに所属して経験を積んだ。また、今年2月、サンフランシスコで開かれたエンジニアの世界的な大会「LAUNCH Hackathon 2014」に、シリコンバレーで知り合った技術者たちとチームを組んで参加。わずか3日間で、アイデア出しからプロダクト作製、プレゼンまでをこなすビジネスコンテストで、齋藤さんたちは手軽に写真加工ができるアプリ「AddMeIn」を作製し、160チームの中から見事ファイナリストに選出された。この大会での評価を受けて、仲間たちと会社を立ち上げ、現在はアプリをApp Storeで無料配信中。さらに、米企業と技術コンサルタントとして契約を結ぶ他、日本では別の事業展開において営業責任者としても活動している。

 「1カ所にとどまるとストレスになるんです。全部好きだから全部やりたい」。そう語る齋藤さんの夢の一つは、ピクサー・アニメーション・スタジオに所属し、研究者として世界最高峰のクリエーションを世に送り出すこと。しかし、この目標の達成だけで終わるつもりもない。「他にもやりたいことはたくさんあるし、全部100%で取り組んでいる。今後どうなるのか自分でも興味津々(笑)」。二兎どころではない、五兎も六兎も追いながら、全てを得る。そんな無謀とも思える目標に向けて、齋藤さんは全力で挑戦し続けていく。

スイスで開催された国際学会「Symposium on Computer Animation 2012」にて

シリコンバレーの企業、Seyyerで行ったプレゼンを、研究室の森島繁生教授に報告

「LAUNCH Hackathon 2014」でチームを組んだ仲間

(提供:早稲田ウィークリー

齋藤 隼介(さいとう・しゅんすけ)/先進理工学研究科修士課程2年

千葉県出身。千葉県立東葛飾高校卒業。休みはほとんどないが、空いた時間を使ってレコード収集をすることが息抜き。それらを使ってDJプレーをしたり、 アメリカ滞在記を「ZINE」で配布することも。