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「自動車競技で全国を舞台に輝く
運転も整備もこなす”リケジョ”レーサー」

岩脇 彩香/先進理工学部3年

 今年8月に行われた「全日本学生ジムカーナ選手権大会」において、女子の部個人で第2位の成績を残した岩脇彩香さん。「ジムカーナ」とは、自動車のコーナリング技術などを競うタイムアタックのこと。男子が約9割を占める自動車競技の世界にあって、貴重な女子レーサーとして名門・早大自動車部を支えているのが岩脇さんだ。

 「高校時代はテニス部で、大学でもテニスサークルに入ろうと思っていました。ところが、新歓でもらった自動車部のチラシに、『運転技術が学べるので免許が安く取れる』といううたい文句があって。それにつられて説明会に行ったのが、そもそもこの世界に入ったきっかけです(笑)」。

 ジムカーナの他にも、最高130km/hのスピードで舗装されていない土や砂利のコースを疾走する「ダートトライアル」や、白線で囲われた狭いコース内で車を動かし、センチ単位のコントロール技術を競う「フィギュア」など、その競技内容は多岐にわたる。さらに、自動車の整備や修理も自分たちで行い、知力から体力まで総合的な能力を問われるのが自動車競技の特徴だ。

©早稲田スポーツ新聞会
全日本学生ジムカーナ選手権大会にて。降りしきる雨で路面はウェットながら、1分33秒126という好タイムで2位となる

 「車に乗れない、道を走る車の種類すら分からないという素人からのスタートだったので、いろいろ苦労しました。ハンドル、アクセル、ブレーキ、サイドブレーキを制御しながら運転するため、筋力のアップも必須だし、限られた予算内でパーツの交換やグレードアップを行っていくため、専門的な勉強も欠かせません。しかも、1台の車を部員全員で使うため、自分のことだけやっていればいいというわけではない。自動車競技はチームスポーツであり、そこが一番の醍醐味(だいごみ)ですね」。

 そんな苦労のかいあって、今ではすっかり車マニアになったという岩脇さん。車の調子が悪いときは、自分でボンネットを開けて不具合の箇所を調べるのだとか。

 「そんな女子が珍しいのか、ボンネットを開けているといつも声を掛けられるんですよね。まあ、ほとんどは車好きのおじさんですけど(笑)」。

 岩脇さんは現在、先進理工学部に籍を置き、大学院進学を目標に日々研究に励んでいるという。将来はやはり、車関係の仕事に?

 「私の所属している研究室では、燃料電池、太陽電池、二次電池の研究を行っています。新しい車社会と切っても切れない要素技術が電池ですが、就職先は自動車メーカーに限らず、今までやってきたことが生かせる仕事に就けたらいいなと思っています。さすがに自動車競技からは4年生で引退ですね」。

 夏休みの半分は部活に捧げ、自動車運転の授業ではTAとして活躍し、授業の傍ら家庭教師のアルバイトにも精を出す。岩脇さんの日常は大忙しだ。

 「11月末には、今年の最終目標である全日本学生自動車運転競技選手権大会(フィギュア)があります。それを全力で目指しつつ、学業も遊びも全部やりきっていきたいですね。恋愛もぜひ充実させていきたいところですが……相手の運転技術が気になっちゃうため、ドライブデートに向かないのが自動車女子の難点ですね(笑)」。

土埃を巻き上げて疾走するダートトライアル

新潟県の自動車部練習場にて行われる自動車の授業風景。自動車部部員はTAとして参加

自動車部の女子部員は数こそ少ないが、岩脇選手を筆頭にレースで活躍を見せ、存在感を示している

(提供:早稲田ウィークリー

岩脇 彩香(いわわき・あやか)/先進理工学部3年

東京都出身。創価高等学校卒業。大学から始めた自動車競技の新人戦で早くも優勝して頭角を現し、翌年の全日本学生ダートトライアル選手権大会で優勝。2013年にはコースの異なる二つのレースで関東学生の頂点に。