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前田 咲野子 商学部4年 略歴はこちらから

プリマドンナは力持ち!

前田 咲野子/商学部4年 ウエイトリフティング部女子主将

 清楚なワンピースで登場した前田さん。ずっとクラッシックバレエを続けていたのだが、家族から部活動のおもしろさを聞き「同じように、何かをやりとげたいと思ったんです」。いろいろなことにチャレンジしたが、何かが違う。そんな中、アテネオリンピックの三宅宏実選手の活躍に感動した。「やってみたい!」。とはいえ、前田さんの高校のウエイトリフティング部は、全国レベルの強さなのだ。「家族だけでなく、親戚までも心配しました」。すでに高校2年生の9月。顧問の先生に相談してみると「初心者でも大丈夫」。それから、競技生活が始まった。

 もちろん、最初からバーベルが挙がる訳ではない。まずは、6kgの棒だけを挙げてフォームをたたきこんだ。「練習が厳しくて……」。しかし、ぐんぐん力をつけ全日本ジュニアで3位になるまでになった。その後、先生の勧めで本学に入学。さらに練習に打ち込んだ。授業との両立も大変だったが「競技のことしか考えられなかった。オフの日も、きちんと休めませんでした」。骨を支える筋肉が追いつかず、骨折してしまったこともあったという。

 だが、必要なのは筋力だけではない。「記録が伸びないときは、もうやりたくないと思うほど辛かった」。いったん、嫌だと思ってしまうと挙がらない。「弱い気持ちがあるとだめなんです」。メンタル面が、すぐにパフォーマンスに出てしまうのだ。さらに、女子主将に選ばれ、部全体についても考えるようになった。それぞれ階級の違う後輩選手は、体調もモチベーションも異なる。「相手の気持ちになって考えるのが大切」。あらためて、先輩の偉大さを感じたという。また、就職活動を始めて「客観的に、ウエイトを見られるようになりました」。大学での最後の試合は、12月にある全日本対抗選手権大会だ。「どうしても勝ちたいライバルがいます!」。パワーや技術力だけではない。今まで、さまざまな力を培ってきた。「強い自分だけでなく、女性らしさも大切にしたい」。可憐な表情を見せてくれた前田さん。このインタビュー直後の東日本学生ウエイトリフティング個人選手権大会でも優勝した。「実は、今が一番調子がいいんです」。さわやかな声で語ってくれた。

(提供:早稲田ウィークリー

前田 咲野子(まえだ・さやこ)/商学部4年 ウエイトリフティング部女子主将

1987年山梨県生まれ。山梨県立吉田高等学校卒業。商学部4年。経営コースの藤田誠ゼミ所属。身長146cm。階級は48kg級。08年・09年東日本学生個人選手権大会優勝。2008年・09年の全日本学生選抜選手権大会にて準優勝。09年日本女子学生ウエイトリフティング選手権大会にて準優勝。家族と仲がよく、年に一度の家族旅行を楽しんでいる。趣味は、ピアノを弾くこと。