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南出 惇介 第二文学部卒業 略歴はこちらから

気鋭の新進映画監督、おおいに語る

南出 惇介/第二文学部卒業

 「明日また電話するよ」。リュック・ベッソン監督作『サブ・ウェイ』ラストシーン、死の間際の主人公が恋人に言う台詞だ。小学生の南出さんはこの台詞にしびれた。「なんてかっこいい大人なんだ! と。『サブ・ウェイ』は僕の原体験ですね」。映画好きの父に影響され映画鑑賞三昧の日々を送り、中学2年にして決意する。「映画の道に進みたい」。

 映画が好きでしょうがなかった。「友達と遊ぶより映画、ってかんじで。そのせいかよく通知表には“協調性が足りない”と書かれていました」。苦笑まじりに子ども時代を振り返る。初監督は高校1年。「学校祭のクラスの出しものが映画で。“資源としての水を考える”そんな内容だったと思います」。この経験から映画に対する考えが変わった。「カメラの電源さえオンにすればなんでも撮ることはできる。だけど本当に撮りたいものを撮るとなると、生半可なことではない。音楽や文学、美術…いろいろなことに触れて経験しなければ自分の中にあるものを表現できない、と思いました」。本学進学の決め手も“映画は総合芸術”という信念を実践できる大学だと思ったからだ。

 入学後は期待が大きかった分、がっかりすることもあった。けれど、視点を少し変えれば、感じ方も変わる。すべての芸術活動(もちろん映画を含む)には、コミュニケーションが大切な要素であることを改めて実感してからは、大学生活の中でのものの見方や考え方も変化した。「意外と、自分に協調性があることが再発見でした(笑)」

 『ドクガス』では表現したいことの輪郭がはっきりした。「自分の中にくすぶっているものを等身大で伝えたい一心で撮ってきましたが、今は自分を取り巻く社会に視線が向くようになってきました」。

 そして社会に潜在している問題を言葉や映像で形にしたい、という使命感を持って撮った映画が現在公開中の『Cheap Escape In Nowhere』だ。「北海道の中でも一、二を争う最果ての地でロケをしました。地の果て感を感じてもらえれば最高です」と笑った。

註:第1回北海道インディペンデント映像フェスティバル。北海道の映像制作を応援し、作家に上映の場を提供し、また北海道から映像を発信していく機会を作ることを目的として開催。

晩夏の北海道を舞台にしたロードムービー『Cheap Escape In Nowhere』は3月より北海道を中心に公開中。東京での上映会は6月に開催予定。詳細情報は、下記HPにて。

http://film.artful.jp/cheapescape/

(提供:早稲田ウィークリー

南出 惇介(みなみで・じゅんすけ)/第二文学部卒業

1983年北海道生まれ。函館ラ・サール高等学校卒業。2009年、第二文学部卒業。06年より映画監督として活動を開始、07年に3作目にあたる『ドクガス』が第1回北海道インディペンデント映像フェスティバル(註)にてグランプリを受賞。現在、最新作の『Cheap Escape In Nowhere』が公開中。道産子として「札幌に来たら『弟子屈のしょうゆラーメン』『カンクーンのスープカレー』『Rumのジンギスカン』は絶対食べて帰ってもらいたい」と話す。