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▼こんな授業! どんなゼミ?

アイヌ語(入門会話)(グローバルエデュケーションセンター設置オープン科目)

「ラッコ」はアイヌ語由来? 系統性を持たない言葉を学ぶ

丸山 由生奈(まるやま・ゆうな)/文学部 2年

「irankarapte!」 これを見て「何語だろう?」と思った人は多いのではないでしょうか。これは、アイヌ語で「こんにちは!」という意味です。

 アイヌ語は北海道のアイヌ民族の言葉で、中学・高等学校の日本史の授業や、會津八一記念博物館でアイヌ文化に関する資料を見たことがある人もいるかもしれません。実はこのアイヌの言葉を、早稲田大学で学ぶことができるのです。

発音がローマ字で示されています

 授業はプリントを使った会話練習を中心に進みます。アイヌ語は決まった正書法※が無いため、プリントにはローマ字で発音が示されています。まずはじめにこれを見ながらネーティブの音声を聞き、先生と一緒に声に出したら、学生同士で会話練習をします。受講者には、北海道出身の学生や留学生、言語を学ぶのが好きで、何カ国語も勉強している学生などさまざまな人がいて、刺激を受けられるのもこの授業の魅力です。

※正書法:規範として認められた単語のつづり方、またはその体系

 会話練習のまとめは、担当の志賀雪湖先生(グローバルエデュケーションセンター非常勤講師)によるチェックです。先生が1グループごとに回って、発音のアドバイスや他の言い回しについて教えてくださいます。また、ちょっとした言葉遊びや料理のことなど、アイヌ語を通して新しい文化と出会えるのがとても楽しいです。

 私は将来、中学・高等学校の国語科の教員になりたいと考えていますが、授業で先生が「“ラッコ”はアイヌ語由来という説がありますよ」といった話をしてくださり、日本語と他の言語との関わりにもとても興味を引かれました。将来、自分が国語の授業をするときには、日本語の背景にある日本文化に加え、他言語との関わりも話したいと思うようになりました。

単語や他の言い回しは板書でも確認します

 残念なことに、アイヌ語はネーティブ話者が少ない言葉の一つです。私は第3外国語として勉強しているのですが、アイヌ語を学ぼうと思ったきっかけは、「他の人と違うことをしてみたい」「主専攻が日本語日本文学という“文字で表すことができる言葉”なので、“声の言葉”について知りたい」という興味からでした。しかし、入門・初級と約1年学び、あらためて思うようになったことは、「言葉は人の生活・文化と共に生きている。私は生きた言葉を伝えていく一人になりたい」ということです。

 もともと「アイヌ」は「人」という意味です。アイヌ語の授業で学ぶ表現は、「遠くから来ました」「この黒いお箸はおじいさんのだよ」など、人々の生活や文化から自然と生まれたものばかりです。正書法がないアイヌ語は、他の言語以上にアイヌ民族の暮らしに根付き、育まれてきました。

 今度、先生が授業で紹介してくださったアイヌ料理のお店に、いつも会話の練習をしている3人組で行く予定です。まだまだ知らないアイヌ民族や彼らの生活を学び、理解して、私もいつか日本語と、“生きたアイヌ語”を伝えていきたいと考えています。

いつも会話練習をしている3人組で(右が筆者)

(提供:早稲田ウィークリー