教育
▼こんな授業! どんなゼミ?
教育学研究科設置科目「フランス語」
~仲間が集うフランス語塾~
森本 裕衣(ゆい)/文学研究科修士課程2年
授業風景。右が渡邉教授
この授業の内容はいたってシンプル、「フランス語を読む」です。各々の研究に関係する文献を、1つにつき6ページほど皆で読みます。授業までに各自試訳をつくり、授業ではその箇所の訳や内容を検討。そんなのどこのフランス語講読の授業でもやること、と思われるのではないでしょうか。筆者の経験から言えば、他の語学の授業との内容面での違いは文法事項にかなりこだわることではないかと思います。
しかしこの授業の特徴は、授業の内容以上に、少人数ながらメンバーの多様さにあるのではないかと思っています。
筆者は、渡邉芳敬教授がこの授業を担当された初年度(当時、教育学部4年)から学んでいますが、毎年、フランス語の論文を読みたい、将来フランスの美術館で働きたい、フランス語圏に留学したい…など、フランス語/フランス語圏に関係する野心を持った人が、専門や年齢の壁を越えて集まっています。
授業で扱っているテクスト(L’Erreur)
各自の専門は、筆者が知る限り、仏文学、国文学、社会学、演劇学、アート・マネジメントなど多岐にわたり、各自の研究に関わる文献を読む授業ですので、さまざまな分野のものに触れることになります。これまで読んだ文献は、社会学の論文、ベルギーの画家ルネ・マグリットのエッセイ、永井荷風が読んだといわれる小説、などなど。このこともまた、この授業の魅力ではないでしょうか。
たとえ、渡邉教授がこの授業を持たれなくなったとしても、「授業」という枠がなくても、先生の周りに熱意ある人が集う「私塾」のようなかたちで続いてくれたら、と期待しています。
(提供:早稲田ウィークリー)