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教育

▼こんな授業! どんなゼミ?

会計の機能と魅力
~簿記だけでは無い?

西村 啓志/会計研究科会計専攻

中央の長谷川先生とゼミ生たち。左から3番目が筆者

 会計専門職大学院では、公認会計士試験受験に関連する授業が多いのですが、何か個別の問題についての研究を希望する学生のために「テーマ研究演習」があります。その演習では研究内容をまとめテーマ研究論文(修士論文相当)を書くことになります。

 私が選択した「財務会計テーマ研究I」(長谷川哲嘉先生担当)の授業形式は、毎週、各ゼミ生が自身の研究テーマに関連するレジュメを作成し、それを発表します。発表後はまず、ゼミ生同士(1、2年生合同)で質疑応答を行い、その後、先生からの質問および指導を受け、さらに全員で議論を展開することになります。

 ところで、会計というと簿記を最初にイメージされる方がおられると思いますが、あくまで簿記とは会計の一部分(手段)です。というのも、会計とは「ある特定の経済主体の経済活動を、貨幣的額などを用いて計数的に測定し、その結果を報告書にまとめて利害関係者に伝達するためのシステム」で、経済活動を記録する部分で簿記が用いられるに過ぎないわけです。

 会計という学問は他の学問と密接なつながりがあります。たとえば、日本の大手電機メーカーを例に挙げますと、近年の世界経済の落ち込み及び中国・韓国企業の成長により、以前にも増して競争が激しくなりました(→経済学)。そして、この競争に勝つため、各メーカーは独自の経営戦略を考え、実行して来ました(→経営学)。その結果として、現在では黒字の会社もあれば、赤字の会社もあります(→会計学)。

 このように、企業を取り巻く環境に基づいて、経営戦略を考え、その具体的な数値結果が会計上表れるわけです。よって、会計学は他の学問と密接につながっていることがわかります。

 会計学は皆さんが思っているよりも広い概念であり、社会経済のインフラストラクチャーとして重要な機能を果たしている魅力ある学問であることを理解いただけたでしょうか? もし、興味を持たれた方はこの世界に飛び込んでみるのも、また面白いかもしれません。特に当ゼミに入られた方は長谷川先生に厳しく鍛えられるとともに、会計の事をもっと好きになれると思います。

(提供:早稲田ウィークリー