教育
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社会福祉国家の現状と課題を解き明かす
「ケーススタディ 北欧の経済と社会」
寺田 昌行/大学院公共経営研究科2年
「北欧」から日本人は「社会福祉・保障」「ノーベル賞」といったことを連想するのではないだろうか。北欧は感覚的に我々日本人には遠い国ではあるが、北欧諸国は意外と我々の身近な存在ではないだろうか。例えば、世界最大の家具チェーンとして有名なIKEA、日本でも話題のアパレルメーカーH&Mも北欧の企業である。日本では、年金、医療保険、失業・雇用、高齢者福祉、教育に関する制度やシステムがうまく機能している高福祉国家として、北欧諸国が紹介されることが多い。特に最近、少子高齢化が急速に進んでいる状況で、福祉先進国である北欧諸国の制度への関心は急速に高まっている。
本講義では、北欧諸国(特にスウェーデン)で実際に行われている社会福祉制度・政策を経済学的観点で分析・検証していく。講義の前半では、社会福祉制度分析に必要な経済学的枠組みを学ぶ。後半ではそれを基礎に、北欧諸国で行われている所得保障、年金、医療、教育、高齢者福祉、児童・家庭福祉等に関する制度・政策について具体的に見ていく。年金制度を例に挙げれば、スウェーデンでは基礎年金部分が税金で賄われるため「制度のただ乗り」という問題が発生するが、その「ただ乗り」を阻止するためにどういった仕掛けが施されているのかなどについて検証する。
講義を担当される福島先生はスウェーデンで経済学博士号を取得され、約10年間スウェーデンで生活された。また現在も研究のため年に数回スウェーデンを訪れていらっしゃる。福島先生はスウェーデン社会の奥深くまで入り込んで福祉社会の実像を確かな分析力をもって検証されており、折に触れてご自身のスウェーデンでの実体験を聞くことが出来る点が、本講義が大変魅力的な理由であるといえるだろう。
私自身も社会福祉国家に興味があり、この講義を受講した。講義を通じて、社会福祉国家の各政策の長所・短所をしっかり理解する機会と日本の福祉のあるべき姿とはどういったものであるかを考える良い機会を私は得たと強く感じている。
(提供:早稲田ウィークリー)