早稲田大学の教育・研究・文化を発信 WASEDA ONLINE

RSS

読売新聞オンライン

ホーム > 教育 > こんな授業! どんなゼミ?

教育

▼こんな授業! どんなゼミ?

報道の本質に迫る
「報道が社会を変える―取材過程論―」

橋本 真帆/政治経済学部3年

 本講義は、名前の通り、報道や作品からはわからない取材の過程を知ることができる。講義をしてくださるのは、プロのジャーナリストの方々。石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞の受賞者に加え、昨年活躍したジャーナリストの方だ。毎回講師が変わるため、授業のスタイルも取り上げる内容も、週によって全く異なる。先週は調査報道の話だと思っていたら、次は戦場取材と、報道の対象がいかに広いかを実感する。

 この授業の一番の魅力は、プロのジャーナリストとアカデミズムの場で話ができるということだ。講師の講義に加えて、講師と学生という立場で討論をする機会も用意されている。ジャーナリズムとは何なのか、どういった報道が正しいのかといった、普段抱いている疑問を直接ジャーナリストの方々にぶつけることができる。また、取材のきっかけ、方法だけでなく、ジャーナリストの方々が取材中に抱いた感情を、講義や質問を通して聞くことができる。毎週授業後には、ジャーナリストの方の前に長い列ができる。

 私が授業を通して感じたのは、どのジャーナリストの方も共通して、目にしている事象に対して“なんで”という疑問を常に抱かれているということだ。なんでこんな不正がまかり通るのか、なんで法が整備されないのかといったように、それは時に怒りをともなうこともある。教室は大教室ではないため、ジャーナリストの方が感じた怒りや感動を、教室にいる全員が共有することができる。私自身も、免罪事件や偽装請負、イラクの現状などに対して激しい怒りを感じた。と同時に、誰かがそれに気付き報道しなければ、誰もその存在を知ることはできないのだと思った。

 私はもともと報道に興味はあったが、本講義を受講してから、さらに報道の魅力に取りつかれてしまった。ジャーナリストをめざしている学生の皆さんには、ぜひ本講義のドアを叩いてほしい。

(提供:早稲田ウィークリー