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▼こんな授業! どんなゼミ?

経済学史 ~経済学のオールスターズ~

左近 優和/政治経済学部3年

 我々が学ぶ「経済学」とは何かと考えるとき、まず始めに現代社会で起きている複雑な現象を理論的に分析し、説明することが必要だ。そして、それはツールとして非常に有効なものである。しかし、その経済分析や説明方法が生みだされたルーツに対して、目を向けることは少ない。

 この講義ではアダム・スミス、リカード、ケインズといった経済学者について、例えば彼らの大学時代にまでさかのぼって人物像を探っていく。そして、なぜ彼らはそこに行き着いたのか、当時の時代は彼らをどう受け入れたのか。0が1に変わる瞬間を鳥瞰的に知り、学ぶことができるのだ。経済学の知識が無くても、一つひとつの経済用語について、学生に知っているかどうかを確認した上で解説をしてくれる。だから、経済学科以外の学生でも興味・関心さえあればハンディキャップを感じないで受講することができる。授業は大教室で行われ、壇上に立つ渡会先生の幅広い教養がかいま見える熱い弁舌が魅力的である。加えて、「講義」ではあるが、学生が自分で文献を探しているだけでは得難い知識や、簡単に手に入る文献には書いていない視点で授業を進めてくれるので、この講義でしか得られないものが多い。

 我々は身の回りにあるものを受動的に認識し、必死にそれを説明しようとしていることが多い。だが、その反面、身の回りにまだ無いものについては、認識も説明もできないことが多い。しかし、経済学史上のビッグスターたちは、今起きている現象を分析するだけではなく、見えない未来をも見通して、次にすべき行動を提示し、時代を救い、歴史に名を残してきた。なぜ我々が今こうしているのかを知るためには、まずどうやってここにたどり着いたかを知る必要がある。歴史を知ること、そこにはバラバラになっている経済学のビーズに一本のテグスを通していくような感動がある。

(提供:早稲田ウィークリー