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キャンパスナウ

▼2016 錦秋号

SPECIAL REPORT

平昌、そして東京へ−
躍動のリオデジャネイロ

2016年の8月から9月にかけて開催されたリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック。早稲田大学から多くの校友・学生が出場しました。リオで躍動した「Waseda」の足跡を振り返りつつ平昌と東京、未来のオリンピック・パラリンピックを見据えた取り組みを紹介します。

各選手のメッセージについて

リオデジャネイロで得たこと、感じたこと。(赤字はオリンピック選手、青字はパラリンピック選手)
※敬称を省略しています

うれしさと悔しさ
スポーツ科学部3年
坂井 聖人
競泳/男子200mバタフライ・銀メダル

パラならではの緊張感
教育学部4年
岩渕 幸洋
卓球/クラス9・予選敗退

壁をつくらないこと
2014年スポーツ科学部卒
ミズノ所属
野澤 啓佑
陸上競技/男子400mハードル・準決勝敗退

次につなげる悔しさ
政治経済学部卒
芦田 創
陸上競技/走幅跳(クラスT47)・12位、4×100mリレー(クラスT47)・銅メダル

自身を取り巻く環境、目標の再確認
スポーツ科学部
三菱電機所属
杉田 祐一
男子テニスシングルス・ベスト32

東京で金を取る覚悟
スポーツ科学部2年
渡辺 一平
競泳/男子100m平泳ぎ・予選敗退、男子200m平泳ぎ・6位

4年前より重い銅
2013年スポーツ科学部卒
ミズノ所属
星 奈津美
競泳/女子100mバタフライ・準決勝敗退、女子200mバタフライ・銅メダル

人生を捧げる価値のある大会だと知ったこと
2014年国際教養学部卒
フジテレビジョン所属
冨田 真紀子
ラグビー7人制・10位
※負傷のため登録メンバー交代

継続することの大切さ
2014年スポーツ科学部卒
Nike Oregon Project所属
大迫 傑
陸上競技/男子5,000m・予選敗退、男子10,000m・17位

高揚感
2009年スポーツ科学部卒
ブルボンウォーターポロクラブ柏崎所属
筈井 翔太
水球・12位

世界で無力だという認識
スポーツ科学部3年
加藤 修也
陸上競技/男子1600mリレー・予選敗退

限界はない、やればできるという手応え
2011年スポーツ科学部卒
豊田自動織機所属
坂井 克行
ラグビー7人制・4位

4年後に向けた決意。「絶対、リベンジ!」
スポーツ科学部2年
渡部 香生子
競泳/女子100m平泳ぎ・準決勝敗退、女子200m平泳ぎ・準決勝敗退

あきらめないこころ
2010年大学院先進理工学研究科卒
東京電力ホールディングス所属
多川 知希
陸上競技/100m(クラスT47)・予選敗退、4×100mリレー(クラスT47)・銅メダル
撮影:越智貴雄/カンパラプレス

東京に向けた貪欲(どんよく)さ
スポーツ科学部4年
瀬戸 大也
競泳/男子200mバタフライ・5位、男子400m個人メドレー・銅メダル

達成感
2008年スポーツ科学部卒
コナミスポーツクラブ所属
藤井 拓郎
競泳/男子100mバタフライ・予選敗退、男子400mメドレーリレー・5位

信じるチカラの大切さ
2014年スポーツ科学部卒
中部電力所属
大石 綾美
ボート/軽量級ダブルスカル・12位

追い求める勇気があれば夢は叶うこと
2014年社会科学部卒
ALSOK所属
松本 潮霞
ウエイトリフティング/女子63kg級・9位

「このままでは終われない」という思い
2009年教育学部卒
GOLDWIN所属
鈴木 孝幸
水泳/男子200m自由形(S5)・予選敗退、男子150m個人メドレー(SM4)・4位、男子50m平泳ぎ(SB3)・4位、男子100m自由形(S5)・予選敗退

3度目の難しさ
大学院スポーツ科学研究科
修士課程1年制 修士1年
久保倉 里美
陸上競技/女子400mハードル・予選敗退

可能性、自信、挑戦
2016年スポーツ科学部卒
イトマン東進所属
中村 克
競泳/男子50m自由形・予選敗退、男子100m自由形・予選敗退、男子400mリレー・8位、男子400mメドレーリレー・5位

新たな目標と強い気持ち
2010年スポーツ科学部卒
第一三共株式会社所属
古賀淳也
競泳/男子400mフリーリレー・8位

決意と覚悟
2015年社会科学部卒
全日本空輸所属
横尾千里
ラグビー7人制・10位

4年に1度の勝利への執念
2007年教育学部卒
NTT東日本所属
木村潤平
トライアスロン(PT1)・10位
撮影:越智貴雄/カンパラプレス

出場選手インタビュー

リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックで活躍した選手に、大会を振り返っていただきつつ、今後の抱負をお聞きしました。

リオデジャネイロ・オリンピック競泳
初の大舞台に緊張はなかった

(左)スポーツ科学部4年
瀬戸 大也
(男子400m個人メドレー・銅メダル、男子200mバタフライ・5位)

(右)スポーツ科学部3年
坂井 聖人
(男子200mバタフライ・銀メダル)
©尾崎大輔

—メダル獲得、おめでとうございます。
おふたりにとってオリンピックとはどのような舞台ですか。

瀬戸 オリンピックは夢の舞台であり、目標はそこで金メダルをとること。水泳を始めた頃からその軸がぶれたことはありません。

坂井 僕は大也さんと違って、オリンピックは手の届かない世界だと思っていました。ただ目の前の大会に集中して、全力を尽くす。その繰り返しで、気がついたらオリンピックに出場していた、という感覚です。

瀬戸 今回が初めてのオリンピックでしたが、しっかり準備できた手応えもあって全く緊張しませんでした。ただ結果については、「悔しい」のひと言。世界水泳などで1位になり、気の緩みがあったのかもしれません。その意味で、東京で良い結果を必ず出し、今回のリオでの経験が糧になった、と言いたいですね。

坂井 僕も課題の持久力を強化してきたことが自信になって、リラックスして臨めました。銀メダルという結果には大興奮しましたが、金メダルのフェルプス選手とわずか0.04秒差だったことを知ってからは、悔しい気持ちが先行して。この借りは、東京で必ず返します。

充実した早稲田の環境

—話題は変わって、早稲田大学に入学した理由について教えてください。

瀬戸 僕は大学が何なのかも理解していないような幼い頃から、「早稲田」という名前だけは知っていて、「日本一かっこいい大学」だと思っていました。大学では珍しく、室内の長水路プールがある環境も魅力的でしたし、進学先で迷ったことはないですね。実は高校の時、大会で一緒になった聖人を早稲田に勧誘したのも僕なんです。

坂井 そうですね。進学先として早稲田を意識するようになったのは、大也さんの言葉がきっかけでした。あと、トップアスリート入試による入学で、奨学金を受給できる制度があることも背中を押しました。遠征費などで負担をかけている親に、少しでも楽をさせてあげたいとの思いは強かったです。

—学業との両立はいかがですか。

瀬戸 例えば、試合参加証明書を受け取る際の手続きがスムーズになるよう対応していただいたり、先生と連絡を取り合って、授業出席相当の課題を出していただいたり、充実したサポートには非常に助けられています。おかげで今は卒論を残すのみ。無事、卒業できそうです。でも聖人はまだまだ気が抜けないね。

坂井 はい……。授業と練習のため、所沢キャンパスに張り付いている状況です。僕も大也さんのように余裕のある4年生を迎えるため頑張ります。

東京で金をとるのは僕だから

—最後に今後の抱負をお願いします。

瀬戸 早稲田は僕にとって「誇り」。いつもその看板を背負って戦ってきたつもりですし、卒業後も思いは変わりません。それと、聖人には、今後も一緒に日本のバタフライを盛り上げたいので、「引き続き、よろしく」と言いたい。ただ、東京オリンピックで金メダルをとるのは僕だということは、宣言しておきます(笑)。

坂井 僕は僕らしく、あまり先のことは考えず、まずは国際大会でのメダルを目標に取り組みます。その積み重ねで、東京オリンピックの金メダルに手が届くはず。そう信じています。

リオデジャネイロ・パラリンピック卓球
一体となった支援は早稲田ならでは

教育学部4年
岩渕 幸洋
(クラス9・予選敗退)

—今回、初のパラリンピック出場でしたが、それまでの経緯について教えてください。

 早稲田実業・中等部1年生の時に部活動で卓球を始め、3年生から障がい者の大会に出場するようになりました。最初は全く歯が立たない状況でしたが、研究を重ねて技術を磨き、試合で勝てるようになり、大会で優勝するようになり、とステップアップを重ねてきました。

 パラリンピックを意識するようになったのは、世界選手権に出場した2年前。世界を相手に思うような結果を残すことができず、「もう一度戦いたい」「リオに行きたい」と強く思ったのです。ちょうど、東京パラリンピックの開催が決まったことも大きかったですね。以来、出場条件である世界ランク13位内を目標に取り組み、2016年1月に念願のパラリンピック出場を決めました。

 その後ろ盾となったのが、2年前に卓球部のOBの方が有志を募って発足してくださった後援会です。スポンサー企業もついて、資金面、精神面で援助していただいています。広いネットワークを生かして、一体でサポートしてくださる環境は早稲田ならでは。皆さんには本当に感謝しています。

「芯」を確立することが課題

—結果についてはご自身でどう分析していますか。

 目標はメダル獲得でしたが、結果は予選敗退。オリンピック・パラリンピックには魔物が棲んでいるといいますが、本当にそうでした。大勢の観客が見守る中での試合、一発勝負のプレッシャー、選手の意気込み、何もかもがいつもの世界大会とは次元が違っていて、自分の良さを発揮できませんでした。

 他の選手は、その空気に飲まれることなく、自分の持ち味を100%出し切きれるようしっかり準備をしていました。僕は、そういう自分の「芯」となるものを確立できていなかったというのが反省点です。

—今後の抱負をお願いします。

 東京パラリンピックで金メダルを取ることを目標に、持ち味である打点の早さやラケットのラバーを生かした前後の緩急の精度を高めようと思っています。来年は卒業して社会人となりますが、これからも早稲田大学の一員であることを忘れずに取り組むつもりです。

取材こぼれ話
笑顔の絶えない瀬戸選手と坂井選手

 終始リラックスした雰囲気でインタビューに応えてくれたお2人。互いに冗談を言い合うフラットな関係が垣間見えました。先輩・後輩の垣根なく和気あいあいとした雰囲気は水泳部のカラーなのだそう。そんなのびのびとした環境が、強さの秘けつかもしれません。

©尾崎大輔

考える力を問われるパラリンピックの競技環境

 日本におけるパラリンピアンのサポート体制は発展途上。岩渕選手は、世界ランクアップのための戦略立てから世界大会へのエントリー、練習相手のセッティングなど、何もかも自分で行っているのだとか。その分、考える力が養われるのか、取材当日も「撮影のアングルをこうしてみては」など、積極的に提案する姿が印象的でした。