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キャンパスナウ

▼2016 早春号

SPECIAL REPORT

図書館新時代

図書を読む人々が集う静かな空間――。
図書館といえば、そんな風景を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし早稲田大学図書館では今、その有り様を大きく変えようとしています。
時代の変化に対応して、より多くの人々に役立つ存在へ。
アグレッシブに進化を遂げる、早稲田大学図書館の姿をご紹介します。

USER'S VOICE

図書館ユーザーが語る早稲田大学図書館

ユーザーの視点から、奥深さと利便性を併せ持った早稲田大学図書館の特長や学生読書室をご紹介します。

大学所有電子媒体とイギリス史研究

松園 伸
文学学術院 教授(西洋史学コース)

 本学図書館がもつ電子媒体の特長は、それが量的に全国トップレベルの規模ということもありますが、所有する資料の検索システム、雑誌データベース(以下DBと略)、そして資料DBの三者の間の有機的な繋がりが挙げられるでしょう。私の場合、イギリス近現代政治史が専門ですので、まず文献目録①、そして雑誌論文検索エンジン②が有用です。特に後者は、研究テーマに関連した論文がヒットした場合、直接雑誌DBにリンクし、すぐさま読みたい論文をPDF形式でダウンロードすることができます。そしてその雑誌論文を読んで、確認したい歴史史料が見つかれば、16世紀~19世紀の言説史料、新聞などの定期刊行物などのDB③を使ってすぐ自宅のPCでも読むことができます。実際本学が有する学術雑誌、歴史史料等のDBの規模は、中規模の英国の大学図書館に迫る水準に達していると思います。

 加えて強調したいのは、紙媒体の図書資料④の重要性です。いくら電子媒体のDB全盛の時代にあっても本学所蔵の図書が色褪せることはないでしょう。これは特に古史料、貴重図書について当てはまります。直接書物を紐解くことによる新たな発見は変わることがありません。そしてここで目にとまった歴史上の問題について扱った雑誌論文などの先行研究はないか、と調べることで、再び電子ジャーナルにフィードバックされるのです。円安などによりDB購入費用の増大が心配されますが、今後も図書館が電子史料、紙媒体図書をバランスよく収集することで、本学のアカデミック・スタンダードへの発展が期待されます。またこれらの資料を学部学生、大学院学生が充分に活用できるよう、電子媒体に対象にしたリテラシー教育の一層の充実が必要であると考えます。

①「Bibliography of British and Irish History」英国王立歴史学会編
②「Web of Science」、特に歴史学に特化したものでは、HistoricalAbstractsがある。
③ その一部を紹介しても以下のようなDBがある。15世紀末から17世紀までの英語による言説史料の網羅的なDB(12万5千タイトル以上)は「Early English Books Online (EEBO)」、18世紀の出版物は、「The Eighteenth Century Collections Online」 (ECCO、13万5千タイトル、2,600万ページ) 。日刊新聞は、「The Times」(1785-2009)、「The Guardian」 (1821-2003) 、「The Financial Times」(1888-2010)、上記3紙は現在も刊行中)などの高級紙から、地方紙、さらには発行期間が短く入手不可能な新聞(例えば17th and 18th CenturyBurney Collection約1,270紙)、雑誌(18世紀に特化したものにEighteenth Century Journals Portal, I, IIがある。17~20世紀までの大小雑誌500タイトルを蒐集したものとしてBritish Periodicals)等、非常に良質なDBがある。
④ 英国議会討論記録「Hansar d」。State Papersと言われる中世以来の英国政府文書。The Punch(1841-1992)、The Illustrated LondonNews(1842-2003)などの表象史料の大コレクションなどがある。

古典籍を用いた研究を協力サポート

文学研究科修士1年
丹野 友博さん

 学部生時代にその奥深さに魅了され、現在は大学院の日本語日本文学コースで和歌を専門に研究しています。近年の活字出版されたものよりも古典籍自体を用いることが多い私の研究において、古典籍総合データベースはとても重要なツールです。どんなに古いものでもオンライン上で著者、書写年時、本の大きさ、旧蔵者等の書誌をひと目で確認でき、必要な情報を容易に得ることができます。そしてカラー画像によって、墨書と朱書の違いや紙の文様なども判別しやすくなっています。見にくいな、と思ったら画面上で拡大することができ、使い勝手も申し分ありません。

 また、古典籍へのアクセスの簡便さも素晴らしいと思います。私が受けている大学院の講義では、当データベースにある『六百番歌合』の古典籍をテキストに用いて、本文の文字起こしや注釈などを行っています。もちろん、古典籍を直接見なければ分からないこともありますが、所蔵機関に古典籍を直接閲覧しにいく、影印本やマイクロフィルムで確認するなどの方法と比べて、時間と場所に縛られることなく誰でも見ることができ、また検索画面からすぐに画像データにたどり着くことができます。

古典籍データベース「源氏物語~語り継がれる王朝絵巻~」

作品名のほか、「和歌」、「物語」、「軍記」等、ジャンルでの検索も可能

 古典籍は同じ作品であっても体裁が変化するもので、例えば、巻物であったものが冊子になる場合があり、また人が書写するため誤って写されることがよくあるので、多くのものを比較しなければなりません。その点において、当データベースは手軽に複数のものを比較することができ、古典文学の研究に役立っています。

学生図書室は第2の勉強部屋
李健熙(イゴンヒ)記念図書室

学生にとって使い勝手がいい場所

 1年生の時は、まだ新3号館が開館されていなかったので毎日中央図書館に通っていました。中央図書館はさすがに蔵書数も多く、自分が求める本を探すのに時間がかかります。3号館から少し離れていることもあり、自分の学部学生読書室を利用できる日を楽しみにしていました。待望の3号館学読は、場所が近いのはもちろんのこと、政治経済に関連する資料も多く揃い、効率よく利用しています。明るい光と緑が目に入る大きな窓に面した席が私の指定席。電源が完備されているのでPCを持ち込み、ウェブ上での情報と、より正確さを求めた紙の資料を同時に使い分けています。他にも、新聞コーナーやグループ学習室などの設備も整い、勉強だけでなく様々の利用方法がある、学生にとって使い勝手がいい場所です。
(政治経済学部2年 ドァン トゥン ミンさん)

理工学生読書室

自分の部屋の延長のような空間

 ここ、理工学生読書室はその名の通り理学、工学の様々な分野の参考図書を収容しており、理工学部生にとって必要不可欠な存在となっています。授業で使用する教科書等もほとんどの場合ここにあり、授業がある日は毎日利用しています。教科書や授業で使われる資料は、同じ本が何冊も揃っていて借りられている心配が少ない点、また、使う資料が多いので一人ひとりの学習スペースが広い点も気に入っています。課題をこなす必要がある等、必要に迫られたときはもちろんのこと、これといって用事がない時でもついぶらりと入って、気になっている読み物を見つけたり、まったりとしてしまうことも(笑)。私にとっては居心地よい、自分の部屋の延長のような空間となっています。
(先進理工学部2年 高橋由弦さん)

頂新国際グループ記念学生読書室

洋書のラインアップが充実

 多い時では週3回ほど利用しています。主に本を借りるという使い方をしていますが、定期テスト、レポートの提出期限前などには自習目的でも訪れます。私が愛用している奥の広い学習スペースでは、集中して勉学に打ち込むことができます。頂新国際グループ記念学生読書室の大きな特徴の一つは洋書が豊富に取り揃えられていることです。読書を通じて英語や文学に親しむことができるほか、日本の名作漫画の英語版や日本紹介ブックなども置いてあり、日本文化に触れるのにも良い環境だと思います。また、英語の教科書や専門書も置いてあるので、授業で扱い自分でも気になった本を自主学習を兼ねて読み耽ったりと、日常的に大変役立っています。
(国際教養学部1年 荒木遼太郎さん)