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キャンパスナウ

▼2014 盛夏号

SPECIAL REPORT

早稲田の“ビジネス教育”

社会で活躍する人材育成を目指し教育改革を進めている早稲田大学。今号では、学生のビジネスマインドを育み、社会人基礎力を涵養させる早稲田の“ビジネス教育”に焦点をあて、特長や教育のしくみ、戦略、将来のビジョンをお伝えします。

インタビュー

周りの人々と幸せを共有できる
ビジネスに取り組む人材育成を

教務部長の大野髙裕理工学術院教授に、早稲田大学のビジネス教育の目指す姿や現在の取り組みについて伺いました。

教務部長
大野 髙裕
理工学術院教授
略歴はこちらから

国際社会で活躍するビジネス人材を育成

――ビジネス教育に関する早稲田の取り組みを教えてください。

 グローバル化が急速に進み、ビジネスの世界は国際競争が激しくなっています。学生を取り巻く環境も大きく変化し、大学でのグローバル人材の育成が期待されています。

 早稲田大学では、1956年に誕生したノンディグリー・プログラムを行う「早稲田大学生産研究所」を出発点に、さまざまな変遷を経た後、2002年に設立した早稲田大学ビジネススクール(WBS)を中心に、グローバルなビジネス環境の下で市場価値の高いビジネス人材を育成するための体系的なビジネス教育を行っています。英語だけで学位を取得できるMBAプログラムをはじめ、ケンブリッジ大学のMBAであるジャッジ・ビジネス・スクールやスイスのIMD(International Institute of Management and Development)など海外トップクラスのビジネススクールと連携したプログラムなどが特徴です。また、企業から委託されたビジネスプログラムや、EU(EuropeanUnion:欧州連合)から委託されたエグゼクティブプログラムなども行っています。体系的なビジネス知識はもとより、世界規模での人的ネットワークの形成につながっています。

 同時に、学部レベルでは全学部の学生を対象とし、アカデミックに裏打ちされたビジネス教育にも力を入れています。

「生きる力」を得る体験型ビジネス教育

――学部学生を対象としたビジネス教育とはどのようなものですか。

 ビジネス精神を涵養するための教育で、組織を活性化するために自分に求められる役割をきちんと把握し動ける能力です。学部や性別に関わらず全ての人々が自らの生業(なりわい)を営む上で必要となる「生きる力」と言い換えることができます。例えば理系学生の場合、技術的な知識だけでなく、新技術を製品化・事業化するための考え方や手段が必要となります。社会的な場だけでなく、家庭においても必要です。

 こうした「生きる力」は、組織論やマーケティング論といった理論だけで修得できるといった単純なものではなく、さまざまな体験を通じて異なる立場の人々と交わることで身につくものです。しかし、幼い頃から周りの人々と関わり、社会訓練を積んだ昔の学生と比べて、勉強一辺倒で育つというケースも多いいまの学生たちは、大学までの18年間で得られるはずの数多くの経験を犠牲にしてしまっています。つまり、知識はあるけれど、それを生かすための体験や訓練が圧倒的に足りないのですね。そこで早稲田大学では、学生たちがリアルの世界でさまざまな人々と関わることができる機会を多く提供しようと、各箇所で体験型の教育カリキュラムやプログラムを設けています。

――具体的にどのようなものがありますか。

 最近の主流は、グループワークを中心とした学生参加型の授業です。学生同士が顔を突き合わせ、テーマや課題に対して意見を交換することで、多様な価値観に触れることができます。実践型産学連携プロジェクト「プロフェッショナルズ・ワークショップ」では、企業・自治体のプロフェッショナルと学生が共同で問題解決に取り組むことで、実践的に社会人基礎力を養成しています。

 他にも、社会連携やボランティア活動などを通じて地域の人々と関わることで、多様な価値観を身につけることができるでしょう。例えば、何かに挑戦してみたいけれど何をしたらいいか分からないという学生向けには、今年から一歩踏み出すきっかけを提供する「IPPOプログラム」をスタート。時代に合った学生のニーズを反映させることも大事だと考えています。

 一方で、将来ビジネスリーダーとしてグローバルな社会で活躍する際に、相手から「この人とビジネスをしたい」と思わせるには、専門知識だけではなく一般教養が必要です。総合大学であることを生かした教養教育にも力を入れています。

周りを幸せにできるビジネス人材を社会へ

――メッセージをお願いします。

 早稲田が育てたいと考えているビジネス人材とは、周りの人々と幸せを共有できるビジネスに取り組む「利他の精神」を持った人材です。相手の立場に立って物事を考えることで多様なビジネスニーズに素早く反応できる人材、あるいは組織の中で周囲の能力を引き出せる人材を育成し、社会に送り出すことで、幸せな社会の実現に貢献したいと考えています。

大野 髙裕(おおの・たかひろ)/教務部長 理工学術院教授

早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了。工学博士。同学部専任講師、助教授を経て、1995年教授。2006年11月国際部長、2010年11月より教務部長。