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キャンパスナウ

▼2014 新緑号

SPECIAL REPORT

早稲田の国際化

国内の大学でもいち早く国際化に取り組み優秀な人材を世の中に送り出してきた早稲田大学。
文部科学省「国際化拠点整備事業(グローバル30)」(2008~2013年度)の採択を機に、さらに国際化を促進。英語による授業のみで学位を取得できるコースの大幅な増設や、留学生受入体制の整備、戦略的な国際連携の推進などを進めてきました。早稲田大学の国際化のこれまでの成果と、今後の展望をお伝えします。

副総長インタビュー

国際化で早稲田はどう変わったか

内田勝一副総長に、早稲田の国際化についてこれまでの取り組み、グローバル30の成果、今後の展望などを伺いました。

出島からウィンブルドンへ
大学の聖地を目指す

副総長・常任理事
内田 勝一/国際学術院教授
略歴はこちらから

――早稲田大学の国際化の動きを教えてください。

 早稲田の国際化に向けた変革の歴史は1994年に当時の奥島孝康総長が、「Think globally, act locally」という視点から「グローカル・ユニバーシティ」を提唱したことに始まります。1998年の大学院アジア太平洋研究科を端緒に、英語で学位が取れる大学院を複数開設し、2004年には国際教養学部を新設。2008年に発表した中長期計画「Waseda Next 125」では「早稲田からWASEDAへ」とのスローガンを掲げ、国際化という大きな方向性を社会に示しました。その後、2009年の文部科学省「国際化拠点整備事業(グローバル30)」の採択を受けた5学部(政治経済、基幹・創造・先進理工、社会科学)とそれに連なる大学院6研究科を加えて、現在は英語学位プログラムを6学部11研究科で展開しています。

 2013年策定の「Waseda Vision 150」ではグローバル人材育成のための教育体系の変革を打ち出し、創立150周年を迎える2032年までに全ての日本人学生が何らかの形で海外へ留学し、留学生10,000人を受け入れるという数値目標を定めました。

――早稲田の国際化はどのような段階にあるのでしょうか。

 国際化には諸段階があり、第一段階は江戸時代の出島のように海外との関係が限定されている状態です。早稲田では1963年に教務部外事課(現国際部)を設置し教員の在外研究派遣や外国人研究者の受け入れを行い、翌64年から別科国際部(1年制)で留学生に日本の事情を英語で教えていました。

 第二段階は教育研究の国際化です。英語学位プログラムの設置、海外の教育研究機関との共同研究、早稲田大学と留学先の大学の両方の学位を取得できるダブルディグリーなどの海外派遣プログラムを整え、現在では4,427名の外国人学生を受け入れ、1,084名の学生を派遣(長期・1年間)するまでになりました(2012年度実績)。これは日本最大規模です。海外協定機関も400を超えます。

 こうして国際化を進めてきた結果、早稲田はいま他大学に先駆けて第三段階である大学のガバナンス全体のグローバル化を目指しています。私はそれを「ウィンブルドン化」と表現しています。テニスの聖地・ウィンブルドンにイギリス人だけでなく世界中のトッププレーヤーが集まるように、早稲田も国籍を問わず多様な国・地域からさまざまな価値観を持つ優秀な学生や教職員が集まり交流する「大学の聖地」にしたいのです。

日本を多様な人々が共生する社会へイノベートする

――改めて、大学が国際化を進める理由を教えてください。

グローバル30英語コースに在籍している外国人留学生数(大学別)
大学名 学部 大学院 合計
東北大学 56 100 156
筑波大学 135 65 200
東京大学 35 265 300
名古屋大学 87 59 146
京都大学 25 269 294
大阪大学 60 61 121
九州大学 77 200 277
慶應義塾大学 25 18 46
上智大学 6 36 42
明治大学 39 55 94
早稲田大学 260 212 472
同支社大学 80 134 214
立命館大学 122 9 131
(名)

(2013年10月1日現在)
※上記英語コースには、外国人留学生に加えて、日本人学生も約500名在籍しています。

 国際化の目的は大きく三つあります。一つは環境問題・貧困・教育・平和など世界規模の課題を解決するため、もう一つは日本が国際社会に伍していくために必要な人材を育成するため。そして最も本質的な目的が、日本を多様な文化的背景を持つ人々の共生する社会へイノベート(変革)するためです。イノベーションは、言語・文化・宗教・価値観の異なる人々がお互いの違いを尊重し共に話し協力するところに生まれます。だから早稲田は世界中の学生から選ばれる大学を目指して国際化を進めているのです。

――キャンパスの国際化については、具体的にどのような取り組みを行い、どのような成果が表れているのでしょうか。

 国際教養学部をキャンパス中央の11号館に移転しました。これは意図的に行ったことで、国際系学部を出島のようにメインキャンパス外に置く他大学との大きな違いと言えます。結果、11号館付近は外国人比率が圧倒的に高く、英語・中国語・韓国語・タイ語などが飛び交っています。それを目の当たりにした学生は、自分たちが将来どのような社会で生きなければならないかを実感しているはずです。本学の学生アンケートでは80%が海外留学を希望し、70%を超える学生が将来海外で働いてもいいと回答しています。また、国際コミュニティセンター(ICC)や今年4月にオープンした国際学生寮WISHでは日本人学生と外国人学生が日常的に交流しながら、多文化共生の意識を育んでいます。

 他にも学生交流・教員交流を容易にするために、2013年度から1年を4つの授業実施期間に分ける「クォーター制」を導入し、今年は7学部・16研究科・3機関で実施。今年から第2クォーターの6月から実施する「Waseda Summer Session」には世界中から応募が殺到しています。

20年、30年先の社会で
高い志を持って活躍できる人材育成へビジョンを共有

――グローバル社会で求められる人材についてどのようにお考えですか。

 いま私たちは豊かな日本という幻想のなかで暮らしていますが、20年、30年後は全く想像もつかない世界になっているでしょう。私が大学を卒業した1970年頃の就職人気企業である都市銀行は、この数十年の間に13から4へと淘汰されました。一方でプロ野球パ・リーグの6球団中3球団はここ20年前後で急成長した企業です。私が大学を卒業したときにはありませんでした。学生に必要なのは、いまの企業のためのスキルではなく、いまはない職業に適応できる能力です。そのためには深い専門知識、幅広い教養、外国語能力(コミュニケーション力)、多文化を理解し受容し共生を目指す意欲(志)が大切です。

――大学、学生はもちろん、日本の社会自体が国際競争の中に置かれているということでしょうか。

 そうです。韓国では10年程前から英語を初等教育から必修としており、TOEFLの平均点で日本を大きく引き離す英語力のある人たちが企業に就職し世界中で活躍しています。日本企業が日本語しか使えなければひとたまりもありません。また、法律学は国内的な学問分野ですが法学部が英語による授業に取り組み始めたことは、分野・業界の隔てなく国際化の波が押し寄せていることを示しています。今後、日本の発展には海外資本の流入が不可欠で、海外の企業が日本経済に参入、投資しやすい環境を整える必要があります。日本の制度を海外にわかりやすく説明できる人材も求められています。ぜひ多くの方に、いまの学生が苛烈な世界に置かれていることを理解していただきたいと思います。

――読者へのメッセージをお願いします。

 グローバル化が進み、昔のように日本あるいは日本語という壁の中だけで良い大学に入学して良い企業に就職すれば安心という時代ではなくなっています。日本の大学が世界の大学の中で競争していくには、世界中の学生から選ばれる大学にならなければなりません。海外の一流大学と同じ高水準な教育研究を提供すると同時に、日本の特性や強みも含めて早稲田大学のアイデンティティーを高める必要があります。

 今後は学部・大学院の一貫教育を展開することや大学の運営・制度自体の国際標準化に向けて教職員のグローバル化を進めていきたいと考えています。教職員、学生、学生のご父母、卒業生の皆様とビジョンを共有し、これからも着実に一歩ずつ国際化を進めてまいります。

早稲田大学の提供する派遣プログラム

  • 交換留学
  • Thematic Study Abroad(TSA)
  • Individualized Study Abroad(ISA)
  • 1セメスタ—
  • ダブルディグリー(DD)
  • 短期留学
  • Student Exchange-Nippon Discovery(SEND)
  • Global Leadership Program(GLP)
  • 海外インターンシップ
  • Asian Business Studies(ABS)
  • Yale Visiting International Student Program(Y-VISP)
  • トップリーダー・プログラム

内田 勝一(うちだ・かついち)/副総長・常任理事 国際学術院教授

1946年生まれ。1970年早稲田大学法学部卒、1975年同研究科博士後期課程修了。1977年法学部専任講師、1979年助教授、1984年教授、2004年国際教養学術院教授。国際教育センター所長、別科国際部長、国際教養学部長などを歴任。専攻は民事法学。