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キャンパスナウ

▼2013 新緑号

SPECIAL REPORT

「Waseda Vision 150 Student Competition 2012」

学生が描く“Wasedaの未来”

早稲田大学の中長期計画“Waseda Vision 150”では、その達成のために、大学の主役である学生による教育・研究への積極的な参画を重要視しています。そこで学生が考える“Wasedaの未来”をコンペ形式で発表してもらうイベントとして、「Waseda Vision 150 Student Competition 2012」を開催。早稲田大学校友会共催、早稲田大学デジタルキャンパスコンソーシアムの協賛のもと実現に至りました。

初の開催となる今回は応募39チームの中から7チームが決勝大会に進みました。3月18日に小野記念講堂で行われた決勝大会での各チームの様子を追うと同時に、早稲田大学が学生に対してどのような期待を持っているのかをお伝えします。

※“Waseda Vision 150”についてはこちら http://www.waseda.jp/keiei/vision150/

インタビュー

学生と共にVisionの実現を

鎌田 薫総長

 学生と共にビジョンの実現に向かって進める大学であることを実感し、うれしく感じています。これまでも大学なりに学生が何を考え、求めているかに配慮してきたつもりですが、こうして学生の意見を直接聞ける機会は非常に有益です。学生の皆さんは、大学の提案を真正面から受け止め、彼らなりの視点から的確で建設的な意見を述べてくれました。プレゼン能力も構成も巧みで、素晴らしかったです。とは言え、これは第一歩にすぎません“。Waseda Vision150”は発表して終わりではなく、ここから次のステップが始まります。大学、学生、校友、そして支えてくださる多くの皆様が一つになって挑戦していくことを通じて、私たちの考えるビジョンが形になっていくのです。理事会としても学生からの提案を真摯に受け止め、未来に向かって前進していきたいと考えています。最後に、大会の実現に当たり、校友会やデジタルキャンパスコンソーシアム、教職員などお力添えをいただいた多くの方々にお礼を申し上げます。

大学、学生、校友会が共に活動することが未来につながる

早稲田大学商議員
早稲田大学校友会 常任幹事・組織委員長
野﨑敬二氏(1973年・第一文学部卒)

 今回は初回としてはまずまずの結果だと思います。今後はPRにもっと力を入れていただき、選考に困るほど多くの応募を望みます。決勝大会に選出されることが誉れとなるくらい学生へ浸透させてください。さらに観客が溢れるくらい注目度の高い大会にしていくべきでしょう。ただ、発表を聞き、テーマゆえにか大学と学生の関係にフォーカスされた提案が多く、校友会の存在感がやや薄いと感じました。ビジョンにしろ、奨学金にしろ、大学と学生をつなぐ校友会や校友というバイパスの存在を忘れずもっと活用してください。なぜなら私たち校友は、大学と後輩たちへの強い思いがあり、ファイナンス面はもちろん、経験や知識をもとに、アドバイスもできるからです。学生が発信し、校友・教職員・大学が応える、そうした大学が、もっとメディアや受験生に支持されるでしょう。大学・学生・校友が共に活動することでWasedaの未来が開かれると期待しています。

校友会Webサイト:http://www.waseda.jp/alumni/

学生の力を発揮し もっと世界に出ていこう!

早稲田大学デジタルキャンパスコンソーシアム(DCC)
幹事企業
ソニービジネスソリューション株式会社
水野義樹氏(1986年・社会科学部卒)

 DCCは、教育研究に関する産学連携を進めるため1999年にスタートした企業と大学の集合体(コンソーシアム)です。ICTを活用した教育改革など、21世紀型の新しい教育システムの構築を目指して大学と協働で取り組んでいます。学生の活動から感じるのは、彼らの能力が大きく飛躍しているという点です。私の大学生時代には想像もつかないようなプレゼン構成力や度胸を身につけている。また今回の大会では大学が打ち出したビジョンに対して、学生が自分たちもその改革に携わる一員だと認識し「一緒に改革してやるぞ」という意欲を持っていると感じました。だから未来は明るいと思います。この大会の継続に当たり、私たちDCCが企業の立場からサポートさせていただくことで、よりよい活動になれば幸いです。同時に校友、また日本国民として日本人が元気を出せるよう、学生たちには世界で活躍してほしいですし、それが可能なWasedaであってほしいと願っています。

DCCWebサイト:http://www.waseda.jp/dcc/5th/

お互いの健闘を讃え合い、交流を深める学生、校友、教職員たち

懇親会

 決勝大会終了後は大隈記念タワー(26号館)15階のレストラン「西北の風」に場所を移し、学生、審査委員、校友はじめ関係者一同がチーム、学部、年齢の垣根を超えて交流を深めた。総長から奨励賞のチームに表彰状が手渡されると同時に、改めて学生たちから早稲田への熱い思いが語られた。

特別審査委員インタビュー

学生と大学の力で
世界で最もユニークな大学に

決勝大会の特別審査委員・出井伸之氏にお話を伺いました。

クオンタムリープ株式会社
代表取締役
ファウンダー&CEO
早稲田大学 評議員会長
出井伸之

今はジャンプすべき時
学生はもっと突き抜けろ

 世の中は急速に変化しており、国や企業、大学、学生すべてがそれを認識し自らも変化していかなければなりません。変化には過去からの継続の中で改善するものと、既存の枠を越えるものの二つの変化があり、特に現在は大きくジャンプすべき時代です。例えば石を投げると最初は勢い良く飛びますが、ある地点で一気に下降するのと同じで、今の日本はもう一度ジャンプできるか、このまま下降するかという地点に位置していることを皆が真剣に考えるべきでしょう。

 鎌田総長のもとで策定された“WasedaVision 150”には、そうした「変化しなければならない」という思いが込められているのだと認識しています。今回の「WasedaVision 150 Student Competition 2012」では、学生の皆さんからさまざまな提案が寄せられました。学生の視点から非常によく考えられた提案が多く、すぐにでも実行していくべき内容だったと思います。ただ、少し厳しい見方をすれば、過去や現在の延長線上にあるものに留まっているという印象も持ちました。今後大会が継続する中で、若々しく、突飛で突き抜けた発想で、ぜひ大きくジャンプした提案がされることを期待しています。

“グローバル”化の中では輝く個性が重要

 “グローバル”と聞くと皆が共通化していくものだと思われがちですが、周りが同じになるからこそ逆に個性を持つことを意識すべきです。早稲田大学には、学生全体を育てる教育だけでなく、新しい時代を切り開くような“天才”、つまり一人ひとりの“個性”も引き出す大学に変化してほしいと思います。例えば学生は、社会に出て「君は何ができるんだ?」と聞かれた時に明確に答えられるように、自分の個性や専門性を学生時代に身につけなければならないという危機感を強く持つこと。同時に、そうした意識を持った学生を育成していくことは大学にしかできない使命だと思います。これからの時代は、他人と違うものや自分の個性を輝かせることが重要だと気づいた人が生き残っていくでしょう。この大会は、学生がそれに気づく場なのだと思います。

変化の最先端で価値を生み出せ

 繰り返しますが、時代の流れによって世の中の仕組みが大きく変化してきたように、常に変化が求められていることを意識することが大切です。将来の早稲田がその他多数の中に埋もれてしまうのか、それとも殻を破ることができるのか、今がその瀬戸際かもしれません。だからこそ、提起された“Waseda Vision 150”を軸に、大学や学生をはじめとする関係者が心ひとつに改革へと乗り出しているのだと思います。

 新しいものに変わろうとする力を持つ学生。学生の力を伸ばして世の中に変化を生み出す大学。そういう大学として、早稲田には先端を突き進んでもらいたい。どの大学にもできることをするのではなく、他の大学とは一線を画す大学、世界で最もユニークな大学を目指して、もっと価値を生み出してほしいと願っています。

出井伸之(いでい・のぶゆき)

1960年早稲田大学政治経済学部卒業後、ソニー株式会社に入社。オーディオ、コンピューター、ホームビデオ事業の責任者を経て、1989年取締役、1994年常務。1995年社長兼COOに就任後、会長兼グループCEOなど10年にわたり歴任。2005年から2007年まで最高顧問。2006年9月クオンタムリープ株式会社を設立。産業の活性化や新産業・新ビジネス創出を実現するための活動をグローバルに展開中。2012年6月にNPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブを設立、理事長に就任。