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キャンパスナウ

▼盛夏号

SPECIAL REPORT

グローバルリーダーを育成する 国際学生寮

昨今、学生寮の教育的機能が再評価されています。 早稲田大学では、2008年の田無学生寮の竣工に伴い学生寮の運営を一新。 大学が提供する学生サポートサービスの一環として学生の成長を促すプログラムや 日本人学生と留学生の交流などに力を入れてきました。 さらに現在、中野区において日本人学生と留学生が混住する 約900名規模の学生寮の建設を進めています。 これからの学生寮について、探ります。

学生サポートサービスの一環
RA制度とSIプログラム

早稲田大学では2008年の田無学生寮の竣工に伴い学生寮の運営を一新し、大学が提供する学生サポートサービスの一環として位置づけ、RA制度を確立。
Social Intelligence(SI)プログラムや寮生同士の交流などにも力を入れています。

寮イベントで友人づくり

JOUINI Julian yves(ジョウニ ジュリアン イヴス)さん
(国際教養学部1年・スイス連邦出身)

 大学進学を機に始めた日本での一人暮らしは、言葉の壁が不安でした。そこでハウスマスターやRAのサポートがある学生寮に入寮。周りは皆同世代のため居心地が良い。Social Intelligence(SI)プログラムの「インターナショナル ダイバーシティ」では日本人学生と対話し、普段では気付かない彼らの考え方を知ることができました。母国にはないお花見などの寮イベントは、多くの友人と知り合うきっかけになっています。

スポーツ大会
スポーツなどのイベントを通して友人が増えました!

七夕パーティー
日本独自のイベント!何色の浴衣を着るか毎日皆で相談しています!

新寮生歓迎BBQパーティー

SIプログラムにて。右端がジョウニさん

思いは伝わる。RAへの感謝の涙が止まらない卒寮式

 田無学生寮では、毎年2月初旬に卒寮式を開催。表彰対象者を中心にすべての寮生が参加し、ほかにRAやハウスマスター、教職員などが参加します。その年度のSIプログラムに貢献した寮生の表彰など、卒寮する寮生の皆さんと共に、1年間を振り返る場です。また、卒寮するRAには感謝状を贈呈します。

 

RA(レジデント・アシスタント)制度

 RA(レジデント・アシスタント)とは、寮に住みながら、親元を離れて生活する留学生や日本人学生の寮生活をサポートする学生ボランティアスタッフ(先輩寮生)のことです。RAは大学が募集し、研修を経て、頼りがいのある先輩として寮生と接しています。

POINT.1▶ 寮生の良きアドバイザー

寮生が寮生活で困ったことがあれば、経験に基づいたアドバイスをします。

POINT.2▶ 留学生の生活スタートアップを支援

交通機関の利用方法などの習得や外国人登録といった煩雑な手続きなど、来日したばかりの留学生をサポート。日本人学生との交流を目的としたイベントも実施。

POINT.3▶ 学生生活をサポート

フロアミーティングなどコミュニティ形成のリーダーであるとともに、BBQパーティーや七夕パーティーなどを企画します。

POINT.4▶ Social Intelligence(SI)プログラムをリード(田無学生寮のみ)

ゼミや就職活動を経験した上級生であるRAの取り組みは、近い将来の自分をイメージさせてくれます。

RA研修 RA研修は毎年3月と9月の年2回実施。

第一部:全体研修

RAの役割は何かを考え、大学に選ばれた寮生であることを自覚するための場。日常の寮生活の中で生じる疑問や対応に困った事例などを他の寮のRAと共有し、意見交換することで最善の対処方法や改善案を見出す機会です。

第二部:寮ごとの研修

大学との連絡体制や連携方法の確認、成功・失敗事例の共有、新寮生の受け入れ方法や留学生の外国人登録手続きなどサポートの確認、担当職員との懇談などを行います。

全体研修の流れ(2012年3月の例)

「対人関係を築く力」などをテーマとした研修(グループワーク)

RA活動に基づくプレゼンテーション
事前にテーマを提示し、ひとり10〜15分程度でプレゼンテーションをします。 テーマは「新寮生受け入れのコツ」「寮内のトラブル対応」「寮内イベント実施の成功・失敗事例」「寮における異文化理解」など。参加したRA全員に発言の機会を割り当てることで、お互いに評価し、労い合い、人となりを知り合えるようにしています。

RA自身の目標発表
研修で学び気づいたことを参考に、半年間の自身の目標を発表します。 RAとしてどのようになりたいか、何を達成・克服したいかなど。

RA's Voice
大学の楽しさを思い出させてくれる!

王 新菟さん
(商学研究科1年・静岡県出身・RA歴3年)

 中国生まれの私は、日本に来た子どもの頃に文化や習慣に慣れず苦労した経験があり、来日したばかりの留学生にもサポートが必要だと考えRAになりました。

 RAをしていると、後輩から学ぶことが多々あります。修士課程で勉強一色になりがちな私にとって、共同キッチンで大学への期待に満ちあふれた後輩と触れ合うことは、早稲田大学の楽しさを思い出させてくれる場でもあります。後輩も身近に指標となる先輩がいることで大学生活が充実するでしょう。

 RAには包容力と度胸が必要です。時にはプライベートを二の次にしてでも、1フロア約40名の寮生を優先して行動します。深夜の地震に驚いた留学生を落ち着かせる、寮イベントでは寮生の安全に気を配る、ゼミや留学などの相談に乗る、時には恋愛相談も。それにより寮内の雰囲気が良くなればとても幸せです。留学のため一時退寮した時は後輩から必ず帰ってきてとせがまれ、相手のことを思ってしてきた行動が伝わっていたと感動。一度築いた絆はとても強固だと実感しました。

本気でやり遂げる楽しさを伝えたい!

石井一成さん
(文化構想学部4年・東京都出身・RA歴2年)

100キロハイクでの一枚

 アメリカに短期留学をしていた時にお世話になった人たちへの恩返しのかわりに、日本に来た留学生のサポートをしたいと考えRAに応募。学生時代は旅行や飲み会などいろいろな楽しみがありますが、本気を出して何かをやり遂げた時に得られる充実感が一番でしょう。そこで「100キロハイク」への参加を立案し、さまざまな国籍の寮生約40名と共に挑戦。2日間で100キロを歩き切るのはとても過酷で苦しく、挫折しそうになりました。ゴールが見えた瞬間は一緒に歩いた韓国からの留学生と共に号泣。この挑戦で心から信じられる仲間ができました。彼らにとっても日本で仲間と共に本気でやり遂げた経験は生涯記憶に残るでしょう。

 RA活動を通して、自分たちで新しいものをつくり出し、周りを巻き込んでいくリーダーシップが身についたと思います。また、共同生活を通して社会の規律を守ることや他人の気持ちを測ることの大切さを学びました。先輩RAの皆さんが寮生のことを一番に考えていたように、僕も後輩たちに思いをつないでいきたいです。

Social Intelligence(SI)プログラム

「ビジネス コミュニケーション」

「ファカルティ ビジット」

 SIプログラムは社会人として必要な基礎力や知識、グローバルな舞台で活躍するための語学力を培うための本学学生寮独自のプログラムです。社会人基礎力を身につけるための「セルフプロデュース プログラム」「キャリアセミナー」、幅広い視野を醸成する「ファカルティ ビジット」、英語で考え議論する力を養うための「ビジネス コミュニケーション」「インターナショナル ダイバーシティ」などがあります。語学系のプログラムはネイティブの講師がレッスンを行います。寮内で行われるため気軽に参加できると、語学力に自信のない学生にも好評です。

 すでに田無学生寮では、SIプログラムへの参加が義務づけられており、授業期間中の月曜日から金曜日の毎日19時〜20時30分に実施され、寮生は週1回のペースで参加します。

Student Voice
「セルフプロデュース プログラム」に参加
SIプログラムは、自分の軸を見つけるチャンス

大崎萌子さん(写真左から2人目)
(人間科学部2年・埼玉県出身)

 「自分はどのような人間になりたいのか」。SIプログラムの一つ「セルフプロデュース プログラム」は、その答えを見つけるきっかけになります。国籍、学部、学年も異なるメンバーとのグループワークでは、課題に頭を悩ませ、自分の意見が出ないことや自分の考えが小さく異質なものに感じることも多々あります。しかしそれを「良くなかった」で終わらせるのではなく、その場で「ではどうするか」とひも解く。それがグローバルな舞台に立つ第一歩でしょう。私はこの経験を生かし、自分の軸を持った上で他者の考えを大切にする人間になりたいです。