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SPECIAL REPORT

「学びたい」思いに応える早稲田の生涯学習

 近年、人々の学習ニーズの高まりにともない、大学の開放が重要となっています。
 早稲田大学では創立間もない頃から大隈重信を中心に校外教育と称し、講義録の刊行や地方講演会など、ユニバーシティ・エクステンション(大学開放)を積極的に推進、学問の社会への還元に努めてきました。人々の学習ニーズに応えてきた本学の生涯学習の歴史を振り返ると同時に、現在の充実した生涯学習環境を紹介します。

「学びたい」という思いに触れて

「生涯学習」関連の講座で教えている2名の講師に、受験生との関わりで感じたことなどを伺いました。

「社会や個人の課題を解決する重要な場」

加藤諦三 早稲田大学名誉教授

 私はエクステンションセンターで心理学に関する複数の講座を担当しています。無意識という基礎的なテーマを扱うものに始まり、神経症との具体的な付き合い方などを学ぶ講座まで、体系的に用意しています。受講生の多くは、講座を通じて習得した知識や知見を実生活に生かしたいという明確な目的を持っておられます。そのせいか、遅刻は皆無ですし、講座開始の1時間前には席に着いて待っている方もいらっしゃるほどです。これは普通の学生では考えられないことですね。学びに対する強い意欲をお持ちの分、講義への要求は非常にハイレベル。いつも気を引き締めて講義に当たっています。

 従来から、生涯学習が社会的課題や個人の問題を解決するための重要な役割を果たすと考えてきました。言い換えれば、学校教育とは異なる機能を持っているということです。例えば日本では自殺者が年間3万人を超えるという異常事態が長らく続いていますが、心の問題への対処法について学校教育では教えてくれません。生涯学習が普及して多くの方々が、人生の重要な局面に必要な学びを得ることができれば、こうした状況が少しは改善されるのではないでしょうか。

 日本の皆さんに、学校教育は決して万能ではなく、生涯学習はそれを補完しうるものであるということをもっと知ってほしいと思います。学校教育と生涯学習の両輪が揃うことで、個人にとってはよりよい人生が実現し、ひいては社会全体にも好影響があると言っていいでしょう。私は受講生の方々の真摯な姿とその成果に触れるにつれ、その認識をより深めているところです。

加藤 諦三(かとう・たいぞう)/早稲田大学名誉教授

東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。1970年、早稲田大学理工学部専任講師、同大学文学部兼任講師、1972年、理工学部助教授、文学部兼任助教授を経て1977年、理工学部教授。1986年~1990年エクステンションセンター所長。2008年より名誉教授。

「お互いが真剣勝負。良い意味の緊張関係がある」

内田 和成 商学学術院教授

 早稲田大学ビジネススクール(WBS)の「リーダーシップ論」では、ビジネスの現場でリーダーとして働いている経営者や事業部長クラスのゲストを招き、彼らの口からビジネスについて語っていただきます。その後、ゲストスピーカーと受講生とのディスカッションを通じて、リーダーシップのあり方を肌で感じていただくのが特徴です。

 WBSの中でも、昼間働きながら夜に講義を受けている夜間主の学生たちは、大半が自費で来ているだけに問題意識も強く、よほどのことがない限り欠席する学生も少なければ、講義中寝ている学生もいません。それだけに、講義においては真剣勝負といった空気が漂い、うかうかしていると教員の方が言い負かされてしまうのではと感じることも。良い意味の緊張関係があります。

 教員も過去と同じ内容で講義をやっていては、時代から遅れてしまい、学生から見透かされることになります。そのため、毎年のように講義の中身を部分的ではありますが進化させ、実社会のニーズに合うように努力しています。

 一方で、WBSの価値は、ここで学ぶ知識やスキルにあるのではなく、ものの見方や考え方を学ぶこと、さらには意思決定の疑似体験をすることにあると信じています。したがって、学生がクラスでのディスカッションに積極的に参加し、時には恥をかくことで成長するよう仕向けています。

 私の講義では発言の質は問いません。そして、「ここで培ったネットワークは一生ものであるから大事にしろ」と伝えています。

内田 和成(うちだ・かずなり)/商学学術院教授/講座名:「リーダーシップ論」ほか

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空株式会社を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月まで日本代表。2006年4月、本学商学学術院教授就任。競争戦略論やリーダーシップ論を教えるほか、エグゼクティブプログラムでの講義や企業のリーダーシップトレーニングを実施。