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▼新年号

SPECIAL REPORT

「学びたい」思いに応える早稲田の生涯学習

 近年、人々の学習ニーズの高まりにともない、大学の開放が重要となっています。
 早稲田大学では創立間もない頃から大隈重信を中心に校外教育と称し、講義録の刊行や地方講演会など、ユニバーシティ・エクステンション(大学開放)を積極的に推進、学問の社会への還元に努めてきました。人々の学習ニーズに応えてきた本学の生涯学習の歴史を振り返ると同時に、現在の充実した生涯学習環境を紹介します。

多様な学び方を提供する早稲田の生涯学習

早稲田大学ではさまざまな形で生涯学習を提供しています。
その一部について、目的や内容、魅力を紹介します。

オープンカレッジの講座(エクステンションセンター)
受講生の学習ニーズに対応した多彩なプログラム

早稲田大学正門近くに建つエクステンションセンター本館(早稲田校)

昭和初期に建てられた旧京華小学校の校舎を改装し、2001年に3階にオープンしたエクステンションセンター八丁堀校(京華スクエア)

エクステンションセンターは、早稲田大学における研究教育の成果を広く社会に開放(Extension)することを目的に、1981年に設立された生涯学習機関です。同センターが主催するノンディグリーの講座をオープンカレッジと称し、早稲田校および八丁堀校の2箇所で、春・夏・秋・冬の4学期制の下、年間約1, 500講座を提供しています。4年ごとに更新する会員制を採用しており、会員は年齢や学歴を問わず講座を受講できるシステムです。

 オープンカレッジの講座は、いずれも早稲田大学の教授・名誉教授をはじめ、各分野の第一線で活躍中の研究者や実務家などが講師を担当。扱う内容も「文学の心」「日本の歴史と文化」「世界を知る」「芸術の世界」「人間の探求」「くらしと健康」「現代社会と科学」「ビジネス・資格」「スポーツ」「外国語」「江戸・東京」など多彩なジャンルに分けて展開しています。

 受講生は、主にシニア層や子育てがひと段落した方、ビジネスマン・ウーマン、大学生など、さまざまなバックグラウンドを持つ方々が、多くの講座の中から自らの学習意欲に応じて講座を選択し、生き生きと受講されています。

 大学と社会の関係はまだまだ希薄で、唯一強固な関係といえば、学生を育てて社会に送り出すというつながりです。もちろん大切なことですが、それだけではなく、大学と社会の結びつきをさらに強化していくべきでしょう。

エクステンションセンターが発行する、パンフレット『早稲田大学オープンカレッジ』(左、中央)と、会員コミュニケーション誌『早稲田の杜』(右)

 また、各講座にはオープンカレッジ独自の単位を設定しており、76単位を取得することにより修了する「修了生制度」を導入しています。この制度により、これまで1, 578名の方が修了しました(2011年4月現在)。修了者には、初の修了者からこれまで途切れることなく、総長から「オープンカレッジ修了証」が手渡されています。さらに、修了後の学習の継続を支援する目的で、センター設立30年を契機に、150単位取得者を対象とした「オープンカレッジ紺碧賞」が昨年新設されたところです。

 ほかにも「いつでも・どこでも・なんどでも」をキーワードに、2009年よりインターネットを介したeラーニング講座が開設されました。ここでは、既存の人気講座を中心とした教養講座に加え、実践的なビジネス関連講座など、全25講座(2012年4月開講予定)が設置されています。

 また、学生のキャリア形成の支援を目指した講座の充実も図っており、各種資格試験対策講座や、2012年4月から始まる将来法曹を目指す学生を対象とした「法曹をめざす基礎講座」をはじめ、今後も順次、社会人の基礎力養成につながる講座を開講する予定です。

詳しくはこちら

太田章スポーツ科学学術院教授の「社会人のための楽しいレスリング」

石見清裕先生の「唐代の国際関係―ユーラシアと日本―」

佐藤恵子先生の「プロフェッショナルとして求められるコミュニケーション・スキル」

設置箇所と主な講座名一覧
早稲田校講座
●「近代文藝の百年」
●「考古学入門」
●「Death Education―死と向き合って生きる―」
●「世阿弥を読む」
学生キャリア形成支援
●法曹をめざす基礎講座(2012年4月開講)
●大学生のための就業力・就活力向上セミナー
●「公務員試験対策講座
八丁堀校講座
●「隅田川トポグラフィー」
●「和歌と伝統文化」
●「日本語の論理構成―日本語文書作成技法―」
●「管理職のためのリーダーシップ講座」
●「アサーティブ・コミュニケーション」
eラーニング講座
●「自分と向き合う心理学」
●「『吾輩は猫である』解読」
●「地域資源をいかした活性化の試み」
●「やさしくたのしい統計学」
●「ロジカルプレゼンテーション」

―修了証の次の目標として―
オープンカレッジ紺碧賞

 エクステンションセンター創立30周年を記念して、修了生の継続的な学習の応援を目的に新たに設けた「オープンカレッジ紺碧賞」。150単位を取得した受講生を対象とした表彰制度です。本学第一応援歌の「紺碧の空」にちなんで命名されました。初年度である2011年の受賞者は203名。多くの受講生が高い学習意欲を持って真剣に学ばれてきた証と言えます。

Student’s Voice
今後の自身のキャリアを考える上で勉強になった

市川義人さん
(専門職大学院 会計研究科 会計専攻 修士1年)

講座名:
「“理想の自分”に近づくためのキャリア戦略立案と実践」

受講歴:1年目

 私は会計やICTなど、ビジネスに関する素地を養いたいという思いから専門職大学院である早稲田の会計研究科に進学しました。今回佐藤恵子先生の「キャリア戦略講座」を受講したきっかけは就職活動を控え、今後自身が会計という道具を用いて一体何をしていきたいのかを明確にさせたかったからです。

 講座にはさまざまな年代、ご職業の方がいます。グループワークや講座後の座談会を通じて各々の方が抱えている悩みなどを赤裸々に共有させていただいた経験は、今後の自身のキャリアを考える上でとても勉強になりました。

 キャリアについては一生考えていくべき問題でもあると思うので、社会人になってからでも定期的に受講していきたいと考えています。

仲間から刺激を受けながら、もっと知識を豊かにしたい

T・Hさん(60代・女性

講座名:
「国際問題と日本の外交」
「唐代の国際関係―ユーラシアと日本―」ほか

受講歴:10年目

 私は20数年、専業主婦として家庭を支えることに一生懸命でしたが、子供が大学卒業間近になり、改めて何かを学びたいとオープンカレッジ講座の受講を決意しました。美術館が好きだったこともあり、まずは美術史のクラスを受講。日本・世界で一流と称される先生方の講義を聴き、そして90代にして積極的に最前列で学ぶクラスメートの先輩方の姿に刺激を受ける毎日です。

 受講を始めてから10年が経ち、歴史から国際政治まで、広い範囲でさまざまなことを学びました。理解が深まるにつれ、学んだ内容について家族と話をしたり、今までとは違った視点で新聞やニュースを見る楽しみを感じています。今後も平常心で、幅広くたくさんのことを学び、知識を豊かにしていきたいと思っています。

通信教育課程などオンデマンド講座
世代を越えて、地域を越えて学べる学習システム

自宅にいながら学びたい授業を受けられるため、幅広い年齢層の受講生が在籍

オンデマンド授業のイメージ(加瀬裕子人間科学学術院教授の「老人福祉論」)

 いつでも、どこでも、何度でも学べる新しい学習システムに、オンデマンド講座があります。オンデマンド講座とは、インターネット上の学習システムを通じて動画配信される授業を受講するシステムです。人間科学部通信教育課程(eスクール)や日本語教育研究センターの日本語教育学オンデマンド講座、エクステンションセンターのeラーニング講座などがあり、キャリアアップを図る社会人や学部学生をはじめ、時間や距離の関係で通学が難しい方々などが学んでいます。

 中でも人間科学部通信教育課程(eスクール)は、日本で初めての、オンデマンド授業の受講のみ(体育実技や実験・実習を伴う一部のスクーリング実施科目を除く)で卒業可能な正規の大学教育課程です。2003年に始まり、これまで450名以上の卒業生を送り出してきました。小テストやレポートの提出などもインターネット上の学習システムを利用して行っています。さらにBBS(電子掲示板)での「ホームルーム」を開設し、共に学ぶ仲間との連帯感を形成する交流の場として、また履修や受講の進め方や悩みを受け付ける相談窓口として学生をサポートしています。

設置箇所と概要
人間科学部 通信教育課程(eスクール)

● αコース:32単位を上限に単位が認定される2年次編入制度。短期大学や高等専門学校を卒業または卒業見込みの方や、4年制大学において62単位以上取得した方などが対象。年次に替えて3段階のレベルを進級。統計学、実験調査研究法、演習、専門科目などを学びます。

● βコース:高等学校を卒業または卒業見込みの方を対象に、入学から最低4年間かけて学びます。4段階のレベルを進級します。

詳しくは http://www.waseda.jp/e-school/

日本語教育センター 日本語教育学オンデマンド講座

日本語教育論、日本語教授法、日本語研究論、地域に広がる日本語教育などのコース(全8回)と、それらすべてを受講するコースがあります。

詳しくは http://www.waseda.jp/cjl/ researcher/

エクステンションセンター eラーニング講座
Student’s Voice
自宅にいながら専門家から学べるeスクールで資格取得を目指す

 小学校で不登校や問題行動の支援、相談の仕事をしてきましたが、専門的な知識を身につけたい、将来は大学院を卒業し臨床心理士の資格を取得したいと思い進学を決めました。

 特に学びたかった行動療法、認知行動療法に関係する科目が多く、自宅にいながらこの分野の専門家である先生方から学べること、またBBS上の投稿や討論を通じて受講生同士の学びを共有でき、さらに多角的な視点に立って学べることはeスクールの魅力だと感じています。

 現在、行動療法演習を受講していますが、心理学だけでなく体系的に学びを深めていき、「人」に向き合える心理臨床家を目指したいと思います。

社会人を対象としたビジネス系の講座
社会変化に即応できる柔軟性と知識を学ぶ場

各分野の専門家による体験談を踏まえた講座が魅力(「インベストメント・バンキング講座」の様子)

 複雑化する経済環境下において、変化に対応できる柔軟性と十分な知識を身につけたいというビジネスパーソンの学習ニーズが高まっています。早稲田大学では、大学院教育の枠内に収まりきらない、社会人学生を対象とした学習機会の場を積極的に展開しています。

 ファイナンス研究センターによるビジネス情報アカデミーでは、金融・経済環境の著しい変化の中で、変化に対応できる柔軟性と知識をもった人材の育成を目的としたプログラムを開講しています。

 商学学術院総合研究所WBS研究センターのビジネス講座では、早稲田大学ビジネススクール(WBS)と連携し、働きながら学び続けたい、ビジネスにおける新しい知識や技能を身につけたいという方のために実践的なノンディグリー(非学位取得)のプログラムを開講しています。これまでに1万1千名を超える受講生が、学んだ成果を社会の実務に活用しています。

設置箇所と主な講座
ファイナンス研究センタービジネス情報アカデミー ビジネス講座

● ファンドマネジメント講座
● インベストメント・バンキング講座
● 信託とファイナンス特別講座
 ※公益財団法人トラスト60協力講座
● IT経営革新・企業再生実践講座 ほか

詳しくは http://www.waseda.jp/wnfs/seminar/

商学学術院総合研究所WBS研究センター ビジネス講座

● エグゼクティブプログラム
● インベストメント・バンキング講座
● MBAエッセンシャル講座
● オーダーメイドプログラム ほか

詳しくは http://www.waseda.jp/wbs/wbsrc/

Student’s Voice
仲間と切磋琢磨しながらスキルアップできる生涯の学び舎

瀧川茂一さん

講座名:
「ファンドマネジメント講座」

受講歴:1年目

 3年前に早稲田のファイナンス研究科を修了。層の厚い講師陣や魅力溢れる多様な講座は、新たな学習意欲とマネジメントへの探究心をもたらし、多くの仲間と切磋琢磨しながらスキルアップすることができました。

 現在私は金融教育に関する会社(プルーデント・ジャパン(株)東京都中央区)の役員を務めており、修了後も、経営者としての探究心のもと、「ファンドマネジメント講座」を受講。第一線で活躍されている講師の皆さんは見識も深く、疑問点をどれほど追い求められてもヒントを与え続け、答えを導きだしてくれました。

 早稲田は私の原点であり、求めれば底を見ない懐の深さを持った生涯の学び舎です。

公開講座・セミナー

 本学では、一般の方も対象とした公開講座やセミナーなどを積極的に行っています。イベント情報は本誌(年5回発行)P23ページで紹介しています。

 また、「学術講演会・公開行事」の最新情報をWebサイトおよびメールマガジン(月2回発行)でご案内しています。

本学Webサイト内「学術講演会・公開行事」ページよりご登録ください

公開講座・セミナー情報の一例
法学部

http://www.waseda.jp/hougakubu/main/

 ●横川敏雄記念公開講座(2012年6月~ 7月頃開催予定)

教育総合研究所

http://www.waseda.jp/kyoikusoken/

 ●教育最前線講演会シリーズ( 年2回/ 7月、12月)

産業経営研究所

http://www.waseda.jp/sanken/

 ●産研フォーラム(年1回/ 10月)

 ●産研アカデミック・フォーラム(年1回/ 6月)

 ●産研講演会(年数回)

ファイナンス研究センター

http://www.waseda.jp/wnfs/finance/

 ●野口悠紀雄 特別講義シリーズ

 ●フォーラム「中国ビジネスを理解する」シリーズ

その他の学び方
文学部
学芸員資格課程 夏季集中講座

「羅馬使節」の絵の前での講義風景

 学芸員資格の取得をサポートする講座で、単位制の正規課程です。博物館や文化財を取り巻く領域に関する講義と実習で構成され、本学會津八一記念博物館の展示室を使い、「本物の美術品」を使用した実習を行います。指定管理業務関係者や博物館経営者、定年を迎えた方や子育てを終えた方など、年齢も立場もさまざまな受講生が共に学んでいます。

詳しくは http://www.waseda.jp/curator/

文学学術院
考古調査士養成プログラム

社会人課程の授業の様子

 最新の調査・保存技術や文化財関連の法令、考古学理論、コンプライアンスなどを学ぶ短期集中型のプログラムです。埋蔵文化財の事業に携わる社会人や、考古学コースの学部学生などが学んでいます。修了時に考古調査士の資格を得られ、発掘技術者の雇用促進や調査環境の改善など、学問の発展にも献身しています。

詳しくは http://www.waseda.jp/prj-maibun/

芸術学校

3年次の講評会風景

 2010年より建築デザインに特化した建築科・建築都市設計科へと改変。本学の教授陣をはじめ、第一線で活躍する多くの建築家や実務家による少人数制のスタジオ型教育が特徴です。授業は週5日、18:15~21:25に行われるため、社会人以外に大学とのダブルスクール生が多く在籍しており、卒業後は1級、2級建築士資格取得を目指すことができます。

詳しくは http://waseda-aaschool.jp/2011/

教育学部 教育学科 教育学専攻 生涯教育学専修
学問として「生涯学習」を学ぶ
エンパワーメントが可能な生涯学習の仕組みを研究

農業体験と地域づくりのインターンシップの様子

坂内夏子生涯教育学専修主任
(教育・総合科学学術院教授)

 本学教育学部は1949年、旧高等師範部を礎に発足した私学最初の教育学部であり、優秀な教育者および社会の各分野で活躍する有能な人材の輩出を目指してきました。その中で生涯教育学専修は、教育を学校教育だけにとどまらない幅広い視点から考え、青少年の発達や成人の学習保障・学習援助、公民館・図書館・博物館の在り方、地域社会の役割等々の理論と実践を、現実に即して具体的に学ぶことを主目的としています。グローバルな視野に立ったカリキュラム編成のもと、多くの留学生を受け入れているのも特徴のひとつです。

 卒業生は、社会教育主事をはじめ、各種社会教育施設や児童館などの社会福祉施設の職員、公務員、家庭裁判所調査官、企業内教育担当者、ジャーナリストになる者や大学院に進学する者など、多彩な分野に進出し活躍しています。

 1年次専門必修科目の「生涯学習概論」では、すべての市民が自己肯定感や自尊感情を育みながらエンパワーメントが可能な、生涯学習の仕組みについての基礎的な理解を図っています。チョーク&トークで終わらないように講義とディスカッションを組み合わせた授業が特徴です。また、学生には農業体験と地域づくりのインターンシップへの参加を課すなど、さまざまな教育現場の見学や調査に力を入れることで、インターネット情報にとどまらない「自分の足で稼ぐ」大切さを実感してほしいと考えています。

生涯教育学専修の授業一例
●「社会教育実習」
●「社会教育課題研究」
●「社会教育施設・職員論」
●「学校開放論」
●「成人教育論」
●「企業内教育」
●「博物館概論」
●「図書館学」 ほか