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▼盛夏号

SPECIAL REPORT

早稲田大学が導くキャリア形成への道

キャリアとは職業選択をはじめとした職歴や経歴、熟練した技術だけでなく、社会との関わりの中でさまざまな経験を積み、自らの人生を形成すること。
早稲田大学ではキャリアセンターを中心に、学生が自身のキャリアについて考えるさまざまな機会を提供しています。
キャリアとは何かを改めて定義し、学生がキャリアを考えるために、今、大学が取り組んでいることを紹介します。

Part.2 授業紹介

早稲田で学べるキャリアに関する授業

早稲田大学ではキャリア形成に資するさまざまな授業を設置しています。ここではその一部を紹介します。

オープン教育センター設置科目

「人材育成学 ― 個人の視点から」「人材育成学 ― 社会の視点から」

白木 三秀/政治経済学部教授

職業生活全般を含めた人生設計を考える時間

グループに分かれて自分のキャリアを話し合う学生たち

 学生が卒業後の人生設計を考える上で中心となるのは「仕事」であることは明らかで、その仕事を遂行する上で「能力」や「適性」ばかりを気にかける人は多いでしょう。しかし人生設計を考える上で、社会の中で自分をどう生かし、社会とどのように折り合いをつけていくのかという広い視野と正しい知識が欠かせません。

 「人材育成学」はキャリアセンターの肝入りで設置された科目です。私はこの授業を「職業生活全般を含めた人生設計を自分なりに考える時間」と位置付けています。

 授業の内容は大きく分けて二つあります。一つはゲストスピーカーによる講義です。半期で5名から7名、幅広い分野・領域で活躍されている方を招き、直接お話を聞きます。実社会の切り口に触れる経験を積みます。昨年のゲストは、企業の人財部長や国際機関のスタッフ、オリンピックの金メダリストなどです。

 もう一つは、講義内容の理解とテキストの読み込みを前提としたグループディスカッションです。学年別などのグループに分かれて進め、さらに二人一組のペアを作り、お互いに議論の内容やスキルを評価し合います。こうした議論の時間を持つことで、講義の内容をじっくり考え、理解することができると考えています。同時にペア同士が、意見や姿勢について客観的に評価し合うので、ディスカッションスキルの向上にもつながります。

オープン教育センター設置科目

「企業実務概論:ビジネス思考の基礎」

石渡 明/非常勤講師
松居 辰則/人間科学学術院教授

ビジネススキルを吸収・発揮しビジネス思考力を高める

Course@Naviで授業を進めています

ビジネス思考とは、問題解決を進める際の理解力や洞察力、思考力、説得力などのビジネススキルです。仕事ができる人材になるということは、単なる知識や学生時代の成績だけではなく、仕事に立ち向かう姿勢や向上心(ビジネスマインド)を磨き、仕事に有用なビジネススキルを絶えず吸収・発揮し、ビジネス思考力を高めていくということです。

 この授業で取り扱う内容は学問ではなく「実学」であり、あまり体系化されたものではありません。社会に出る際に知っておくと役に立つ「企業を取り巻く環境の見方」や「経営の仕組み」、「ビジネスパーソンに求められる姿勢やスキル」、「ビジネスに携わる上で発揮すべき論理的思考力や問題解決能力を身に付けるスキル」を学んでほしいと考えています。さらに問題整理の方法や問題解決の着眼点など、学生時代でも使えるスキルを随所に織り交ぜる工夫をしています。

 これからのビジネスパーソンには「問題解決能力を高めるスキル」と「コミュニケーション能力の向上」が求められています。もはやロジカルシンキングやプレゼンテーションスキルなどの“単品メニュー”や切り口だけでは、企業もビジネスパーソンも満足しません。いわゆる「地頭力を高める」ことが注目されています。

 キャリアには段階があります。社会に出てすぐは「自立」フェーズ。自立とは「人や組織に過度に依存せず、自分の頭で論理的に考え抜き、自らの手足を使い責任をもって行動する」ということです。次の段階が「自律」。律とは信条・哲学、美学・スタイルのようなもので、自分の律をしっかりと持ち、ぶれないコンパスで一つひとつ判断して進めるかが、「強いキャリア」の要となります。そして、この「自律」の段階を卒業して初めて「自己実現」というキャリアアップの段階に入ります。このようにキャリアとは、人生の大半を過ごすビジネス社会で個々人が果たすべきミッションの、実施設計図・航路図だと考えています。

オープン教育センター設置科目

「ウーマン・キャリアクリエイト講座」(新日本有限責任監査法人寄附講座)

並木 秀男/教育・総合科学学術院教授
矢口 徹也/教育・総合科学学術院教授
田村 真理子/非常勤講師

迷った時の力になる「引き出し」をつくってほしい

第一線で活躍する先輩社会人から学ぶ

 女性のキャリアスタイルは多様化し、個々の能力を生かしながらキャリアをクリエイトする傾向にあります。

 「ウーマン・キャリアクリエイト講座」では、第一線で働いている女性たちをゲストスピーカーに招き、それぞれの「キャリアクリエイト」の経過を語っていただいています。ロールモデルを提示することは、働く女性の「現状」と「これから」を映し、時代の変化の兆しをとらえ、将来像を描くことに役立つと言えます。それぞれの体験談から、共通点だけではなく時代などによる違いも感じ取れるよう、職業や経歴、年齢も多彩な方々を招くようにしています。授業の進め方としては、質疑を通じてより深く話を掘り下げることで、時代背景などの「情報」とその人の「体験」とを結びつけて示せるように心掛けています。

 この授業を通して学生たちには、キャリア形成において迷った時に力になる「引き出し」、つまり知的財産をたくさん作ってほしいと考えています。社会に出て困難に直面した時に「こんなことを言っていたな」という「引き出し」があると、対処の仕方が自ずと違ってきます。授業で学んだ「この問題は以前に聞いたことと同じだ」と気づき、過去に学んだ知識を「引き出し」から取り出して使うことが重要です。それが問題を解決する要因に変わるからです。

 学生が自らのキャリアを模索し、形作っていくための力となるたくさんのデータを「引き出し」に蓄積することを期待しています。

オープン教育センター設置科目

「報道が社会をかえる ー取材過程論ー」(石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞記念講座)

花田 達朗/教育・総合科学学術院教授

最前線で活躍するジャーナリストから、現場を学ぶ

多彩なジャーナリスト陣による講義

 本講義は、ジャーナリズムとは何か、それはどのような社会的な働きをしているのか、それが輝いて見えるのはどのような時か、ジャーナリストとは何者か、どのような仕事をしているのか、何故それをしているのか。こうした問いに取材過程という視点からアプローチしていく授業です。

 授業では、現役の優れたジャーナリストから直接お話を聞き、討論をしています。学生には生身のジャーナリストからジャーナリズムの現在を体感してもらいたいので、ジャーナリストのどのような問題意識から、どのような取材のプロセスを経て、どのような作品が生み出されていくのかを見て、考えてもらいたいと思っています。

 ここに選ばれたジャーナリストの皆さんは、昨年度「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」受賞者、ジャーナリズムの本道を歩むジャーナリストたち、最近のジャーナリズム上のトピックの論客、そしてジャーナリズムにインパクトを与えた方々であり、まさに最前線で活躍するジャーナリストから学べる授業となっています。

 学生たちには日頃から新聞や雑誌をよく読み、テレビのニュースやドキュメンタリーに接し、ノンフィクションを読み、映画館に足を運ぶなど、メディアでどのようなジャーナリズムが展開されているかを日々観察するようにしてほしい。そして、この講義では、毎回異なる講師が登壇するので「一期一会」を旨として、緊張感をもって各回の授業に臨み、ジャーナリズムとジャーナリストについての理解を深め、今後、自身の将来や進路を判断する上で役立ててほしいと考えています。

 キャリアのベースにあるのは、職業とかプロフェッションとかの考え方だと思います。その土台がしっかりしていないと、キャリアとは上滑りしたものになってしまいます。その職業の社会的な意味を押え、理解したうえで、個人的な職歴の展開を考えていってほしいと思います。

大学卒業後のビジョンを描きキャリアにつながる力を磨く「卒業準備プログラム」

 2010年度よりスタートしたオープン教育センターに設置されたプログラムの一つです。卒業を間近に控えた4年生を主な対象に、社会で活躍できる力を養い、必要なスキルを磨くことを目的としています。社会人に必要な知識の修得を目的とした「社会人実践準備コース」は、ソーシャルスキル、ビジネススキル、コンプライアンス・法務、インターンシップの4つのカテゴリーで構成され、プレゼンテーション スキルや語学力、コミュニケーション力などを学ぶことができます。
さらに知識を深めたい学生には、単位を付与しない有料講座の「ビジネスインテンシブコース」があります。実習・演習中心の講座で、論理的思考法やロジカルライティングなどを学ぶことができます。