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SPECIAL REPORT

学理と実務の架橋を目指す「専門職大学院」

本学では高度な専門知識を持った職業人の育成を目指し、専門職大学院を設置しています。
専門職大学院ならではの学理と実務を融合した教育課程の意義、学部教育への教育効果についてお伝えします。

鎌田 薫(かまた・かおる)早稲田大学第16代総長

Part.4

専門職大学院の可能性

専門職大学院の展望について鎌田総長にお話を伺いました。

専門職大学院は、
早稲田大学の使命を果たすための
重要な存在

鎌田 薫/早稲田大学第16代総長

研究者と実務家の2つのアプローチ

 本学はもともと、建学の精神として“実学”を重んじてきました。校歌にも「現世を忘れぬ久遠の理想」という一節がありますし、教旨にも「早稲田大学は学問の活用を本旨と為すを以て 学理を学理として研究すると共に 之を実際に応用するの道を講し以て 時世の進運に資せん事を期す」と書かれています。ですから、実社会のニーズを満たす高度専門的職業人の育成を目的とした専門職大学院は、本学が建学の理念を実現するための重要な存在です。

 専門職大学院は、理論と実務を架橋した教育を特徴としています。本来、両者はそれほどかけ離れたものではありませんが、研究者と実務家ではアプローチの傾向が違います。研究者は、さまざまな事象から一般的な解を見出し、物事を抽象化しようとする帰納的手法をとることが多いですが、実務家は一般的・抽象的原理から具体的な問題に対する結論を目指す演繹的手法をとることが多いと思います。

 専門職大学院では、そうした異なる思考様式を持った実務家と研究者が日常的に接し意見交換することで、シナジー効果が生まれます。学生も、2つのモノの考え方に接しながら勉強することで、視野を広げ、学習効果を高めることができます。早稲田では、その特徴を忠実に具現化しようとして制度をつくり、努力を重ねてきた結果、学生にも教員にも理論と実務の融合の成果が浸透し、定着していると自負しています。

教育の質を向上させ存在意義をアピール

 また、私が専門職大学院の機能として注目しているのは、教育手法です。専門職大学院では、具体的な課題について、教員と学生または学生相互間で議論をしながら解決方法を探るソクラティック・メソッドという手法で授業を進めたり、他人を説得するための口頭または文書によるプレゼンテーションをさせたりしています。こうした教育手法は、学生の考える力を鍛えるだけでなく、教員自身にも刺激を与え、学部教育の改善にもつながっています。こうしたことの積み重ねが本学全体としての教育研究水準を向上させていくものと考えています。

 専門職大学院が設立されてから、大学院生の数が飛躍的に増加しました。社会人が再び大学に戻って勉強することが当たり前になり、優秀な人材がますます多く育っていけば、従来型の研究大学院を含めて大学院教育に対する社会の認識も変わっていくでしょう。この流れをさらに強めるためにも、専門職大学院の教育の質を高めると同時に、その存在意義を社会に広く理解してもらえるよう努力しなければなりません。修了生の皆さんには、大学院で身に付けたものを基盤として自分自身を磨き続け、現代社会の抱えるさまざまな課題の解決に果敢に取り組んでいかれることを期待しています。