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▼新年号

SPECIAL REPORT

職員の力

―早稲田の原動力―

「Waseda Next 125」の重要課題を達成するためには、積極的に参加する意識の高い職員の力が求められます。そこで今回は職員にスポットをあて、さまざまな取り組みを紹介します。

Part.3 座談会
職員の力を大学の力に

教職協働で目指す「夢」の実現

実際に各種プロジェクトや活動に関わった若手職員と教員の皆さんに、活動を通じて得られた成果や思いをお聞きしました。

座談会参加者(氏名50音順)

理工学術院統合事務・技術センター事務部 研究総合支援課
飯島 智子さん
(テーマスタディ運営支援研修に参加)

戸山総合事務センター
三宮 圭司さん
(Hello! WASEDAプロジェクトに参加)

文学学術院
嶋崎 尚子教授
(男女共同参画推進委員会の活動に参加)

理工学術院
納富 信准教授
(テーマスタディによる講義を実施)

早稲田ポータルオフィス
浜島 直美さん
(こうはいナビプロジェクトに参加)

人事部人事課
松本悠希さん
(プロフェッショナルズ・ワークショップに参加)

早稲田で展開するさまざまなプロジェクト

――まず、皆さんと各プロジェクトや活動とのかかわりについて教えてください。

飯島 入職2年目に、人事課主催のテーマスタディ運営支援研修に参加しました。全学共通副専攻のテーマのひとつに「戦略的環境研究」があります。今回、納富先生が担当されている授業の運営支援に携わりました。学生の相談に乗ったり、パワーポイントのつくり方をアドバイスしたりといった「お兄さん、お姉さん」的な役割を果たし、先生と学生の橋渡しをしてきました。

松本 入職して11年目、プロフェッショナルズ・ワークショップにかかわってからは2年半になります。企業と大学が一体となって取り組むプロジェクトで、企業の現場が直面している課題に対し、学生がプロフェッショナルズ(企業人)と共同で課題解決に取り組み、企業経営陣に解決策を提案します。今年度は8つの企業・自治体などとタイアップしており、私は地方の活性化をテーマとしたANA総合研究所のワークショップに参加しています。
 このプロジェクトにおける職員の役割は、企業・学生・教員の三者の架け橋となりプロジェクト運営の中核を担うとともに、お互いが最大限のメリットを得られる関係を築くためのマネジメントを行うことです。

三宮 現在入職8年目です。本年度の「Hello! WASEDAプロジェクト」では、校友向けに広島と愛知で、子ども向けとして系属校のある佐賀と大阪でイベントを開催しました。
 関わるきっかけは、人事部で行っている「Innovation Award」という職員向けの提案コンテストです。従来、管理職は地域コーディネーターという形で各地の校友と関わっていますが、一般職員にはそうした機会がありませんでした。そこで一昨年、私たちのチームが一般職員と校友の交流拡大を提案した結果、プロジェクトが動き出しました。

浜島 入職5年目です。学生の皆さんにもっと早稲田でできることの可能性を知ってほしいと思い、プロジェクトに参加しました。私が関わる「こうはいナビ」は、在学生と職員が協力して、新入生をサポートするプロジェクトです。新入生の入学前後の不安を少しでも減らし、大学生活を快適にスタートしてもらうことを目的としています。科目登録をサポートする履修なび、日々の情報を発信するこうはいナビブログ、授業開始直後に道案内などを行うキャンパスなび、新入生のクラスチューターとして相談に乗るクラスなびの4つの企画があり、在学生の実体験に基づく提案をもとに、職員が協力して企画を実現させ、学生と一緒に活動を行っています。学生の新鮮なアイデアに驚かされることが多く、日々刺激を受けています。

納富 「戦略的環境研究」は私を含め3名の教員がメインで関わっています。今年度はテーマスタディ3年目。授業は座学のスタイルが中心で、その中に「環境イシューを深く読み解く」「環境イシューを再編集する」という2科目があります。新しい試みとしてゼミ形式を取り入れ、昨年度は飯島さんたち職員の方にも加わってもらいながら、学生が社会的な問題を自らピックアップし掘り下げ、何らかのソリューションを考え、シンポジウム形式で発表してもらう取り組みを始めています。

嶋崎 私は本学の男女共同参画推進委員会の広報調査部会メンバーとして、ポスター、リーフレット、ニュースレターの作成や全学教職員調査などを手掛けています。部会は全部で4つあり、どれも教員・職員の合同チームとして構成されていて、大学が取り組むべきと考えられる施策の企画・提案から、ものによっては実施まで、まさに男女共同参画推進のための実働部隊としての役割を果たしています。
 教員と職員が同じ立場で机を囲み、あれこれ議論や作業をしながら計画を練って実施していく、学内ではまだ少ない教職協働の形かもしれませんね。

学生と同じ目線で活動に取り組む

――職員の皆さんは日常の業務とは異なる形でプロジェクトに携わっていますが、活動の中で新たな発見などありましたか。

松本 大学に就職した理由のひとつとして学生の成長を支援したいという気持ちがありましたので、プロジェクトを通して学生の成長を感じ取れることがうれしいですね。また、職員は通常、学生とは向かい合った立場で対応することが多いのですが、私の参加しているプロジェクトでは、学生と職員が立場を越えて同じ方向に向かって一緒に取り組むことができます。

三宮 プロジェクトは、まったく違う部署の人たちが集まってひとつの目標に向かって意見交換していきます。従来私が持っていた固定概念が覆されることもあり、とても刺激的な体験でした。さまざまな人の話にアンテナを向けることの大切さは、現在の業務にも生かしていきたいと思っています。
 忘れられないエピソードとしては、昨年度愛知で若手校友を対象に恋愛学講座を開催し、国際学術院の森川友義教授に講演をしていただきました。そのとき知り合った校友の二人が今年結婚するそうです。キューピット役も務めることができたかなと思っています(笑)。

浜島 「こうはいナビ」も、さまざまな部署の職員が集まっているプロジェクトです。打ち合わせをしている際も、それぞれの議題に詳しい職員のリードで話が進んでいくので、意志決定のスピードが速いと感じています。ひとりで抱え込むのではなく、誰かに相談することの大切さを改めて学んだ気がします。また、活動を通して学内での顔見知りが増えたのも大きなメリットだと思います。

飯島 活動で気づかされたのは、職員も授業に携わることができるということ。日常的な業務から、「授業は教員がするもの、職員はそれをサポートする立場」というイメージが強かったのですが、必ずしもそうではなく、職員の新たな視点が授業に加わることで、議論がまた違った方向に展開する可能性もあると感じました。また、教員の学生指導に対する考え方に接することができるのも魅力です。なにより、学生がどういう思いでこの授業を履修しているのかなど、彼らの志向に触れられたのが大きな収穫でした。授業を受けることで、学生が変わっていく姿を間近で見ることは、大学職員の醍醐味のひとつではないでしょうか。

教員・職員・学生のトライアングル

――先生お二人にうかがいます。教員と職員が力をあわせてプロジェクトなどに取り組む意義をどうお考えですか。

納富 きっと私よりも学生の方が良かったと感じているかもしれません。どうしても学生と教員の間には壁があり、一方通行の関係になりがちです。その中で、立場の違う職員の方が授業に関わっている。3つの異なる立場の人がいるととてもバランスが良いんですね。学生はよろず相談ができますし、教員は学生に直接聞けないことを職員から聞くことができる。それが最大の魅力です。授業のスタイルがゼミ形式だったこともありますが、教員だから、学生だから、職員だからといったことをあまり強く意識しない場をつくれたことが良い方向につながっていったのではないでしょうか。

嶋崎 男女共同参画推進委員会は、教職員のワークライフバランスや若手研究者・大学院生のキャリア支援などをテーマに現状と対策を探ってきました。これだけ大きな組織なので、学内がどうしても縦割りになってしまいます。これをどう打破していくかが課題です。幸い各部会は、中堅以上の職員が関わっていますので、組織的にどこをどう押せば有効かなど風通しの良い環境をつくるための情報交換ができて、とても重要な場だと思います。
 また、私は社会調査が専門なので、学内調査などのときには専門性を生かした貢献ができます。逆に広報誌の作成や、講演会などのイベント運営、書類の作成などは職員の皆さんが得意とする分野です。一緒に企画を立て、実際の作業はそれぞれの得意分野で関わっていくのがあるべき姿ですね。
 教員・職員と役割は異なりますが、子育てや介護など、生活者として抱えている問題は共通点が多く、それを解決することが、早稲田全体の魅力の向上につながるという手応えがあります。今後も、力を合わせてさまざまな施策を提言していければと考えています。

データで見る早稲田大学職員 職員数は2010年12月1日現在

1.職員内訳

2.勤務地内訳(専任職員)

3.プロジェクトへの参加

自ら考え、実行するプロセスを学ぶ

――プロジェクトを通して、自身の気づきはありますか。

浜島 参加している中で、通常業務でもそうですが、自分で考えて、早稲田をより良くするために提案したり行動したりすることの大切さを再確認しました。

三宮 そうですね。新たな取り組みを提案し、それを実際に行動に移していく。そういうプロセスを学ぶ機会を与えられているのかなと思います。

松本 早稲田のプロジェクトには2つの側面があると思います。ひとつは、プロジェクトとして実際に成果を出すこと。もうひとつは職員の人材育成です。プロフェッショナルズ・ワークショップの目的は学生を成長させることですが、副次的な成果として職員の成長にもつながっています。何より、課題に全力で取り組む学生の姿に刺激を受けますし、その学生のために何をできるか考え、実行していくことに職員としてやりがいを感じます。

浜島 同感です。また、学生と一緒に活動していて、前向きな学生が多いことにも気がつきました。見返りを求めずに、新入生のために何ができるかを本気で考えて行動しています。職員としては心が洗われる思いです。

飯島 わずか1年の取り組みでしたが、納富先生が言われたとおり、職員が長期的に教育現場にかかわることができる環境づくりの必要性を感じました。教・職が一体となって取り組めるよう、新しい機会にも積極的に参加していきたいです。

早稲田の職員は人材の宝庫

――教員の立場から職員への質問やご意見などありましたら。

嶋崎 職員の皆さんは、日々あれだけ忙しい中で、どうやってプロジェクト業務の時間をつくっているんですか。

松本 プロジェクトへの参加は業務として認められています。もちろん、通常業務との両立は大変な部分もありますが、それによってスケジュール管理をとても意識するようになりましたね。それも成果のひとつでしょうか。

嶋崎 私はとても尊敬している職員の方がいるのですが、彼女は毎年、学科の新入生の顔と名前を4月中にすべて覚えて、窓口に来たときに対応できるようにしていました。「それが窓口の職員としての最低限の仕事だ」と。今日の皆さんの話を聞いていて、職員の皆さんは学生の成長を見届けることを喜びとしていることを改めて実感し、とても心強く思いました。早稲田の職員は非常に優秀だと思いますし、まさに人材の宝庫ですね。

納富 職員と教員は、必ず業務の中で関わってきます。私は理工系の教員なので、実験研究が多くあり、技術職員の方々には大変お世話になっていますが、生き字引のように頼りになる技術職員の方が異動するのは我々にとって大きなマイナスです。組織運営上やむを得ないことですが、こうしたプロジェクト形式であれば、立場に関係なく継続的に交流していくことができ、関係の維持には非常に良いと考えます。
 大学には、職員の人材育成のシナリオをもっと分かりやすく示すことを望みたいですね。それにより職員の皆さんも自分の進むべき方向性がよりはっきりと見えてくるのではないでしょうか。また、プロジェクト同士のコラボの可能性などを考えてみても良いかもしれません。

職員が語る、私の「夢」

――最後に職員の皆さんに今後の意気込みをお聞きします。

浜島 まずは今期の企画を成功させることを第一に考えたいです。いつか「こうはいナビ」のスタッフだけでなく、全学生が後輩を自然にサポートするような環境をつくることが夢です。そこに少しでも近づいていきたいですね。

三宮 若手校友の方に「大学と関わっていきたい」「卒業生同士の交流を深めたい」と思ってもらえるような気運を高めていきたいですね。子どもたちには、早稲田を身近に感じられるイベントを発信していきたいと思います。
 個人的には今のうちに人脈を広げることです。いつか嶋崎先生や納富先生にもプロジェクトのお願いをさせていただきますのでよろしくお願いします(笑)。

松本 プロジェクトも4年が経過し職員や学生の認知度が高まってきました。職員主導のプロジェクトなので、いかに教員を巻き込んで教育的効果を高めていくかが当面の課題です。質・量ともに学生のニーズに応えられる教育プログラムにしていきたいです。
 また、私たち職員が積極的に学生と関わる機会を増やし、「4年間早稲田に通って良かった」と言って卒業する学生を職員の力でひとりでも増やせたらと思います。例えば、約800名いる職員がそれぞれ毎年5名の学生に影響を与えれば、全学では毎年4,000名の学生がそういう気持ちを持ってくれるはず。そのための手段として、職員のプロジェクトをもっと活性化させていきたいですね。

飯島 多くの人が「こうなりたい、こう変えたい」という夢を持って職員になったと思います。配属された部署がそれと直結しているとは限りませんが、信念を持ち続けていれば、与えられた環境をチャンスに変えることができる。これからも、テーマスタディの他にもさまざまな機会に挑戦し、自分の糧にしていきたいと思っています。