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SPECIAL REPORT

職員の力

―早稲田の原動力―

「Waseda Next 125」の重要課題を達成するためには、積極的に参加する意識の高い職員の力が求められます。そこで今回は職員にスポットをあて、さまざまな取り組みを紹介します。

本多 聖治(ほんだ・せいじ)早稲田大学常任理事 略歴はこちらから

Part.1 インタビュー
大学の新たな価値の創造を目指して

大学職員に求められる新しい役割

本多 聖治/早稲田大学常任理事

本多聖治常任理事に、大学職員に求められる役割と期待について伺いました。

教員と職員の協働により新しい価値を生み出す

――本学の中長期計画「Waseda Next125」では、新教育研究体制の構築の一環として、職員人材育成と職員組織の構造改革が、課題として掲げられています。大学職員に求められる役割はどのように変化しているのでしょうか。

 中央教育審議会の答申においても、学士課程教育の充実を支える教職員の職能開発が課題になっています。教員のFD(ファカルティ・ディベロップメント)とともに、大学経営をめぐる課題が高度化・複雑化する中で、職員のSD(スタッフ・ディベロップメント)も重要視されるようになりました。本学においても「Waseda Next 125」で、職員の力を客観的に見直し、人材育成を強化することを掲げています。

 改めて考えると、これまで本学が多彩な人材を送り出してきたことは事実ですが、果たしてそれは教育の質が高かったからだと言い切れるでしょうか。また、企業も真っ白な人材を一から教育し、育成する余裕はなくなっています。当然、卒業後の進路を心配する保護者からも大学教育への期待は高まるばかりです。

 大学が持っている限られた資源をフル活用して、グローバル化した複雑な課題に対応できる付加価値を持った学生を送り出すためには、教員と職員がその役割を十二分に発揮し、大学の可能性を広げていかなければなりません。そこで示されたのが、「教員と職員の協働(教職協働)」という概念です。

――「教員と職員の協働」とはどのような意味でしょうか。

 これまで、教員も職員もそれぞれの役割は果たしてきました。しかし、お互いの領域に関心を持っていたかというと、不十分だったと思います。教員が良い授業をするためにどれだけの準備をしているか、学生がどう感じているかということを職員は深く理解しようとしてこなかった面があると思います。しかしそれは、協働しないと理解し得ないことでもありました。共通のゴールを認識し、お互いに踏み込んでいくことが、それぞれの機能を高め、大学のポテンシャルを高めていくのです。FDとSDの目的は共通しているともいえます。

 また、大学全体として取り組むべき新たな課題については、立ち上げから教職協働で進めてきました。ハラスメント防止や男女共同参画推進などがそうですし、全国で開催している地域交流フォーラムもそうです。

改革を担う人材を育てるプロジェクト型業務

――1990年代後半から、情報化推進プログラムや英語教育改革プログラムなど、職員によるさまざまなプロジェクトが行われてきました。現在も、テーマスタディ(全学共通副専攻)運営支援研修や、プロフェッショナルズ・ワークショップなどのプロジェクトが進められています。プロジェクト型業務に必要な能力は何ですか。

 本学では、プロジェクトを人材育成の一環としても位置づけてきました。異なる部門間にまたがるプロジェクトでは、ルーティンの仕事では得られない多くのことを学ぶことができます。部門と部門、人と人の間にある壁を乗り越えていく経験を通して、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、リーダーシップを学ぶことができます。さらに、企画を立ち上げ、期間内で最後までやり遂げるマネジメント能力も習得することができます。

 プロジェクト遂行能力を身に付けた職員が核となって、校友や学生の力を巻き込みながら大学の新しい価値を生み出していくでしょう。

――本学の職員が開発したワークショップ型の企画・改革立案手法「WISDOM」についてお聞かせください。

 当初は情報化推進のために開発された手法ですが、汎用化されてあらゆる分野で活用できるものへと進化しました。特徴は、「現状」の解決からではなく、メンバーの合意による「理想」を目指して出発することです。例えば「理想の学生サービスは何か」という最終ゴールを共通認識してから、活動が始まります。早稲田のボトムアップ型の風土から生まれた手法であり、すべての分野に使える血が通った手法だと思います。

――グローバル化を実現するため、職員に求められることは何ですか。

 大学はそもそもグローバルな存在ですから、その構成員である職員もグローバルな感覚が必要です。職員を対象とした海外での研修やインターンシップなどが実施されていますが、そこで学んだことを現場で実現できなければ意味がありません。担当業務ではもちろん語学だけでなく、異文化も理解しコミュニケーションできる能力が必要です。ワーキンググループやプロジェクトを通して実践できると思います。

早稲田大学の資源を熟知した存在として

――学生にとって、大学職員はどのような存在であるべきでしょうか。

 学生が大学生活を有意義なものにするためには、良い研究者や教育者との出会いはもちろん、図書館やコンピュータールームなどの文化資源や設備をどれだけ活用したか、さらには、職員をどれだけ活用したかということにも左右されます。職員は、本学の資源を熟知している存在として、学生に発信しその価値を高めていかなければならないと思います。

――最後に職員に期待することをお聞かせください。

 プロジェクト型業務は、日常の業務だけでは得られない発見と達成感が必ずあります。例えば自ら企画提案し、実行できる職員が大多数になり、「教員と職員の協働」が当たり前になれば、大学はますます元気になると思います。新しい役割を開拓し、学生や社会の期待に応えていきましょう。

5つの人材育成プログラム

職員の職能開発を目的に、5つのテーマ別に人材育成プログラムを実施しています。

1
プロジェクト型職員の育成 授業運営支援研修、テーマスタディ運営支援研修など
2
教員と協働できる職員の育成 参加者公募型プロジェクト、プロジェクト企画立案実践研修、協定大学との合同WISDOM研修、イノベーション・アワード、教務事務業務検討チーム、こうはいナビ、Hello! WASEDAプロジェクト、プロフェッショナルズ・ワークショップなど
3
グローバル化を推進する職員の育成 派遣研修(大学院留学型・業務体験型・グループ調査型)、海外協定大学派遣研修(語学研修+インターンシップ)、チュートリアル英語・中国語、オンライン・イングリッシュ、英文メール・ライティング研修など
4
広い視野を持った職員の育成 大学経営セミナーなど
5
高いマネジメント力を有する職員の育成 階層別研修(採用1年目~5年目)、マネジメント入門研修、マネジメント基礎研修、管理職別研修(新任管理職マネジメント研修、管理職MBAセミナー、部長トップマネジメントセミナー)など

本多 聖治(ほんだ・せいじ)/早稲田大学常任理事

【略歴】
早稲田大学第二文学部卒業後、職員として入職。教務部情報化推進担当事務部長、教務部事務部長、人事部長、総長室長などを歴任し、現職。