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▼早春号

SPECIAL REPORT
Part.2

校友ネットワークと母校支援に見る“早稲田力”

早稲田大学の校友による親睦団体「稲門会(とうもんかい)」。現在登録されている稲門会は、地域稲門会、海外稲門会、職域稲門会など1,300以上に及びます。ニューヨークに住む校友ネットワークの基軸となっている「ニューヨーク稲門会」、四士業の専門性を活かして提携・協働を図り、教育面から積極的に母校支援に関わっている「稲士会」にお話をうかがいました。

ニューヨーク稲門会

自由と個性を尊ぶ街で心地よい紐帯を形成イェール大学校友会との交流拡大も計画中

2009年新入会員歓迎会で

ハーバードクラブでの年次総会(2009年)

 1970年設立のニューヨーク稲門会は、現在、会員数約300名。世界最大規模の海外稲門会です。年初の年次総会をはじめ、良きライバル、ニューヨーク三田会(慶應義塾大学同窓会)との交流会や文化講演会、野球観戦会などの各種レクリエーションを年間を通して開催、世代と業種を超えた会員同士の交流を図っています。また、1993年、帰国会員によるニューヨーク稲門会東京支部も発足しています。

 早稲田大学校友会設立125周年記念事業のひとつとして、稲門会とイェール大学校友会との交流拡大を図り、その一環として、イェール大学校友会の地域ボランティア活動への参加を計画中です。この活動は、“YaleDay of Service”と呼ばれ、5月の第3土曜日にAssociation of Yale Alumni (AYA)リードの下、世界各地の同大学校友が地域の人道的活動に参加するもので、交流のある各国提携大学の校友や非営利団体の協力も得ながら、ボランティア活動を通して人脈を拡げることを目的とした活動です。当会としてもこの活動を通して、日頃生活をしている地域社会への恩返しと新たな出会いの場を作っていくことができるのではと考えています。

Webサイト:YaleDay of Service

 世代もさまざまな会員は次のように当会について語っています。

「ニューヨーク稲門会に入会して、自由闊達な心意気を持った、素敵な人生の先輩・後輩に出会えました。大学にいた頃、また日本にいた頃以上に、『早稲田に入って良かった』と実感しています」
北川まいこさん(1999年第一文学部卒)

「ニューヨーク稲門会は年次に全く無頓着、新入会員が翌日には幹事となり、公式行事以外に小規模のワセダ呑みも盛んです。都の西北で良い意味の“いい加減さ”を身につけた校友は、自由と個性を尊ぶ街で心地よい紐帯を形成しています」
星野剛さん(1985年第一文学部卒 )

「会員の活動が多様なニューヨーク稲門会は、20代半ばの私にとって貴重な人脈作りと日本では得難い情報の交換ができる絶好の場です」
三原卓也さん(2007年人間科学部卒)

 ニューヨーク稲門会としては、激動の日々の生活をしばし忘れ、早稲田のDNAを再認識できる活動を追求して行きたいと思っています。早稲田大学には、日本の存在感を高めるためにも、グローバルな場で活躍できる早稲田らしい人材を数多く育てていただきたいと願っています。

取材協力=ニューヨーク稲門会各位

四士業稲門会「稲士会」

校風そのままの結束力で大きな力に 学生に現実社会との接点を伝え、社会に出てからの道標となる

2009年度稲士会総会にて

 稲士会は、早稲田の校友からなる税理士稲門会、行政書士稲門会、司法書士稲門会、社会保険労務士稲門会の各士業が提携・協働し、相互に親睦等を深める場を提供し、新しい士業のネットワーク作りを推進、発展させることを目的として2004年10月に発足しました。現在、4稲門会合計約900名が所属しています。

 発足のきっかけとなったのは、2004年から四士業合同のいわゆるワンストップサービスの形態として始めた「無料相談会」です。気軽に相談できる場を設けることで、私たちの仕事に対する敷居を低くし認知度を高める、というのが主な目的でしたが、大変好評を得ました。その後、大学創立125周年を迎えるにあたって、母校に教育面で還元できないかという声が上がりました。そこで、「稲士会」四士業合同による提携講座「企業法務概論」(会社の起業から会社運営、従業員を取り巻くさまざまな問題の解決について、法律と実務的な観点から実務知識の概要習得を目的とした全学部生対象のオープン科目)を、2008年度より開設することとなりました。

 前期・後期計30回の講義を各士業で分担するため、講義内容には限りがありますが、まずは我々の仕事について興味を持っていただければと思っています。講義の内容がきっかけとなり、学生が社会に出て現実社会の問題に直面した時に、どの専門家に相談すれば合理的な回答を得られるかを判断し、迅速な行動ができれば、企業での早稲田出身学生の評価も上がるのではと考えています。また、校友会事務局に連絡をしていただければ稲士会へ取り次いでくれるので、気軽に先輩、後輩として相談を受けることができます。稲士会が学生にとっての相談窓口としても機能できれば、という思いもあるのです。

2009年稲門祭で開かれた稲士会による無料相談会。大変好評を得ました

 今後、稲士会としてはさらに大学との連携を図り、学生との接点をおおいに持っていきたいと思っています。また、稲士会同士の横のつながりを広げ、早稲田125年の歴史に恥じない行動をするため、先人の教えをいつも心に留めながら、自己研鑽を続けたいと思います。

 早稲田の校歌3番にある「集まり散じて 人は変われど 仰ぐは同じき 理想の光」という歌詞そのままの精神が稲士会には生きています。社会が複雑になり、企業の再生など、あらゆる士業がかかわらなくてはいけない仕事が増えています。稲士会の会員はそれぞれ独立した仕事をしていますが、必要な時には結束力で大きな力になる。早稲田の校友として、こうした社会のニーズに対して受け皿となるネットワークを築くことができれば、こんなに素晴らしいことはないと考えています。

取材協力=酒井健爾(行政書士稲門会・1968年第一文学部卒)、鄭英模(司法書士稲門会・1971年政治経済学部卒)、藤原久嗣(社会保険労務士稲門会・1965年法学部卒)、能登八郎(行政書士稲門会・1963年法学部卒、1968年法学研究科修了)、山口賢一(税理士稲門会・1973年商学部卒)の各氏

校友会の支援による奨学金制度

 校友会が支出している奨学金費・母校支援費の総額は、2008年度実績で年間約1億8,500万円。これは早稲田大学における団体または個人からの寄付による学内奨学金の約42%にあたります。

 2009年度は2つの給付奨学金*が新設されました。1つは、遠隔地から本学への進学希望者が、経済的な理由により進学を断念することなく、安心して受験に臨めるよう設けられた、「めざせ! 都の西北奨学金」(入試前予約採用給付奨学金)。個性豊かな地方出身者が集うという本学の伝統を支える奨学金です。

 もう1つが、本学が協定を結んだオックスフォード大学・ケンブリッジ大学ISA(Individualized Studies Abroad)プログラムへの派遣学生を支援する「校友会海外派遣留学奨学金」。私費で留学する場合、プログラム費年間約370万円、往復航空費や生活費で200万円程度が必要なため、経済的な理由により断念せざるを得なかった優秀な学生への海外留学支援が可能になりました。

 本学の奨学金制度の充実度は、国内の私立大、国公立大でトップクラス。こうした学内奨学金の整備には、校友の支援が大きく寄与しているのです。
(*給付奨学金:返済の必要のない奨学金)

校友会関連の奨学金【いずれも給付奨学金】

※詳細は本学奨学課Webサイトを参照ください

奨学金名称 奨学金額
(2010年度)
募集人数
(2010年度)
奨学金の特徴
めざせ! 都の西北奨学金 40万円(4年間継続) 採用候補者約500名のうち、入学した者全員 遠隔地域にある国内高校出身で学部の一般入試・センター試験利用入試の受験予定者が入試出願前に申請。入試前に奨学金採用が予約される。校友会からの寄付と校 友の早稲田カード利用による還元金が財源。奨学金継続審査をクリアすれば4年間 継続可能。
校友会給付
一般奨学金
学部 40万円(4年間継続) 102名(新入生) 各都道府県別の割当により収入状況に基づいて採用する。奨学金継続審査をクリアすれば4年間継続可能。
学部以外 独立研究科(40万円)・人科通信(30万円)・高等学院(20万円)・本庄高等学院(20 万円)・芸術学校(15万円)・川口芸術学校(30万円) 独立研究科(56名)・人科通信(3名)・高等学院(5名)・本庄高等学院(2名)・芸術学校(1名)・川口芸術学校(1名) 修学上特に経済的に困難な学生を支援する奨学金。所定の収入基準・成績基準に基づいて採用する。
校友会海外派遣留学奨学金 150万円 5名 オックスフォード大学・ケンブリッジ大学ISAプログラムに本学から参加する学生を支援する奨学金。
校友会給付緊急奨学金 40万円 10名 家計急変者を緊急的に支援する奨学金。
校友会トップアスリート奨学金 年間授業料相当額(約105万円・4年間継続) 5名 トップアスリート入試により入学した者のうち、各学年5名以内、全学年で20名以内の学生を支援する奨学金。奨学金継続審査をクリアすれば4年間継続可能。
安部磯雄記念校友会奨学金 40万円 21名(新入生) 高校時にスポーツ分野において顕著な実績をあげた学部1年生を支援する奨学金。
稲門祭奨学金 40万円 33名(前年度の記念品売上実績により決定) 毎年秋に開催される校友の祭典「稲門祭」での記念品売上による寄付からなる。経済的に修学困難な全学部の2~4年生が対象。
早稲田カード奨学金 30万円 6名 校友の早稲田カード利用による還元金からなる。2009年度より附属校生を対象。

※上記以外に稲門会や校友の寄付に基づく奨学金も多数あります

奨学生採用通知が心の拠り所に

文学部文学科1年
飛田陽子さん

 「めざせ! 都の西北奨学金」制度設立の情報を最初につかんだのは、私自身ではなく母でした。もともと経済的な理由から両親に上京を反対されていた私は、落ち着かぬ精神状態で無理やり臨んだ一度目の受験ではあえなく不合格。それでもやはり早稲田に行きたいと、自宅で虎視眈々と浪人生活を送っていました。そんな私に、母が新聞記事の小さな切抜きを手渡してくれた時には、私の夢はただ頭ごなしに否定されていたのではない、心配され、尊重されていたのだと、家族の愛情を感じ取ることができました。私はすぐに早稲田への2年分の想いを込めた提出エッセイをしたため、第一期奨学生として採用していただくことになりました。

 この奨学金制度の最もユニークな点は受験前に採否を知ることが出来る点です。経済的な不安を抱えた受験生が試験本番で常にいつも通りの実力を発揮できればよいのですが、彼らが他の受験生以上に、未来に対する不安や現状への焦燥感を持って試験場にやって来ることは疑えません。事実、一度目の受験の時の私もそうでした。しかし、奨学生採用通知の「晴れて試験に合格し、本学の学生となられますことを」という表現にふれ、まるで大学側から「早く早稲田の杜で学びなさい」と言ってもらっているような気持ちになり、受験直前期の心強い拠り所を獲得し、念願かなってこうして早大生としての生活をスタートさせることができました。

 いま、不況のさなかにあって、大学に進学することを断念する方や、自分の志望でなくとも、経済的都合を優先させた大学選びを余儀なくされている方が多いと思います。しかし私は、大学というものは、いまの自分を維持するための場所ではなく、揺るがない未来の自己を模索し、獲得するための場所だと思っています。私がたくさんの方々のご支援あって目標を達成させることができたように、早稲田を志すすべての受験生が、どんな状況にあっても自分の夢や目標に目を背けることがないよう、学内の奨学金制度が益々充実していくことを心から願っています。

お買い物が奨学金に!
学生の支援につながる『早稲田カード』

4月よりカードデザインがリニューアルされます

 早稲田カードは、本学が校友会と協力し、大手クレジットカード会社と提携して発行しているクレジットカード。早稲田カードで買い物をしていただくだけで、カード会社からの還元金が奨学金となり、在校生への支援となります。これまで累計11億8,480万6,182円(2009年9月現在)が、奨学金原資となっています。さらに、図書館の入館証として利用できるほか、早稲田スポーツへのご招待(抽選)、稲門弁護士ほか士業紹介など、大学オリジナルの特典が付与されています。「早稲田カード」は本学の校友・父母・在学生を対象に発行しています。

資料請求・お問い合わせ先
早稲田大学総長室校友課
TEL:03-3203-6284
E-mail:wcard@list.waseda.jp
URL:http://tomon.waseda.jp/wasedacard/