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キャンパスナウ

▼3月号

SPECIAL REPORT

ボランティアがつなぐ大学と社会

社会の真実を学ぶ場に

 2002年の開設以来、本学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)は、早稲田大学の社会貢献の推進役を担って、学生の学びやアクションを応援してきました。WAVOCの活動の今を伝えるとともに、今後のさらなる発展に向けて何ができるかを考えます。

Part.1 - Interview

WAVOCは、学生が本物の社会を体験する仕組み

野嶋 栄一郎/常任理事 WAVOC所長 人間科学学術院教授

社会の真実を学び人間力を育てる場所

野嶋 栄一郎(のじま・えいいちろう)教授 略歴はこちらから

 WAVOCは、2002年4月に発足しました。大学の主な使命は教育と研究ですが、加えて社会貢献にも取り組むべきであるという考えのもと、総長を所長として設立されました。今でこそ、大学にボランティアセンターがあることは珍しいことではありませんが、当時としては先駆的な取り組みだったと思います。一般的な大学のボランティアセンターは、ボランティアをしたい人としてほしい人をつなぐマッチング機能が主ですが、WAVOCでは当初からプロジェクトと科目の2本柱により、社会貢献を担う人材を育てることを主眼に置いてきました。

 現在の教育の問題点として、大学で学んだことと実社会で活躍するために必要なことが必ずしも一致していないということがあります。ボランティア活動では、机上で学んだことを実践の場で確認し、活用すると同時に、さまざまなパートナーとの協働、活動の企画立案、チーム運営などを通じて、人間力を養うことで、社会で活躍するための素地が作れると考えています。実際、WAVOCのプロジェクト活動の主体は学生です。3人の助教と事務所スタッフは学生の背中を押してアクセルを踏んだり、時にはブレーキをかけたりしてバックアップしています。

 大学は象牙の塔と揶揄されることもありますが、ボランティア活動は社会の真実に触れる場です。教育的な視点で考えれば、WAVOCは学生をオーセンティック(本物)なフィールドに送り出す仕組みだと言えるでしょう。

WAVOCでできること

ボランティアフェアの様子

ボランティア関連項目を履修して、実社会を体験する
早大生なら誰でも履修できるオープン科目を提供しています。

ボランティアプロジェクトに参加して、多様な人々とつながる
国内外を問わず環境や教育など、さまざまな分野で30を超えるボランティアプロジェクトを運営しています。これらプロジェクトの主役は学生。プロジェクトは18歳以上であれば早大生に限らず誰でも参加可能です。

その他各種プログラムに参加する
WAVOCには学生が企画・運営するイベントの他、企業、自治体などとの協働プログラムも多数あります。

・ボランティアフェア(春・秋各1回)
WAVOCのプロジェクトが集結し、毎回さまざまな趣向を凝らした企画を展開します。
2009年は4月24日(金)に開催します。
・環境ボランティア学校(随時)
日産自動車と協働する「WIN日産」など、環境ボランティア体験やワークショップを行っています。

ボランティア関連情報を収集する
WAVOC所属の教員が成果をまとめたブックレットを無料配布する他、ボランティア経験豊富な学生スタッフが皆さんのボランティア相談にのっています。

教育機関としての位置づけを目指して

WAVOCプロジェクトでは学生の主体的な取り組みを大学が支援。18歳以上であれば早稲田大学以外の人も参加可能

 当センターが提供する科目やプロジェクトで活動する学生が自らの成長を語った先日のシンポジウムは、WAVOCの今後の方向性を確認する上で、非常に大きな意味がありました。今後は、次のステップとしてWAVOCの授業を選択必修の単位として位置づけ、ゆくゆくは「ボランティア学」というテーマスタディとして副専攻にできるまで体系化し、WAVOCの教育事業を拡充していきたいと考えています。

 WAVOC設立からの7年を振り返りますと、05年度に採択された文部科学省の特色GPや各種財団からの助成金、個人の篤志家や企業からの寄付金をいただいていることからも、WAVOCの取組が社会的に評価されていることを実感しております。しかし、それと同時に、今後さらに発展する上で、このような外部からの資金獲得、そして優秀な人材の確保がますます必要であり、それらを達成しうる魅力的な取組を積極的に展開しなければならないという課題も感じています。このような課題を解決しながら、大学の宝である学生たちの自己成長を促す、質の高い教育を進めていきたいと考えています。

WAVOC講義科目
  • ボランティア論 -入門と基礎理論-
  • ボランティア論 -体験の言語化-
  • 環境とボランティア
  • グローバルヘルス
  • 国際開発援助 理論と実践
  • 自己表現論
  • 国際交流と社会貢献
  • コミュニティ論 -入門と基礎理論-
体験的学習科目
  • 持続可能な生活スタイル論
  • Field Study on Peace Building
  • ワークキャンプ論 -実践的リーダー養成講座-
  • ワークキャンプ論 -実体験の言語化-
  • 人権と市民活動・ボランティア
  • カンボジアの文化遺産の保全と村づくりへの国際協力実習
  • 持続可能な社会と市民の役割
  • 東南アジアの開発問題とNGOの役割
  • コミュニティ論 -展開と実践-
WAVOCプロジェクト例
プロジェクト名 活動地
環境 エコミュニティ・タンザニア タンザニア国内
海外ボランティアリーダー養成プロジェクト(ボルネオ) マレーシア・ボルネオ島
イグアス地域自然環境保全プロジェクト アルゼンチン
高尾の森づくり 東京都八王子市裏高尾町
思惟の森育林 岩手県下閉伊郡田野畑村
文化交流 日本コリア未来プロジェクト 韓国・タイ
日越学生交流プロジェクト ベトナム
離島交流プロジェクト 沖縄県鳩間島・西表島
教育 ラオス学校建設教育支援 ラオス
人権 DVほっとプロジェクト 国内・韓国
ハンセン病問題支援 国内・中国
農業 三芳村里山づくり・有機農業体験実習 千葉県南房総市
交流 難民交流プロジェクト 早稲田大学学生会館
まつだい早稲田じょんのび交流プロジェクト 新潟県十日町市松代・蒲生
スポーツ スポーツボランティアプロジェクト 山梨県・海外
ダウン症児者・自閉症児者・親きょうだいのワクワクレスリング教室 早稲田
その他 アトム通貨 早稲田・高田馬場
早稲田レスキュー(災害救援ボランティア) 早稲田
ルワンダ学生交流会議 早稲田・ルワンダ
S.P.K.遺跡の保存と村づくり協力クラブ(Ju―Ju) カンボジア・コンポントム州

問合せ先
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)
TEL:03-3203-4192 URL:http://wavoc.jp/

野嶋 栄一郎(のじま・えいいちろう)/常任理事 WAVOC所長 人間科学学術院教授

69年本学第一文学部哲学科卒業、71年同大学院文学研究科修士課程(心理学専攻)修了。87年本学人間科学部助教授、 92年同学部教授を経て、現職。博士(人間科学)(大阪大学)。