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キャンパスナウ

▼7月号

SPECIAL REPORT

共同研究のパートナー企業に聞く【オリンパス株式会社】

医理工連携・先端生命医科学研究施設への期待

寺田 昌章(てらだ・まさあき)さん/
オリンパス株式会社 取締役専務執行役員
研究開発センター長 兼 研究開発本部長

企業から見て医理工連携・先端生命医科学研究施設はどのように映るのでしょうか。本学とかかわりの深い共同研究パートナーであるオリンパス株式会社取締役専務執行役員の寺田昌章さんにお話をうかがいました。

バイオメディカルエンジニア誕生へ大学界が遂げた偉大なる進歩

目の当たりにした理工連携の素晴らしさ

寺田 昌章(てらだ・まさあき)さん 略歴はこちらから

── 企業の立場から見て、医理工連携の必要性についてどのようにお考えでしょうか。

 非常に大切なことだと思います。以前、私が内視鏡の研究にかかわることになった際、医師の言葉を理解するために医学知識の必要性を感じ、東京女子医科大学の未来医学研究会で勉強させていただいたことがありました。当時、その会は“Medical”と“Engineer”の頭文字を取って「MEカリキュラム」と呼ばれており、30年以上前からすでに「医理工連携」の必要性を唱えていたのです。

 ただ、日本には医・理・工の知識を兼ね備えた「バイオメディカルエンジニア」という役割はまだありません。以前、当社は海外のバイオメディカルエンジニアから「焼灼」という技術を買って内視鏡に採用し、大きな成功を収めたことがあります。その技術は、生体の組織を焼いて組織を壊死させることで患部を治療する、大変高度なもの。組織へ与えるダメージが深すぎても浅すぎても治療は成功しません。しかし、バイオメディカルエンジニアは組織的問題は理工学の知識で、臨床的問題は医学の知識で解決して、実際の治療に使える技術として確立したのです。私はこの時、医理工連携の素晴らしさを心から感じたと同時に、日本でもバイオメディカルエンジニアを育てていく必要があると感じました。

 そういった意味で、今回の東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究施設の創設は大きな進歩であると思います

総合的知識を備えた学生への期待

── 今回、東京女子医科大学と本学が一つの研究施設を創設したことで、どのようなメリットが生まれるとお考えでしょうか。

 密な連携が取れることは確かでしょう。たとえば、女子医大は早稲田に実験機器を開発してもらえるし、早稲田は臨床医師からその機器に対する意見をすぐに聞くことができます。

 特に早稲田の皆さんにとって最も大きなメリットは、医療機器を開発し、現場で使われるまでのプロセスを病院で体感できることでしょう。企業は現場に出向いて医師やスタッフから直接意見を聞くことができます。医師やスタッフの方々から「今回の機器はよかった」と言われると、研究のやりがいを実感することができます。きっと早稲田の皆さんにとっても大きなモチベーションになると思います。

── 大学界に対する期待をお聞かせください。

 学生の皆さんへ、専門分野に限らず幅広く総合的な知識を教育していただきたいと思います。一つの分野だけを深く研究することも大切ですが、他の分野を知らないと研究の可能性が狭まってしまいます。たとえば、電気を専門分野としながら化学についても一通り勉強している人は、これからの時代とても重宝がられる存在になるでしょう。早稲田大学でも、企業にとって魅力的な人材を育てていただくことを期待します。

寺田 昌章(てらだ・まさあき)/オリンパス株式会社 取締役専務執行役員 研究開発センター長 兼 研究開発本部長

1968年に早稲田大学理工学部機械工学科を卒業し、オリンパス株式会社(当時はオリンパス光学工業株式会社)に入社。以来、内視鏡の開発を担当し、1993年10月から内視鏡事業を統括。2003年4月から現職。