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キャンパスナウ

▼2017 新緑号

Rising Star―挑戦者たち―

学生生活を通して得た視点や能力を生かし、最前線で活躍する学生と校友を紹介します。
今回は大学院 先進理工学研究科2年の宿輪理紗さんと、株式会社成文堂の小林等さんに、大学での学びや経験、社会とのつながりを語っていただきました。

卒業生

任されて初めてスタートライン「信頼」つないでいく

略歴はこちらから

小林 等さん/株式会社成文堂 編集部

 ひと口に編集者といっても、媒体によって仕事内容は大きく変わる。早稲田キャンパス正門の目と鼻の先に店舗を持つことでおなじみの出版社、成文堂で働く小林等さんは、法律書を中心とした学術書を主軸とする同社の編集者だ。「大学教授などその道の専門家の先生方に執筆をお願いするため、編集権を持って内容に手を入れることは基本的にありません。企画立案にはじまり、校正や資料づくりなど裏方として執筆作業をサポートするのが主な仕事です」と小林さんは語る。

 日本史に興味があり入学したのは第一文学部。4年生までは学生寮で寮生活。日常生活から対外的なイベントへの参加まで、同世代の学生たちと苦楽を共にした4年間を「学生生活の中で最も大きな思い出」と振り返る。

 4年生になり進路を考えた時、「もう少し勉強を続けたい」と考え、大学卒業を保留。この頃「本が好きで、一番よく行く書店が店員を募集していたから」と始めたのが、成文堂書店でのアルバイトだった。本の陳列や販売から、POP広告づくりなどの販売促進まで、小林さんの仕事はどんどん広がっていった。「学術書でも漫画でも、面白い本を見逃さないことが書店員の腕の見せどころ」だと感じるようになった小林さんは、次第に書店での仕事にのめり込んでいった。その働きぶりが評価されたのか、2013年に当時の専務に「編集部に社員として来ないか」と誘われることに「。私にとっては青天の霹靂(へきれき)でしたが、その場でお受けしました。『断ってはいけない』と思いましたね」。直感を信じ、何も分からないまま編集の世界に飛び込んだ。

学生時代、2006年に寮生とともにジャワ島地震の震災復興ボランティアに参加。出発前に寮生と舎監さん、そのご家族と(小林さんは右から3番目)
提供:公益財団法人早稲田大学YMCA信愛学舎

 同じ会社でも、店舗と編集には大きなギャップがあった。仕事は校正の仕方、先生方の専門分野など基本を覚えることに始まり、企画や交渉などの編集者としてのコミュニケーションスキルも求められる。

「私には、先輩編集者のような先生方との信頼関係もなければ、知識や話術といった武器もない。ならばとにかく与えられた仕事を誠実に果たしていく中で、ひとつずつ、信頼をつないでいく。それを心掛けました」

 中でも、早稲田大学の講義録の編集に関わり、教授や講師とともに1冊をつくり上げた経験は「それぞれの講師の希望を調整し、自らも提案を繰り返しながら1冊の本をつくり上げる中で自分を引き上げられた」と、大きな自信につながった。

「編集者は15年続けて一人前になれる」と入社時に言われ、この4月で5年目。小林さんは「編集者として、まだスタートラインにも到達していない」と自分を評価する。「私は『成文堂の小林にこの1冊を任せたい』と言われて初めて編集者になれるのだと思います。そんな信頼される人を目指し、誠実さという初心を忘れることなく、新しいスキルも身に付けたい」

 まずは自身の言う“スタートライン”に立つため、小林さんは一歩一歩堅実に歩みを進めている。

小林 等(こばやし・ひとし)さん/株式会社成文堂 編集部

奈良県出身。2010年第一文学部卒業、2013年から現職。担当する先生の授業や研究室を訪ねて、書籍について話し合う毎日を送る。編集者の魅力は、「その道の専門家と1対1で仕事をし、それが書籍という形となって残ること」。休日はドライブに洗車と、マイカーライフを楽しんでいる。